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ギャノメシ② タケシメシ① How to 牛丼

「…ん。いいでしょう。じゃ、これ採用で」

「ありがとうございます」

 来週号の記事を持ち込みに来たタケシ。今日の対応は編集部秋山だ。


ピーン ポーン パーン ポーン…


「お、昼休みか。タケシ君、昼メシ一緒にどうだ?」

「はい。お供いたします」


「さて…何食う?」

「えーと…ああ、牛丼でいいんじゃないでしょうか」

「牛丼ね。いいね。それで行こう」


「牛丼大盛り…セットで」

「俺は…並に卵と味噌汁で」

「タケシ君、案外少食なんだな」

「いやいや、編集部に来る前に、ちょっとコンビニで軽く腹ごしらえしちゃったんで」

「なるほどな。むしろ流石に若いな、ってとこか」

「はい、大盛りセットは」

「あ、こっちで」

「じゃ、こちら並に卵と味噌汁ね」

「はい、ありがとうございます」

「じゃ、食おう」

「いただきます!」

 で、食べ始めるかと思いきや、そこでタケシが取った行動に、秋山は固まった。

「…何やってんの?」

「え? 何って…」

 タケシが取った行動とは。

 まず牛丼の具を左に寄せ

 空いたスペースにこれでもかと紅生姜を載せ

 紅生姜だけでご飯をモリモリ食べる。

「それ、紅生姜の味だけしかしなくない?」

「そんなことないですよ。牛丼のツユと紅生姜の辛さのハーモニーが」


ガツガツ


「なかなかイケるんですよ」


ガツガツ


 若者らしい勢いで半分ほど食べると

「このくらいまで食べたところでですね」

 先ほど頼んでおいた卵にしょう油を少々垂らしてかき混ぜ

「こう、具の上にかけるわけですよ」

 溶き卵をドバッと一気に丼へ。

 さらに七味をパッパッパ。

「こうすると、何だか具沢山の牛丼食べてる気が!」

 そして引き続きガツガツと。

「なんなら具を溶き卵に漬けて、すき焼き風に食べるのも有りなのです。ふぅっ。ごちそうさま」

 残りを一気に平らげるとお茶で一服。

「ふーん…今度試してみるわ…」


 翌週。

「おはようございまーす」

 いつものように入稿で訪れると


ガタン


「タケシ君! あの食べ方、ヤバイな!」

 あいさつより先に、秋山が立ち上がり叫ぶ。

「ねっ? そうでしょう?」

「ヤバイよ、あれ。あれ以来あの食べ方でしか食えなくなったもん」

「なに何? 何の話ですか?」

 渡辺が首を突っ込んで来る。

「牛丼の並を頼んでですね」

 タケシによる牛丼食べ方講座が始まり、暫し牛丼談義に花が咲く。

(牛丼の食べ方一つでこの盛り上がり…この星の食文化、侮れないわね…)

 何か勘違いしてしまったかもしれないルミであった。

昔勤めていたところの後輩がこういう食べ方をすると言っていて、「えー…」と思ったんですが。

曰く、具が少なくて丼一杯分食べるのしんどい、と。

まぁ騙されたと思ってやってみてくれ、というのでやってみました…

…以来、この食べ方です。

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