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入学
中学3年の夏、高校野球予選大会の決勝戦を僕は
スタンドで見ていた。
その理由は、選抜高校野球大会優勝校の1番センターの小学校の先輩を応援しにいっていたからだ。
試合は序盤から優勢に進めて行き、気がつけば5回
終了時点では10対0と完全に試合は決定的となっていた。
「準々決勝からギリギリの試合だったけど決勝が
1番楽に勝てそうだね。」
先輩のお母さんはホッとしていた。
誰ももう逆転なんて思っていない。
そのまま試合は終わり公立高校の悲願の甲子園への
出場はとても高い壁に阻まれていた。
そして、その二週間後その負けた高校に誘われるとは思いもしなかった。
夏休み僕は野球部の顧問と高校の先生と話していた。
「うちで頑張ってみるか?」
僕はすぐに行くと決めた。
行かない理由はない。
負けたからでもなんでもない、
受験がそこで終わったのだから。
今県内の公立高校で1番勢いを持って、
夏の予選の大会準優勝2回
ベスト8には常連の高校だった。
甲子園への悲願校と、高校野球の雑誌には
載せられていた。
背番号6番をつけて、甲子園に行く。
大きな期待を持つ中学3年の夏だった。