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Frange ruinam   作者: S
魂編
26/39

連携

「模擬戦?」


「神々を屠る前に、スパティアを討てるようにする」


「そのために、もっと訓練をするってことね!」


モラは元気よくそう言った。


「お前ら二人で我に膝をつかせたら、勝ちにしてやる」


「上から目線だな……でも、頑張ろうルイーナ!」


モラはそう言うと、私を見た。


前にも勝てなかったネブラに、膝をつかせることなんてできるのだろうか。それに、ネブラは前よりも格段に強くなっている。――でもそれは、私達も同じことだ。


「そういえば、魔界ホテルも泊まった宿も休業中だね」


「また宿探しかな」


「私達、疫病神かなんかでしょ」


私達は話しながら宿を探した。


翌朝、私達は荒野に立っていた。


「始めるぞ」


ネブラがそう言うと、ハルバードを顕現させ、地面を蹴った。


「っ!?」


一瞬で距離を詰めてきた。鋭い風切り音と共に、ハルバードが振り下ろされる。


私は咄嗟に横へ跳んだ。地面が大きく抉れる。


「速すぎ……!」


モラが目を見開いた。


ネブラは間髪入れず踏み込み、横薙ぎに振るった。振り抜かれた刃を、魔力を纏った腕で弾く。衝撃で腕が痺れた。


「くっ……!」


だが、その間にモラが前へ出た。


「任せて!」


私の前に、垂直の魔力シールドが展開される。

ネブラの突きがシールドにぶつかった。私は地面を蹴り、拳に魔力を集めた。そのままネブラへ突っ込む。


「遅いな」


ネブラは冷静だった。体をわずかに捻り、ハルバードで私の拳を逸らした。そのまま刃が迫る。再びシールドが展開された。刃がぶつかり、火花が散る。


「二人がかりでこの程度か?」


ネブラが口元をわずかに上げた。


その瞬間――モラのシールドから魔力が爆発的に放出された。


「ルイーナ!」


私は全力で踏み込み、拳に魔力を集中させる。拳を振り抜いた。ネブラの腹に――直撃したはずだった。


次の瞬間、目の前からネブラの姿が消えた。


「ルイーナ、上!」


理解するより早く、首筋に冷たい刃が当てられた。


「勝負アリだな」


「それは……どうだろうね?」


私は首元のハルバードを掴んだ。力を込めると、

ハルバードは粉々に砕け、霧散した。


ネブラの表情がわずかに歪む。その隙を逃さない。私は踏み込み、前蹴りを叩き込んだ。


ネブラは腕で受け止める。その背後から、モラの魔力が連続して放たれた。だがネブラはすべて避け、前へ進んだ。


そして静かに口を開く。


「キロプテラ」


その瞬間――視界が暗闇に閉ざされた。耳障りな羽音が、四方八方から迫る。


「えっ、何?」


モラの戸惑う声が響く。


無理もない。この技は、初見では回避しにくい。

だが――私は何度も見てきた。


次々とコウモリを打ち落としていく。だが、いつまで経っても視界は晴れず、攻撃も止まらない。


その時、かすかに足音が聞こえた。ネブラが近づいてきている。どうする――そう思った瞬間。


周囲にドーム状の魔力シールドが展開された。

モラだ。この暗闇でシールドを張るなんて、至難の業のはずなのに。私は足音の方向へ踏み込んだ。


拳を振るう。その瞬間――視界が晴れた。目の前で、ネブラが私の拳を受け止めている。


勝てるかもしれない。

――そう思った瞬間だった。


「ここまでだな」


ネブラが静かにそう言うと、私の背後に、ハルバードが顕現した。次の瞬間、私は弾き飛ばされた。


「ルイーナ!」


顔を上げると、モラの背中に刃が突きつけられていた。


「負けた……」


モラは、溜息をついた。


ネブラはハルバードを消し、口を開いた。


「少しばかりは強くなったと思うぞ」


「ネブラが褒めるなんて珍しい。もしかして魂が違う?」


モラはそう言うと、眉をひそめた。


「慰めてやってるだろ。それに、お前らは厄介なほど連携が取れている。それは、後々生きるだろうな」


「……もしかして、ネブラって本気でやってなかった?」


私が問いかけると、ネブラは不敵に笑った。


「どうだろうな?」


ネブラがそう言った瞬間、轟音が響いた。音のした方向を見ると、悍ましい黒い影――アニムスが立っていた。


「……また」


モラは小さく呟いた。


「あれって土地神のアニムス?」


「そう感じるな」


「どうする、逃げる?」


「いや、あれは無差別に人を襲う。放っておくと多く死ぬだろうな」


「じゃあ、どうすればいいの?」


「やむを得ない犠牲として土地神を屠るとしよう」


次の瞬間、アニムスが腕を振り上げた。光が一直線にこちらへ放たれる。


「来るよ!」


モラが叫んだ。私は地面を蹴り、横へ飛ぶ。光は地面を抉り、荒野を一直線に裂いた。大地が割れ、土砂が崩れ落ちる。


「威力は上がってるな」


ネブラが淡々と言う。


「でも、当たらないと意味がない」


私は、アニムスへ駆けた。


「モラ、合わせて」


「分かった!」


私が正面から飛び込み、注意を引く。その隙にモラが背後へ回り込む。アニムスが腕を振り下ろす。私は軽く身をひねり、それを避けた。


「遅い」


私がアニムスを蹴り飛ばす。同時にモラが魔力を撃ち放った。黒い体が、抉れる。だが、まだ倒れない。


「所詮はこの程度か」


ネブラが一歩前へ出た。その瞬間、アニムスの体が大きく裂けた。


ネブラはすでに斬っていた。

私達には、その一撃が見えなかった。


アニムスはそのまま崩れ落ち、身体が霧となって消滅した。

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