キラキラおてて
コダヌキのポンは怒りました。
いつもあそぶ公園に、みたことのないコギツネがいたからです。
ここはボクがあそぶ場所なのに、勝手に入ってくるなんてひどいやつだ。
ポンは言います。その砂場はボクがあそぶんだぞ。
コギツネはバケツでお城を作りながら答えます。ごめんよ。ボクはコン。よかったら一緒にあそぼうよ。
お城はちいさくとも精巧に作られていました。ふだんポンが作るトンネルよりもずっとずっと上手でした。
ポンは気づきます。コンのちいさな手がキラキラと光っていることに。
その光はなんだ。ポンが聞けば、コンは答えます。光ってなに? ボクにはみえないよ。
そんなはずがない。ポンはまた怒りました。キラキラの手がお城を上手に作るのをみて、すごく腹が立ちました。
その光があるからお城をうまく作れるんだ。ズルい。
どうしたら手を光らせられるんだ。ポンの質問にコンは困りながらも答えます。
わからないよ。きっと生まれた時からかもしれないし、ずっとお城を作っていたから神さまが光らせてくれたのかもしれない。
嘘つきだ。神さまなんているわけがない。
ずっとお城を作ればいいなら、そこをどけよ。ポンはコンを強く突き飛ばしました。痛い。コンは泣きだしました。
それがポンにはいい気味でした。手 の光の秘密を教えないからです。
コンのお城を壊して新しいお城を作ろうとしたとき、泣いていたコンが言いました。
きみだって手がキラキラ光っているじゃないか。
ポンは自分のちいさな手のひらをみましたが、黒い毛に黒い肉球があるだけで光なんてありません。
それでもためしにと砂のお城を作ろうとすれば、コンのものとは似ても似つかないお山ができました。
嘘つきキツネめ。ポンはまたコンを突き飛ばしました。嘘じゃないよ。ほらまた光ったとコンは言いました。まだ嘘をつくのか。この悪いキツネめ。こらしめてやる。痛い。やめてよ。
そうして日が暮れて、帰る時間になりました。
ポンが家に帰るとお母さんが台所で料理をしていました。こっそりつまみぐいしようと近づくと、お母さんの手が光っていることに気がつきます。
ポンはたずねます。お母さん。なんでお母さんの手は光っているの。お母さんは、自分のおおきな手をみた後に答えます。それはきっとポンのために料理をがんばってきたからよ。
お城を作るのが上手なコン。料理がおいしいお母さん。ポンはその手の光が得意をみつけているのだと理解します。
ポンはためしに包丁を握りました。どう、お母さん。ボクの手、光ってる?
お母さんは答えます。うん。キラキラ光っているよ。
ポンは喜びました。お城を作るのは得意じゃないけれど料理は得意なのだとわかったからです。
ポンは包丁を持ったまま飛び跳ねました。危ないよ。お母さんの声が聞こえました。
もう聞こえません。
ポンは気づきます。自分のちいさな手のひらが、壁掛けのランタンに照らされてキラキラ真っ赤に輝いています。
そうか。ボクのキラキラはこれだったんだ。
気がついたところで喜べません。誰も褒めてくれません。
鍋がグツグツ音を立てます。
ろうそくの灯りがシクシク体を揺らします。
あの時コンを突き飛ばしたりなんてしなければ、光り輝くことなんてなかったのに。
ポンはワンワン泣きました。
おしまい




