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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

評価された嬉しい!

キラキラおてて

作者: 東都エリ
掲載日:2025/12/13

 コダヌキのポンは怒(おこ)りました。


 いつもあそぶ公園(こうえん)に、みたことのないコギツネがいたからです。


 ここはボクがあそぶ場所(ばしょ)なのに、勝手(かって)に入(はい)ってくるなんてひどいやつだ。


 ポンは言(い)います。その砂場(すなば)はボクがあそぶんだぞ。


 コギツネはバケツでお城(しろ)を作(つく)りながら答(こた)えます。ごめんよ。ボクはコン。よかったら一緒(いっしょ)にあそぼうよ。


 お城(しろ)はちいさくとも精巧(せいこう)に作(つく)られていました。ふだんポンが作(つく)るトンネルよりもずっとずっと上手(じょうず)でした。


 ポンは気(き)づきます。コンのちいさな手(て)がキラキラと光(ひか)っていることに。


 その光(ひかり)はなんだ。ポンが聞(き)けば、コンは答(こた)えます。光(ひかり)ってなに? ボクにはみえないよ。


 そんなはずがない。ポンはまた怒(おこ)りました。キラキラの手(て)がお城(しろ)を上手(じょうず)に作(つく)るのをみて、すごく腹(はら)が立(た)ちました。


 その光(ひかり)があるからお城(しろ)をうまく作(つく)れるんだ。ズルい。


 どうしたら手(て)を光(ひか)らせられるんだ。ポンの質問(しつもん)にコンは困(こま)りながらも答(こた)えます。


 わからないよ。きっと生(う)まれた時(とき)からかもしれないし、ずっとお城(しろ)を作(つく)っていたから神(かみ)さまが光(ひか)らせてくれたのかもしれない。


 嘘(うそ)つきだ。神(かみ)さまなんているわけがない。


 ずっとお城(しろ)を作(つく)ればいいなら、そこをどけよ。ポンはコンを強(つよ)く突(つ)き飛(と)ばしました。痛(いた)い。コンは泣(な)きだしました。


 それがポンにはいい気味(きみ)でした。手(て) の光(ひかり)の秘密(ひみつ)を教(おし)えないからです。


 コンのお城(しろ)を壊(こわ)して新(あたら)しいお城(しろ)を作(つく)ろうとしたとき、泣(な)いていたコンが言(い)いました。


 きみだって手(て)がキラキラ光(ひか)っているじゃないか。


 ポンは自分(じぶん)のちいさな手(て)のひらをみましたが、黒(くろ)い毛(け)に黒(くろ)い肉球(にくきゅう)があるだけで光(ひかり)なんてありません。


 それでもためしにと砂(すな)のお城(しろ)を作(つく)ろうとすれば、コンのものとは似(に)ても似(に)つかないお山(やま)ができました。


 嘘(うそ)つきキツネめ。ポンはまたコンを突(つ)き飛(と)ばしました。嘘(うそ)じゃないよ。ほらまた光(ひか)ったとコンは言(い)いました。まだ嘘(うそ)をつくのか。この悪(わる)いキツネめ。こらしめてやる。痛(いた)い。やめてよ。


 そうして日(ひ)が暮(く)れて、帰(かえ)る時間(じかん)になりました。


 ポンが家(いえ)に帰(かえ)るとお母(かあ)さんが台所(だいどころ)で料理(りょうり)をしていました。こっそりつまみぐいしようと近(ちか)づくと、お母(かあ)さんの手(て)が光(ひか)っていることに気(き)がつきます。


 ポンはたずねます。お母(かあ)さん。なんでお母(かあ)さんの手(て)は光(ひか)っているの。お母(かあ)さんは、自分(じぶん)のおおきな手(て)をみた後(あと)に答(こた)えます。それはきっとポンのために料理(りょうり)をがんばってきたからよ。


 お城(しろ)を作(つく)るのが上手(じょうず)なコン。料理(りょうり)がおいしいお母(かあ)さん。ポンはその手(て)の光(ひかり)が得意(とくい)をみつけているのだと理解(りかい)します。


 ポンはためしに包丁(ほうちょう)を握(にぎ)りました。どう、お母(かあ)さん。ボクの手(て)、光(ひか)ってる?


 お母(かあ)さんは答(こた)えます。うん。キラキラ光(ひか)っているよ。


 ポンは喜(よろこ)びました。お城(しろ)を作(つく)るのは得意(とくい)じゃないけれど料理(りょうり)は得意(とくい)なのだとわかったからです。


 ポンは包丁(ほうちょう)を持(も)ったまま飛(と)び跳(は)ねました。危(あぶ)ないよ。お母(かあ)さんの声(こえ)が聞(き)こえました。


 もう聞こえません。


 ポンは気づきます。自分のちいさな手のひらが、壁掛けのランタンに照らされてキラキラ真っ赤に輝いています。


 そうか。ボクのキラキラはこれだったんだ。


 気がついたところで喜べません。誰も褒めてくれません。


 鍋がグツグツ音を立てます。

 ろうそくの灯りがシクシク体を揺らします。


 あの時コンを突き飛ばしたりなんてしなければ、光り輝くことなんてなかったのに。


 ポンはワンワン泣きました。


おしまい

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― 新着の感想 ―
 ポンの抱えている才能も内面もヤバすぎますね。この分だと、コンも帰る前に口がきけなくなってそうです。  単なる乱暴でイタズラ好きで終わってほしいタヌキさんの、光らせたらマズイかもしれない煌めきのお話、…
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