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Frange ruinam   作者: S
スパティア編
38/39

崩壊した星

次の瞬間、空間が無数に裂け、そこから黒い岩石が雨のように降り注いだ。


私は即座に地面を蹴り、横へ跳ぶ。同時にモラが魔力シールドを三人の周囲に展開した。轟音が連続して響き、岩石がシールドに当たっては弾かれる。


「多い……!」


モラの額に汗が滲んでいる。シールドを維持するだけで、しんどいのだろう。


ネブラはハルバードを構えたまま、低く呟いた。


「キロプテラ」


黒いコウモリの群れが空間を埋め尽くす。今までのどの戦いよりも密度が高く、数も多い。コウモリはスパティアに迫る。だが、スパティアは小さく笑うと、手をかざした。空間が裂け、コウモリの群れがまるごと別の場所へ吸い込まれた。


「チッ……」


攻撃が当たらない。突破口としてはやはり、前にネブラが言っていた通り、多方向から攻めることだろうか。


「ルイーナ、左!」


モラの叫びに反応し、私は左側から迫る岩を拳で叩き落とした。私は歯を食いしばり、地面を強く蹴った。魔力を拳に集中させ、スパティアの懐へ飛び込む。だが、空間の裂け目に吸い込まれ、空を切る。私は空間からすぐに手を抜いた。


「ルイーナ、下がって!」


モラが叫びながら、シールドから魔力を放出する。

一瞬、スパティアの動きが止まった。その隙にネブラが動いた。


「アルテル・エゴ」


ネブラの姿が二つに分裂した。本体と分身が左右から同時にハルバードを振り下ろす。刃がスパティアの首と胸を同時に狙うが、二つのハルバードが、互いに交差する軌道で別の裂け目へ吸い込まれ、衝突した。刃と刃が激突し、火花が散る。


「無駄だよ」


スパティアは余裕そうに笑った。

だが、ネブラは顔を上げ、低く呟いた。


「ステラ・テネブリス」


その瞬間――風が吹いた。最初は、微風程度だったものが、次の瞬間、立っているのもやっとなほどの暴風へと変わった。


「っ――!」


思わず腕で顔を庇う。視界が揺れ、髪が乱れる。――これはただの風じゃない。吸い込まれている。周囲の淡い光さえ、歪んで見えなくなっている。


「……何なの、これ……」


モラの声が微かに聞こえる。私は必死に目を開けた。スパティアの周囲には、ぽっかりと黒い穴が開いていた。それは、周囲のすべてを引き寄せていた。


「重力か……」


スパティアがそう呟いた瞬間、スパティアの右腕が消えた。血が噴き出す間もなく、吸い込まれた。遅れて、右足も同じように。


「……っ」


スパティアの身体が大きく傾いた。だが、倒れない。残った左足で踏みとどまっている。


「……なるほど、これは厄介だね」


スパティアがそう言った瞬間、左手を振るう。空間が裂け、黒い穴が飲み込まれた。次の瞬間、スパティアの失われた右腕と右足の断面が盛り上がり再生した。


「……うわっ、気持ち悪い」


モラが顔をしかめる。


「行くよ、モラ」


私はそう言うと、スパティアに目掛けて地面を蹴った。空間を裂き、攻撃を逸らされる――それでも構わない。スパティアの周囲で、裂け目が次々と開く。だが――追いついていない。


「チッ……」


さっきの攻撃が、かなり効いている。ほんの僅かだが、裂け目の展開が遅れている。今までとは違う。

こちらが押している。


でも、少し気になったことがあった。なぜハデスがいない?この世界では封印されていないはずだ。冥界は広いから、遠くにいるだけなのだろうか?

そんな考えが頭をよぎる。


「……少し時間がかかり過ぎちゃったかな」


スパティアがぽつりと呟いた。

その瞬間――私の口から血が溢れた。

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