利害
自身で書いてAIに修正してもらっています。残酷表現が少しあるので注意です。
「……少し、話をしよう」
悪魔が玉座から一歩降りた。
「我が話すのは、500年ほど前のことだ」
「500年?」
私は眉をひそめる。
「その頃、我はまだ100歳そこそこだった。魔が暮らす世界――魔界にいたのだ」
「……魔界?待て。お前は“1000年以上前から人間界にいる悪魔”じゃなかったのか?」
悪魔は、わずかに口角を上げた。
「そう語られているのは、スパティアだ。我を育てた悪魔の名だ」
胸の奥がざわつく。
――悪魔は、一体だけじゃなかった。
「スパティアは、1000年前に人間界へ現れた存在だ。だがある日、姿を消した」
「死んだの?」
「違う」
悪魔の声が、低く沈む。
「天啓に叛いたのだ」
「天啓……?」
「超自然的存在から与えられる命令のようなものだ。逆らえば、罰を受ける」
「……神、みたいなもの?」
「説明できるものではない。我々にとっても、理解の外にある」
一瞬、悪魔が遠くを見る。
「スパティアに与えられていた天啓は――
“人間界に存在し続けること”」
「存在、し続ける……?」
「だが、役割を放棄した。きっと魔界へ戻ったのだ」
「そして、その役目は子である我へと降りてきた」
「……だから、お前がここにいる」
「そうだ」
悪魔は、わずかに視線を伏せる。
「500年間、人間界に留まり続けた。だが――その日からだ」
空気が、冷える。
「空間の裂け目から、悍ましい黒い影が現れ始めた」
「……影?」
「意思を‥形を持たない存在だ。我はそれをアニムスと呼んでいる」
背筋が、凍る。
「今までは対処できていた。だが最近の個体は、明らかに違う」
悪魔は遠くを見る。
「この前は、倒すだけで相当な消耗を強いられた」
「……それが、その悪魔の仕業だと?」
「ああ。スパティアは空間と魂を操る能力を持っている」
嫌な予感が、胸に広がる。
「奴は、我を――いや、人間界そのものを滅ぼそうとしている」
悪魔は玉座に腰を下ろし、深く息を吐いた。
「スパティアの居場所へ繋がる手掛かりが、魔界にある」
「なら、お前が行けばいいだろ」
「行った」
即答だった。
「だが、その場所の店主は悪魔が嫌いでな。門前払いだ。だが、人間は好きらしい。だから――」
赤い瞳が、まっすぐに私を捉える。
「お前に協力を仰いでいるのだ」
「この前行った、と言ったな」
私は、言葉を選びながら問い返す。
「天啓で、人間界にいなきゃならないんじゃないのか?」
「違う」
悪魔は首を振った。
「存在し続けることだ。忘れられ、居ないものとして認識されれば――それは“消滅”と同義になる」
「…‥つまり、私も行けと?」
「そうだ、それに、道中は危険だ。人間嫌いの魔は多い」
悪魔は、私を見る。
「お前の力なら、多少目を離しても生き残れる」
「つまり」
私は冷たく言い放つ。
「お前のために、命を張れと」
「我が死ねば、アニムスは止まらん」
悪魔は立ち上がり、ゆっくりと近づいてくる。
「人間界は、アニムスが暴れればすぐ滅ぶだろうな」
悪魔は窓の外を見てながら言い放った。
「……協力しないなら、ここから出ていけ」
悪魔はまた一歩近づいた。
「それとも――ここで殺してほしいか?」
嘘ではないんだろう。
「……分かった」
私は手を下ろした。
「けど、これは協力じゃない」
悪魔を睨む。
「利害の一致だ。勘違いするなよ」
悪魔は、低く笑った。
「いいだろう。ついてこい」
そう言って、近くの鏡を指差す。
「……冗談でしょ」
「いや」
「鏡に入るの?」
「あぁ」
「……そういえば」
一歩踏み出す直前、悪魔が言った。
「お前の名は?」
「…ルイーナ」
「そうかルイーナか…我はネブラだ。」
次の瞬間。鏡の表面が波打ち、ゆっくりと吸い込まれるように二人の姿が消えた。




