裏で蠢くバカども その1
うん。うまい具合に書き過ぎを抑えられたかな。書ききれなかった分スッキリ爽快とは行きませんがしゃーなしですね。
と言うことで多少物足りないかもしれませんが、お読みいただけると幸いでございます。
古風な建物の縁側に立つ男と、庭に突っ立っている男が何やら怪しげに話をしていた。
「問題児どもの動静はどうかな?」
「何やら大掛りな陰謀を企んでいるようです」
生っちょろい青瓢箪の問いに、土気色をした小男が神妙に答える。
「てかさ。お前、いい加減酒を控えたら? 転生前に病気で死んじゃうよ?」
「え? 地獄でも病気で死ぬんですか?」
「知らんけど。生前は博識な妖怪が色々教えてくれたんだけどなぁ」
青瓢箪は、残念そうに首を左右に振った。
「まあいいや。肝臓。引き続き頼むぞ」
「あ、はい。裏なり瓢箪どの」
「貴様、総理に言いつけちゃうよ?」
「始まったよ。晴明の告げ口外交」
そう。縁側に立つ男は安倍晴明、外道丸が毛嫌いする男である。その服装は平安貴族風・・・何でジャージなんだよ。しかも青。高校の体操着かよ。
「江戸城に門まで作ってもらっても、平和が続けば飽きられてポイ。ヤケ酒三昧の服部肝臓くんw」
「草生やすなや!」
唾を飛ばしながらイキリ立つ肝臓くん。いや半蔵くんか。て言うかお前は赤のジャージかよ。
「お前は、情報収集以外は役立たずなんだから、麿の言いつけだけお聞き」
「で文麿の方はしっかりやってるか?」
「敬意を込めて総理と呼んでやれ。相変わらず理想郷にかぶれてるよ。地獄に来てまで独裁万歳でもあるまいにねぇ。あの暴力革命が成功してたら、日本も現世で地獄を見せられてたんだから。おおヤダヤダ」
「まあ、そう言いなさんなって。俺たちは搾取側に回れば幸せになれるんだし」
半蔵は悪い笑みを浮かべる。
「まったくだねぇ。独裁洗脳弾圧虐殺。理想主義は、まさに地獄にピッタリのシステムでおじゃるな。まあ地獄では搾取は出来んでおじゃるけど」
「亡者に財産はないですからね。どうして急におじゃる麿な喋りに?」
「でもさ。等レ16で貨幣経済が生まれたんだって? これを地獄全体に広めてしまえば、党幹部はウハウハでおじゃるな。こっちにも都合があるんだよ。いちいち誰のセリフか表現に織り込むのが面倒になったのでおじゃる」
「クリスタル本位経済でござる。ここも現世のごとく物欲世界に変えちゃいますか。ニンニン」
「神様プログラムをどう誤魔化すかでおじゃる。ニンニンは笑えるけど協力ありがとうね。はっとり君」
何とも下世話な話ではありますな。
「あとは軍部の動静が気になる所だな。そっちの方もよろしくおじゃる」
「晴明氏。探っておくでござるよ。ニンニン」
はっとり君が庭から姿を消すと、晴明も廊下の奥に消えていった。
「晴明さん。どうだった? 自由派に何か動きがあった?」
「どうにかなるでしょう。アジア全土を赤く染めようと計画するよりは、めっちゃ楽でおじゃる」
「そうなの? あの時は戦火を広げるたびに陸軍に文句を言われて大変だったんだよん。でも五十六君がアクロバティックに、それまで陸軍も海軍も反対で却下されてた奇襲作戦を上手いこと実行しちゃったもんね。マジで凄いね。あれでチャーチルもスターリンもルーズベルトも筋書き通りに計画が進むと言って大喜びでさ。お陰でアメリカが参戦して、毛沢東同志も大喜びだったし」
「おかげで億単位で悲惨な人民が増えましたがね。でも毛沢東も角栄に日本には大変感謝してるペロっと言っちゃったくらい嬉しかったそうですね。おじゃる」
「君ぃ、人民の犠牲は理想の実現には当然必要な事なんだよね。レーニン君も、スターリン君も、ヒトラー君も、毛沢東君もポルポト君も理想主義者は皆、大量虐殺はやるもんなんだよ。完全平等主義者の完璧な優れた指導者って、本当に素晴らしいね」
「理想の名の下に、人間があそこまで出来ることに恐怖を覚えます。おじゃる」
「要するに平等の名の下に人民を皆等しく貧乏人にして特権階級のみが富を独占できる理想郷は、そこまでしないと出来上がらないのよ」
「そこまで言い切るのも凄いでおじゃる。ここまで言える自由って素晴らしい! 自由主義万歳! 言論の自由万歳でおじゃるな」
「そうそう。言論弾圧反対! 言葉狩り反対! 自由主義万歳! て喧嘩売ってる?」
「滅相もないでおじゃる」
「理想郷とは、そういうものなのよ。一部の統治者が多くの愚民を洗脳弾圧し続けて出来上がるものなの。人民がものを考えない画一化されたロボットみたいな存在になってこそ真の平等が訪れるんだよ。つまり一神教と同じ。まあ思想の根っこが一神教だからね。だから絶対的な独裁的神が居なくて皆んな仲良くナアナア的な多神教感覚の日本では深く根付き難いんだけど、麿ちゃんは、その理想郷を地獄から作って現世を恐怖で縛り上げて侵略し尽くすつもりだもんね」
「麿も賛同するでおじゃる。一部の特権階級だけの理想郷の実現でおじゃる」
「晴明ちゃんが麿って言ったら、みんなが分かりにくいでしょ。麿は文麿だけでいいんだよ。君はおじゃるだけでわかるからね」
頷く晴明は下を向いてチロリンと舌を出した。
お読みいただき、ありがとうございました。




