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Un re di demone  作者: クドウ
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ギルドに入ると厳つい男でいっぱいだった。

偶に魔法使い風の細身の男や女もいるが、大多数が戦士風の男だった。


うん、非常に目に優しくないな。


受付窓口で登録をしてもらう。

出掛けに大神殿から身分証を頂いて来たので問題なし。


「カナト・フリュイ様、職業剣士、ですね」


「あぁ」


単純に前世の名前を使用。

”カナト”という名前は滅多にいないが、それでも探せば見つかるだろう。

使って怪しまれるような名前ではない。


「登録完了です。単独ですとFランクからしか受けられませんのでご注意を」


「わかった」


自分よりランクの高いメンバーとパーティを組めば上のランクも受けることが出来るが、知り合いが全くいないカナトには、組む様な相手がいるわけもない。

単独でFランクを受けつつ、上位のモンスターでも狩ればレベルも上がる。

それで十分だ。

元よりランクの上昇や稼ぐことが目的ではない。

腕の良い、使いやすそーな冒険者を探すことである。


Fランクで1時間くらいで終わりそうな採取系依頼を受けることにした。

本当は討伐系にしたかったのだが、Fランクの討伐系は滅多にないようだ。

場所は竜の森の入口。

早速向かうことにした。

あまり長い間城を空けると、ヲウルにばれてしまう。





竜の森の入口付近で薬草を採取する。

入口付近には滅多にモンスターは出ない。

ただ全く戦えない人間からすると、もしかしたらモンスターが出るかも知れない場所で薬草採取などするくらいなら、依頼してしまえという感じなのだ。


早々に採取を終えたカナトは森の中を探索する。

冒険者の気配のする方へ歩を進め、様子を窺う。

竜の森のモンスター討伐系は、最低でE、最高でSSと差が激しい。

エリアによって出現モンスターが違うので、このエリアだとおそらくD辺りだろう。


戦闘中のパーティは若い剣士が2人、弓士が1人。魔法使い人口はそう多くないので、いないパーティは多い。


「悪くはないが、平凡だな」


カナトは戦いぶりを見てそう評す。

他にも冒険者の気配はあるのでそちらも見学してみよう。


こちらもおそらくDランク。

魔法使い1人、剣士が4人。

魔法使いは回復に徹しているようだ。


「こちらもまずまず」


近衛や門番なのだから、剣術に長けている者が欲しいところだ。


それから数件覗いてみたがどれもぱっとしない。


「出直すか」


ギルドへ戻り換金し、本日は終了。

また次回探すことにしよう。




◇◇




数日後、ギルドで面白そうな一団を発見した。

討伐依頼や護衛依頼には、ごくたまにだが最低人数制限が設けられていることがある。

その一団が受けたいらしい討伐依頼はその危険度のせいか、人数制限が6人からとされていた。

だが一団の人数は5人。Bランクの依頼とあって、参加したいという冒険者はいないようだ。

通常Bランクの依頼を受けるには、半数がBランクに達していれば良い。

このパーティメンバーのランクはBランクが3人、Cランクが1人、Dランクが1人。

もしもうち1人がAランク以上であれば人数制限を無視出来たのだが、同等ランクの依頼になるので、制限人数は無視出来ない。

つまりはあと1人、ランクは問わず。

もしも2人入れようとするならば1人はBランクでないとならず、中々厳しい条件だ。

先方が本当にランク問わずであればFランクであるカナトにも、参加資格はある。


「お主ら、この依頼のメンバーを探しているのか?」


「そうだけど・・・オッサン、参加すんの?」


話しかけると答えたのは、茶髪のくせ毛の男だった。

腰には片手剣。剣士のようだ。


「ランクを問わぬのであれば参加したいのだが」


「ランクはいくつ?」


「Fだ。まだ登録したばかりでな」


「F~!?無理無理、死ぬよ絶対、止めた方が良い」


「これでも、昔は騎士として活躍していた。冒険者としてのランクは低いが、腕はそれなりだ」


「え~・・・でもなぁ・・・どうする?」


「死んでも責任取れないけど、良い?報酬もそのランクなら10分の1よ」

・・・いざとなったら肉壁ね。




眼鏡の女が答える。

紅一点、魔法使いのようだ。

心の声が面白いな。


他に弓士が1人、剣士が2人。

バランスの取れたパーティだ。

これは良い。このまままるっと城に欲しい。


「かまわん。元より上位レベルを見て勉強したかっただけだ」


「交渉成立。出発は明日の早朝。集合は城下の門で」



場所は竜の森なので時間もそう掛からないだろう。

早朝からならば午後には戻れるだろうし、それくらいならヲウルもうるさくない。

勝手に裏通りでふらついていると思われているようだ。

言うだけ無駄だということにようやく気付いたのだろう。



「わかった、よろしく頼む」



明日が楽しみだ。





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