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3.リュードは殺されたの?

「そしてあなたは、サイラス王国()()()()国王のご子息、第三王子リュード様でございます」


 亜麻色の髪の美少女サーラの言葉が、まだ事態をよく理解できていないリュードの頭に響いた。



「じゅ、十七代国王!? ね、ねえ、サーラ。今はサイラス歴何年なの??」


 唖然とした表情で尋ねるリュードに、サーラもやや困った顔で答える。


「ええっと、今はサイラス歴827年です」


「!!」


 リュードことサックスは言葉を失うほど驚いた。ここは単純に先ほど自分がいた時代から約500年後の世界となる。



(やはり俺は暴れ馬に轢かれて死んだのか……、そしてこのリュードと言う王子も殺されて……)


 そして思い出す先に水の中で感じた背中の激痛。何か鋭利なもので刺されたような感覚。水に漂う自分の血。



(俺は、リュードは何者かによって殺されたんだ。ナイフか何かで刺され、噴水に落とされたに違いない)


 リュードがサーラに尋ねる。


「なあ、そう言えばさっきそこに倒れていたよな? 何があったんだ?」


「ええっとぉ、リュード様と一緒に居て……、うーん、よく思い出せないですけど、何か頭に衝撃みたいなものが走って、それから気付いたらリュード様に助けられていて……」


 サーラが心底困った表情で答える。



(なるほど。つまり俺をった奴は、一緒に居たサーラも襲ったと言うことか。無事だったのが不幸中の幸い)


「つまりそれは俺と同じく誰かに殺され……、かけたってことだな」


 サーラが驚き、そして申し訳なさそうな顔で言う。


「リュ、リュード様も襲われたのですか!? 申し訳ありません!! 剣術指南の私が居ながら危険な目に遭わせてしまって……」


 泣き出しそうなサーラの顔を見てリュードが笑顔で答える。


「笑いな、サーラ。君のような可愛い子には涙は似合わない。良ければ俺とふたりっきりでお茶でもしながらこれからのことでも話さないかい?」


 可愛くて巨乳のサーラ。口説かずに置く訳にはいかない。


「で、でも……」


 困惑するサーラを見ながらリュードが言う。



「気にしなくていい。幸い回復のアーティファクトがあったんで怪我も治った。運が良かったよ」


「え!?」


 それを聞いたサーラが驚愕した様な表情になって言う。


「リュ、リュード様!? そのアーティファクト、お使いになったんですか!?」


 サーラがまだリュードの手にあった割れた首飾りのアーティファクトを見て尋ねる。


「え? ああ、ノースターで大した物じゃなかったけど、運が良かったかな。偶然目に入って……」


「ううっ……」


「ひゃっ!?」


 突然目に涙を溜めながらサーラが震えた声で言う。



「よ、良かったです。私がどれだけ剣術を教えても上達しないので心配していましたが、まさかアーティファクトを使えたなんて……」


(な、何だそれ……、リュードってそんなに弱いのか……!?)


 こんなに可愛い子に泣かれるほど心配させていたリュードとは一体何をやっていたのだろうか。確かにアーティファクトは誰でも使えるものではないが、この程度で驚かれるのは意外である。リュードが答える。



「まあ、この程度大したことはないよ。それより服を着替えたいな。びしょ濡れだし」


 サーラがすっと立ち上がって軽く頭を下げて答える。


「はい、リュード様。ではこれよりお部屋へ案内致します。まだ何者かが潜んでいる可能性があります。今度こそ私がしっかり護衛致しますので!!」


「あ、うん。ありがと」


 真剣な表情のサーラにリュードも苦笑して答える。常識で考えれば暗殺者は既に立ち去っているだろう。だが剣術指南と言う彼女に護衛されるのも悪くはない。



「じゃあ、行きましょうか」


「ああ、頼むよ」


 リュードはそう笑顔で話すサーラの隣に立って歩き始めた。

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