守るために
「……それって結構やばくない?」
モラは目を見開きながら言った。
「現に、我らは土地神共を屠ってしまったな」
「今から何とかできないの?」
「無理だ。……魂の集合体は幽霊にならない。だが、単一の魂は幽霊に変化する」
ネブラは続けた。
「そして幽霊は、魔や神などに殺され、魂だけ冥界へと送られる。そこで成仏させられるわけだ」
「つまり、もう冥界に送られてるってこと?」
「そうだ」
ネブラは、ばつが悪そうに答えた。
「とりあえず我は神々に報告してくる。お前たちは体を休めていろ」
そう言うと、ネブラは立ち去った。
立ち上がろうとした瞬間、吐き気が込み上げた。
口を開くと、血がこぼれ落ちた。
「ルイーナ!?」
モラの声を最後に、私は意識を失った。
目を覚ますと、白い天井が見えた。体を起こすと、モラが目を見開きながらこちらに駆け寄ってきた。
「大丈夫、ルイーナ?」
「ここは……?」
「病院だよ。急いでここまで運んだの」
「魔界にも病院ってあるんだ……モラ」
そう言うと、モラは目を丸くした。
「ありがとう」
「お互い様だよ!」
モラはそう言って笑うと、部屋を出ていった。
私は息をつき、ベッドに寝転がった。スパティアは、一体何が目的なのだろうか。奪われた世界を取り戻す――その“奪われた世界”とは、何なのだろう。そんなことを考えているうちに疲れが出たのか、私は再び意識を失った。
それからしばらく病院に入院し、やがて退院した。その間、ネブラの姿を見ることはなかった。
「そういえば、どうして魔力が通貨代わりなんだろうね?」
モラは私にそう問いかけた。
「だって、譲渡された魔力は二度と回復しない。
でも、譲渡した側の魔力は自然に回復するじゃん?」
モラは不思議そうに首を傾げた。
「それでも、魔力が少ない魔には助かるんじゃないかな。魔は力を求めるっていうし、魔界では魔力を多く使うだろうしね」
「そういうものか」
しばらく歩いていると、向こうからネブラが歩いてきた。
「久しぶり、ネブラ!」
モラが手を振ると、ネブラは気付き、こちらへ近づいてきた。
「なんか、疲れてそうだね」
「報告がな」
ネブラはそう言うと、溜息をついた。
「神は動いてはいるが、人間界でしか活動できないからな」
ネブラは淡々と言った。
「じゃあ、私達が頑張るしかないよね。でも……私って結局何もできてなかったな」
モラはそう言うと、下を向いた。
「そんなことないよ」
そう言うと、モラは驚いたようにこちらを見た。
「モラは、いつも私を守ってくれてるからね」
「それって、物理的に?」
「どっちもだよ」
そう言うと、モラは嬉しそうな顔をした。
「では、戦闘力向上を目指し模擬戦を行うとしよう」
ネブラの言葉と同時に、風が吹き抜けた。




