プロローグ
ここは山奥のペンション。
俺はある一室で部屋の隅を見ている。
やることもないからだ。
そしてにふわんふわんと浮かんでいる。
これには種も仕掛けもない。
俺は幽霊さ。
幽霊だからか分からないが自分に関する記憶はない。ただ気づけばそこにいた。
だが、知識はある。日本の総理大臣の名前だったり、世界三大料理、西洋美術についてちゃんと知っている。
幽霊って長所とか短所とかあるの?という質問があったらスラスラと話せるくらいにはこの姿で生きている(死んでいる?)。
まずは長所は、人にとり憑くことができることだろうか。ただし、いろいろ条件がある。そう簡単には使えない。
では、短所はどうか。これはもう1時間は話し続けられるだろう。だが、そんなの話して満足するのは俺だけだ。二つに絞って話そう。
一つ目、やっぱり物に触れることができないことだ。自由にテレビも観られないし本も読めない。
あとは、俺はこのペンションの敷地外に出ることができないこと。車やビルだとかそういうものの存在を知ってはいる。
それで何十年か暮らしていた。
やることなんて、時々ほかの客が見ているミステリードラマを横から見るくらいで、他はぼーっとしている。
一日の半分くらいはひょっとしたら地獄というのはこんなところじゃないかと考えたところで特に意味もない哲学的なことを考えていた。
そんな俺だが、最近生きがい(死んでいるのだから死にがい?さすがにしつこいか。)を見つけたのだ。
それは最近ここをよく利用する探偵小説同好会、いや、探偵同好会の行事なのだが、それが、まぁ、面白い。
何をやるのかというと、推理ゲームだ。
内容としては、まず最初に人狼ゲームみたいに犯人役と探偵役を決める。そして、誰かが参加者の一人に何かしらの手段を使ってペイント弾をぶつけるのだ。その後誰が犯人か予想し合い推理合戦をする。そして、真相にたどり着く事が出来たら探偵役の勝ち。たどり着く事ができなければ犯行役の勝ち。
ライブ感のあるドラマを見ているようでとても面白い。
先ほども述べたように俺は、知識はある。ミステリーというものも古今東西の名探偵も知っている。生前ミステリーマニアだったのかも知れない。
そのため自分も参加してみたい。そう思うのはそれほど不自然な話ではないだろう。
しかし、残念なことに俺はすべて見えている。死人に口なし、口がない証人に価値はなし、犯人役の奴らは俺が見ていても気にせず、事件を起こす。
事件の真相なんて丸分かりだ。推理なんてしようがない。
誰か俺に探偵をやらせてくれないだろうか。いや、もう探偵に関わることなら何でもいい。ブラックコーヒーだとか葉巻だとか。
誰か俺に「探偵」に関することをさせてくれ




