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Frange ruinam   作者: S
魂編
19/39

争奪

「もう!」


モラは頬を膨らませながらそう言った。


「……いつまで不貞腐れている」


ネブラはそう言うと溜息をついた。


私は、ふとこの三日間のことを思い出した。


「正面から戦えば、お前は必ず負ける」


ネブラはモラに迷いなく言った。


「上手く立ち回れ。それが、火力で劣るお前にできる戦い方だ」


ネブラは三日間、同じことを言い続けた。モラがどんな顔をしても、言葉を変えることはなかった。


だから今も、モラは拗ねているのだ。


話しながら歩いていると、闘技場前に辿り着いた。女の悪魔がこちらを手招きしている。


「おっ、来た!」


悪魔はニコニコと笑った。


「今回、参加者少なめなんだよね。個人戦で、四回戦しかないけど頑張ってね」


そう言うと悪魔は向こうへ走っていった。


「個人戦ってことは、私達が勝ち残ったら……」


「戦うことになるな」


ネブラは淡々と言う。


「確か、ニ位まで魔力がもらえるんだっけ」


モラがそう言うと、ネブラは頷いた。


「じゃあまたな、ルイーナ」


そう言い、ネブラは笑った。


「私もいるから!」


モラがそう言ったが、ネブラはすでに歩き出していた。しばらくして、モラも闘技場へ向かった。


《一回戦目の6ブロックの参加者は、闘技場にお入りください》


アナウンスを聞き、私は小さく息を整え、闘技場へと入った。そこには、狐が一匹いた。


「野生の狐がいる……」


思わず呟くと、狐はこちらを睨んだ。


「失礼ね。私は高貴な妖狐よ」


狐の体が揺らぎ、次の瞬間、女の姿へと変わる。


「こっちの姿の方が、人間には馴染み深いかしら」


合図と同時に――妖狐は消えた。視界から完全に消失する。消えた?いや、違う。いる。


次の瞬間、背後から魔力が放たれた。咄嗟に拳を当て、魔力を弾く。


――硬い。衝撃が腕を軋ませる。このまま受ければ、折れる。私は力の向きを逸らし、横へ受け流した。


見えないまま、魔力だけが放たれる。避けることはできる。


だが――このままでは、攻撃できない。

違う。存在は消えていない。気配はある。


魔力が再び放たれた瞬間、私は踏み込んだ。


「――ここでしょ」


空間を、拳で殴ると、手応えがした。何もなかったはずの場所から、妖狐が弾き飛ばされ、地面に倒れた。


《勝者――ルイーナ》


淡々とアナウンスと拍手が響いた。


妖狐はよろよろと立ち上がり、こちらを見る。


「あんたなかなかやるわね。強いじゃない」


そう言って、妖狐は笑った。


闘技場を出ると、モラが地面に座っていた。


「その様子だと勝ったの?」


モラの問いに、私は頷く。


「モラも?」


「勝ったよ!」


モラはそう言って、嬉しそうにガッツポーズをした。


「でも、やっぱり見えづらいな」


モラはそう言うと、闘技場の中にいる魔を見つめた。


確か、モラは魔力が少ない。そのせいで、魔が半透明にしか見えないのだった。しばらく話した後、モラは立ち上がり、闘技場へ向かった。


《二回戦目の3ブロックの参加者は、闘技場にお入りください》


アナウンスを聞き、私は小さく息を整え、闘技場へと入った。


そこには、青白い肌に鋭い牙を持つ男が立っていた。――吸血鬼。


「我の相手は人間か」


吸血鬼は、口元を歪めて笑った。


合図と同時に、吸血鬼が踏み込む。速い。

反射で拳を受け止める。そのまま引き寄せて体当たりを叩き込んだ。


吸血鬼の体がわずかに揺れる。だが、すぐに体勢を立て直した。


次の瞬間――私は吹き飛ばされた。背中から地面に叩きつけられる。衝撃が全身に伝わった。


痛い。やはり、俊敏性が明らかに違う。

――だが、見える。まだ追える。


次の瞬間、吸血鬼の姿が消えた。――来る。

必ず仕留められる距離まで近づいてくる。なら――そこを狙う。吸血鬼が再び踏み込む。私は避けず、逆に一歩前へ出た。


「なっ――」


吸血鬼の目が見開かれる。その瞬間、私は胸元を掴んだ。逃がさない。吸血鬼は振りほどこうとする。だが、遅い。


「終わりです」


全身の力を乗せ、拳を叩き込む。鈍い衝撃。

吸血鬼の体が浮き、そのまま地面に叩きつけられた。


《勝者――ルイーナ》


アナウンスと拍手が闘技場に響いた。


吸血鬼はふらつきながら立ち上がり、私を睨んだ。


「本来であれば……我が勝っていたぞ」


舌打ちする。


「運が良かったな」


そう言い残し、吸血鬼は去っていった。


《三回戦目の2ブロックの参加者は、闘技場にお入りください》


アナウンスを聞き、私は小さく息を整え、再び闘技場へと入った。


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