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Un re di demone  作者: クドウ
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11

カナトは5人を連れて城門前までやって来た。


「えーと、どちら様?」


こてん、と首を傾げてアズマが問う。

しかしアズマ・・・。

そんな応対で良いのか、門番って。


「は?アンタ城の人じゃないのか!?」


「変装戻すの忘れてた」


変装の魔法を一気にとく。


「あ、おかえりなさい、カナト様。ヲウルさんが探してましたよー」


「わかった」


この時間なら恐らく執務室だろう。


「何をしてる?こっちだ」


5人がぽかんと間抜けな面を晒している。


「わ、若返った・・・!」


「若いと舐められるからな」


「オッサンじゃなかったんだな・・・むしろ年下!?」


「まぁそうだろうな」





「また勝手に出て行きおって!!」


予想通り執務室にいたヲウルにいきなり怒鳴られる。


「おかえりなさいませ、カナト様。そちらの方々は?」


「スカウトしてきた冒険者。今から交渉」


「へぇ~・・・」


「無視するでない!!・・・しかし、スカウトか。よく着いてきたな。まぁ汚いところだが、好きなところに座ってくれ」


掃除はされているが執務室は物でいっぱいだ。

主に書類と書物と魔道具で。

5人はそれぞれ開いている椅子に座る。


「Bランク3人、Cランク1人、Dランク1人だと。騎士団に入れようと思う」


「またそんな勝手なことを・・・!」


「良いだろ別に。王なんだし」


「はぁ!!??王!!!???」


「気付くだろ普通、気付いてなかったのお前だけだぞ」


叫んだくせ毛剣士に言う。

他のメンバーは城門辺りからとっくに気付いていたというのに。

鈍いというか馬鹿だな、コイツ。


「え、なんで!!??」


「まぁとにかく人手不足なんだし、いいだろ別に。給金はさっきの通り、部屋はあとで案内するけど1人1部屋使って良い。食事は出る。風呂も自由に使え。仕事内容は門番・近衛・教育・・・礼儀作法は受ける方な。どうだ?やらないか?」


「私からも頼む。慢性的な人手不足でな・・・」


「あ、そうだ事情とやらを聞いてなかったな」


魔法使いがメンバーに目配せし、頷く。


「私達は・・・コスタの出身です」


ヲウルが、ナカが、ひゅうっと息をのむ音が聞こえた。

カナトには全く何のことかわからないのだが。


「生き残ったのは7人・・・うち2人は、神殿で保護されています」


うん、まったくわからない。


「すまんが、意味がわからん」


「申し訳ない、王はこの13年間の記憶が欠如しておる」


「・・・簡単に説明します」


ガデスの西の果て、コスタ。

10年前、そこで謎の疫病が流行った。

生き残ったのは7人の子供のみ。

うち2人は生き残ったものの意識が戻らない。

その2人の生命の維持に、大金がかかる。

それを5人は必死に稼いでいるという。


「まだ儀式があった頃だろ?それなのに疫病?」


「そう、だから私達は生贄の儀式など信じていないわ。だからアンタが儀式を中止してもどうも思わない」


「なるほどね」


どういった疫病かはわからないが、疫病ではないのかもしれない。

人工的な何かとか・・・。

詳しい事情を此処で聞くのは無神経だろう。

後で調べることにする。


「よくわからんが、ヲウル、頼めるか」


「畏まりました」


「こちらで最善の策をとろう」


「・・・ありがとうございます、よろしくお願いします」







ナカに部屋へ案内させ、その後シバの作った夕食を食べた。

食べながら仕事の話をする。

本来なら王と家臣が同じテーブルに着くこと、仕事の話をそこで話すことはおかしい。

(とヲウルに言われた)

しかしカナトは王だ。法律だ!と言い張り、朝食も夕食も報告などが飛び交うようになってしまっている。


「まずシバは、門番はもうしなくて良いから料理に専念してくれ。空き時間は勉強するようにな」


「はーい・・・」


勉強という単語に嫌そうな顔をするシバ。


「早く文字を覚えて料理書読めるようにな」


「そっか!料理書読めたら色々レパートリー増えるもんな!」


「あぁ。がんばれよ」


「はーい!」


「アズマも門番はしなくて良い。引き続き馬とドラゴンの世話を頼む。空き時間は勉強と、余裕があれば草取りな」


「はい」


「じーさんとナカはそのまま。・・・奴隷の方はどうなっている?」


「明日の午前中、候補を連れて来てもらいます。面談は王に頼みます」


「あぁ。空けておく」


奴隷は女を数人買い取る予定だ。

メイドをしてもらうので、明日能力とやる気、心を読んで決める。

隙あれば逃げる奴隷はいらない。


「当分の間は礼儀作法を習ってもらう。2人ずつ、門番と礼儀作法をローテーション組んでやってくれ。公平になるよう好きなように組んでくれてかまわない。詳しいことはシバとアズマに聞けば良い」


「わかった」


「魔法使いはナカについて礼儀作法と文官の仕事の補助を。それからナカに魔法の基礎を教えてくれ」


「わかりました」


「それじゃ夕飯終わったやつから戻って良いぞ。風呂も自由に使って良い。ナカ、魔法使いに女湯の場所を教えておけ」


「はーい」


こうしてカナトは一気に5人、使用人をゲット。

しかし名前すら聞いていないことを、翌日ヲウルの指摘で気付くのだった。






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