再三
次回新章です。
「……これからどうするの?」
城の広間に二人を寝かせ、私はネブラに問いかけた。
「やることは変わらない。一刻も早くスパティアを討つだけだ」
ネブラは玉座に腰を下ろし、淡々と答えた。
「でも、スパティアが空間を操るなら、会うこと自体が難しいと思う。それに、手がかりはあるの?」
「ある」
即答だった。
「スパティアの棲家だ」
「棲家?」
「あぁ。アニムスのような魂の集合体を作るほどの存在だ。拠点の一つや二つ、持っていても不思議ではない」
ネブラは肘掛けに頬杖をつき、静かに続ける。
「魔ではなく、神の魂ともなれば、気配が濃い。それに、その棲家に魂があると、我は踏んでいる」
「つまり……気配を辿れるの?」
ネブラの目が細くなる。
「我ならな」
その声音に、迷いはなかった。
「だが」
ネブラの声がわずかに低くなる。
「向こうにも当然感づかれる」
広間の空気が静まり返る。これも罠かもしれない。それでも――
「行くしかないよね」
ネブラは小さく笑った。
「そうだ」
「……痛ったぁ」
かすれた声が響いた。振り向くと、モラがゆっくりと身を起こしていた。
「大丈夫?」
私は駆け寄る。
「何があったの?」
状況が飲み込めない様子のモラに、私はこれまでの出来事を簡潔に伝えた。モラの顔色が変わる。
「そんなことが……。それって、また魔界に戻るってこと? 窮鳥崖に行くんじゃなかったの?」
「神の魂を使って、アニムスのようなものを作られては堪らない。それにもう時間がない。再び魔界へ向かうとしよう」
モラは眉をひそめた。
「私、今起きたばっかなんだけど」
そう言って、再び床に倒れ込んだ。
「モイラさんは?置いていくつもり?」
「この城に侵入する者はいない」
ネブラは玉座から立ち上がった。
「仮にいたとしても、ここは神域外。認識すらできん」
「じゃあ今、私達にモイラさんが見えるのは……」
「縁が結ばれているからだろうな」
そう言いながら、玉座の近くの鏡へと歩み寄る。
「それって、もしかして――」
モラの言葉が途切れる。鏡の表面がゆらりと波打った。ネブラが振り返る。
「行くぞ」
次の瞬間。三人の姿は鏡の中へ吸い込まれるように消えた。




