凶暴
「土地神って思ってるより強くない?」
モラがネブラにそう問いかけた。
「元々強くはないぞ。魂の集合体ということもあるがな」
「戦った土地神のアニムスってさ。どれぐらいの数の魂が集められているの?」
「さっきのは、およそ40個ぐらいだな」
「およそ40……」
モラはそう呟くと、視線をルイーナにやった。
「あれ、大丈夫ルイーナ?」
モラが声をかけた、その瞬間だった。ルイーナの拳が、容赦なく振り下ろされた。
「――っ!?」
鈍い衝撃音とともに、モラの体が吹き飛ぶ。地面を転がり、倒れ込んだ。
ネブラがルイーナを見て眉をひそめた。
「何だ?」
ルイーナは何も答えない。焦点の合わない目でネブラを見つめていた。
次の瞬間、地面を蹴る。ネブラへと一直線に突っ込んだ。拳が振り下ろされる。
振り下ろされる拳を、ネブラは顕現させたハルバードの柄で受け止める。凄まじい衝撃が走るが、ネブラはその力を受け流し、空いた手で手刀を彼女の首筋に叩き込んだ。
ルイーナはそのまま崩れ落ちた。
モラがゆっくり起き上がる。
「……何で、ルイーナ?」
「さあな、本人に聞くしかないだろう」
ネブラは倒れているルイーナを目にやった。
しばらくして、ルイーナがゆっくり目を開けた。
「……あれ」
モラが顔を覗き込む。
「大丈夫?」
ルイーナは周囲を見回した。
「……何が起こったの?」
二人は顔を見合わせ、今起きたことをルイーナに話した。
「そんな……ごめん」
ルイーナは下を向いて呟いた。
「記憶が関係してるとか?でも、ルイーナが気に病むことじゃないよ」
「スパティアの仕業かもれん。まあ、また暴れても止めてやるから安心しろ」
ネブラは淡々と言い放った。
「……二人とも、本当に心強いね」
ネブラは背を向けた。
「宿に戻るぞ」
三人はその場を後にした。
遠くの岩の上に、スパティアが立っていた。
「……準備は整ったようだね」
静かに呟き、踵を返す。
「そろそろ始めるとしよう」
スパティアの姿は、空間の中へ消えた。




