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Un re di demone  作者: クドウ
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「おはようございま、ああああああああああ」


「・・・うるさい」


「だ、だってぇ!」


折角気持良く寝てたのに、サイの煩い声で目が覚めた。

カナトの寝室で、カナトは半裸。ナカは全裸。しかし裸体はシーツで隠れている。


「何回目だよ、慣れろよ」


「ううううう」


「これだから童○は」


「あああああ」


半泣きだったサイはとうとう泣き出してしまった。

打たれ弱い。


「サイちゃん、うるさいー・・・」


ナカはシーツから顔半分を出し、じと目で睨む。


「すすすすいません」


「はぁ・・・すぐ行く。先に行け」


「ははははいぃぃぃ!」


ドモリ過ぎだろ。


「んー・・・カナトさまぁ・・・」


「はいはい」


カナトはナカに口づけてシーツに身を落とす。

どうもナカは寝起きの・・がお好きらしい。







「遅かったですな」


「すまんな、励んでた」


ヲウルの小言にさらりと返す。


「はげっ・・・!」


「ハゲ?ヲウルが?」


「違うわっっ!子供の前で何たることを!!」


「子供って・・・もう14だろうが。普通だろ」


14といえば早ければ結婚する人もいるというのに。

ナカは再び寝入ってしまったので、4人で朝食を食べる。

スクランブルエッグにサラダ、スープとパン、フルーツといった貴族が食べる一般的な朝食メニュー。

貧しいとスープとパンだけになる。

カナトは朝はあまり入らないので、カナトの前には珈琲とフルーツだけである。

育ち盛りの3人はパンをおかわりまでするのだが。


「ゴホン、それはそうと・・・もう一件の貴族から返事が参りません。調査を行いましょう」


「調査?」


「えぇ、逃亡なのか謀反なのかと言ったところですね。遅延の願出も出さないのはおかしいですから」


「ふぅん」


「サイに様子を見て来てもらいましょう。逃亡ならギルドに捜索願を出します」


「その後は?」


「領主は新しく据えますが、見つかった貴族には罰金なり罰則なり何らかの処置がされます。一先ずサイの帰りを待つことになりますね」


「わかった」


「わー!何か一気に仕事っぽくなって来た気がする!」


勉強漬けの日々から解放されたのが嬉しいようだ。


「危ないと思ったらすぐ帰って来るんだぞ」


「はーい!」





◇◇






カナトはサイを見送った後、図書室でドラゴンの生態の本、基本の魔法書を数冊を選んだ。

ドラゴンの生態の本はアズマに、基本の魔法書はナカに渡した。

ナカには微弱ながら魔力が感じられるので、其れを伸ばそうと考えている。

この世界では、魔力スポットや魔石で魔力を増幅することが出来る。

これを利用してナカの魔力を上げる。

力が弱い分、魔法で補わせようという考えだ。

一応魔法の掛かった短剣は所持させているが、護身になるかならないか微妙なラインなのである。

宝物庫から探し出した魔石を、執務室へ運ぶ。

持ち運びの出来る大きさではないので、一番長く居る場所に置いておく。

ついでにサイも魔力目覚めれば儲けものだ。

ついでのついでにヲウルの魔力も上がると助かる。


王宮は無駄な調度品は消えすっかり簡素になり、カナトにとっては過ごしやすい空間だ。

宝物庫も金庫も中身はまだいっぱい詰まっている。

勉強も終わったし、使用人の募集はかけている。

三大欲求も問題なく解消されている。

妹のことと、未納税の貴族はあるが、軒並み順調。

やることと言えばシバとアズマの訓練くらいだ。


つまりは、暇、である。


娯楽の少ないこの世界でどうやって時間を使うべきか。

図書室の本は粗方読んだ。

大神殿にある本も読破済み。


「そうだな・・・ギルドにでも行って見るか。スカウト、スカウト」


また騒ぎになっても困るので、変装して行こう。

魔法を使い、黒髪は金髪に。灰色の目は碧に。

ついでに身長も10センチほど伸ばし、鬚も生やす。

オプションで皺もつけ、うん、40手前くらいに見えそうだ。

宝物庫から適当な鎧を引っ張り出し、着こむ。

騎士引退後の冒険者初心者の出来上がり。

ヲウルに見つかる前にこっそり出掛けるとしよう。









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