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Frange ruinam   作者: S
3/4

利害

自身で書いてAIに修正してもらっています。残酷表現が少しあるので注意です。

「……少し、話をしよう」


悪魔が玉座から一歩降りた。


「我が話すのは、500年ほど前のことだ」


「500年?」


私は眉をひそめる。


「その頃、我はまだ100歳そこそこだった。魔が暮らす世界――魔界にいたのだ」


「……魔界?待て。お前は“1000年以上前から人間界にいる悪魔”じゃなかったのか?」


悪魔は、わずかに口角を上げた。


「そう語られているのは、スパティアだ。我を育てた悪魔の名だ」


胸の奥がざわつく。

――悪魔は、一体だけじゃなかった。


「スパティアは、1000年前に人間界へ現れた存在だ。だがある日、姿を消した」


「死んだの?」


「違う」


悪魔の声が、低く沈む。


「天啓に叛いたのだ」


「天啓……?」


「超自然的存在から与えられる命令のようなものだ。逆らえば、罰を受ける」


「……神、みたいなもの?」


「説明できるものではない。我々にとっても、理解の外にある」


一瞬、悪魔が遠くを見る。


「スパティアに与えられていた天啓は――

“人間界に存在し続けること”」


「存在、し続ける……?」


「だが、役割を放棄した。きっと魔界へ戻ったのだ」


「そして、その役目は子である我へと降りてきた」


「……だから、お前がここにいる」


「そうだ」


悪魔は、わずかに視線を伏せる。


「500年間、人間界に留まり続けた。だが――その日からだ」


空気が、冷える。


「空間の裂け目から、悍ましい黒い影が現れ始めた」


「……影?」


「意思を‥形を持たない存在だ。我はそれをアニムスと呼んでいる」


背筋が、凍る。


「今までは対処できていた。だが最近の個体は、明らかに違う」


悪魔は遠くを見る。


「この前は、倒すだけで相当な消耗を強いられた」


「……それが、その悪魔の仕業だと?」


「ああ。スパティアは空間と魂を操る能力を持っている」


嫌な予感が、胸に広がる。


「奴は、我を――いや、人間界そのものを滅ぼそうとしている」


悪魔は玉座に腰を下ろし、深く息を吐いた。


「スパティアの居場所へ繋がる手掛かりが、魔界にある」


「なら、お前が行けばいいだろ」


「行った」


即答だった。


「だが、その場所の店主は悪魔が嫌いでな。門前払いだ。だが、人間は好きらしい。だから――」


赤い瞳が、まっすぐに私を捉える。


「お前に協力を仰いでいるのだ」


「この前行った、と言ったな」


私は、言葉を選びながら問い返す。


「天啓で、人間界にいなきゃならないんじゃないのか?」


「違う」


悪魔は首を振った。


「存在し続けることだ。忘れられ、居ないものとして認識されれば――それは“消滅”と同義になる」


「…‥つまり、私も行けと?」


「そうだ、それに、道中は危険だ。人間嫌いの魔は多い」


悪魔は、私を見る。


「お前の力なら、多少目を離しても生き残れる」


「つまり」


私は冷たく言い放つ。


「お前のために、命を張れと」


「我が死ねば、アニムスは止まらん」


悪魔は立ち上がり、ゆっくりと近づいてくる。


「人間界は、アニムスが暴れればすぐ滅ぶだろうな」


悪魔は窓の外を見てながら言い放った。


「……協力しないなら、ここから出ていけ」


悪魔はまた一歩近づいた。


「それとも――ここで殺してほしいか?」


嘘ではないんだろう。

「……分かった」


私は手を下ろした。


「けど、これは協力じゃない」


悪魔を睨む。


「利害の一致だ。勘違いするなよ」


悪魔は、低く笑った。


「いいだろう。ついてこい」


そう言って、近くの鏡を指差す。


「……冗談でしょ」


「いや」


「鏡に入るの?」


「あぁ」


「……そういえば」


一歩踏み出す直前、悪魔が言った。


「お前の名は?」


「…ルイーナ」


「そうかルイーナか…我はネブラだ。」


次の瞬間。鏡の表面が波打ち、ゆっくりと吸い込まれるように二人の姿が消えた。

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