次郎丸の災難 その2
御免なさい。
書き溜めた在庫がこの回で枯渇しました。
見直し時間が減っていますので益々酷い内容ですが、どうぞよろしくお願いします。
「おほほほほ」
その頃、美紗子はと言うと、やけに上機嫌であった。
「私の関与しない所で、妙に都合よく話が進んでいるわね。
美紗子にとって、仲間が増えることが、そんなに喜ばしいことなのであろうか。まさか、もっと重大な事象が着々と進行しているとでも言うのか。
「奥方様、どうかお許しくださいまし」
背中を丸めて床に横たわる次郎丸が呻く。
「ダメよ。新しい地獄では、全獄民に虫を飲ませるんだから。うんと扱いやすい潜虫の品種改良は重要な事柄よ」
「私めだけではなく、体の丈夫な徳右衛門をお使いくださいまし」
「ああ、徳公ね。忘れてたわ。あいつも呼び寄せて実験台ね」
と言いながらも、ピンク色の何とも気色の悪い虫を、ピンセットで瓶から取り出している。
「はいアーン。桃ちゃん28号よ」
まるで条件反射のように口を開ける次郎丸。
「この虫はね。人体から引き摺り出されて、潰されても死なないの。人体の復活に合わせて、復活する特別な子なのよ。どうしてかって? それは、寄生するときに宿主の遺伝子を取り込んじゃうからなの」
美紗子は、さも自慢げに妊娠で張った胸を張る。
「神プロのフィルターを亡者の遺伝情報で眩ましてしまえばチョロいものよ。おほほほほ」
おっと、何とも物騒な話ですな。
「私の王獄では、私以外のみんなが、この子を飲むのよ。おほほほほ」
上機嫌な筈です。一気に斉藤衆、鈴木衆まで味方について、更に死んでも死なない潜虫の開発にまで成功していたなんて、祐介たちが聞いたら、どう言う反応を示す事やら。
「本当は駆除方法も予防方法もあるのだけれど、それは私だけの秘密」
弱点はあるんですか。そうですか。
何故だか次郎丸が、にやりと笑ったような気がするのは、気のせいであろうか?
「今のところ、気がかりなのは軍部の動きね。私の身辺にも、特務の影がチラついてるように感じるの」
その口調は次郎丸に語っているのではなく、独り言になっていた。
「計画では、暫く、この獄界に留まらざるを得ないのよね。少なくとも主神が確立するまではね。そのためにも祐介には、頑張って貰わないと」
話しているうちに、美紗子の瞳に鬼火が宿る。
「そして、私の赤ちゃん。絶対に無事に産みますからね」
瞳に鬼火を湛えたまま、不気味に微笑む美紗子。その神気に打たれたのか、意気地無く蹲り震える次郎丸であった。
“俺は大丈夫。俺は大丈夫。俺にも、きっとチャンスはある。俺は大丈夫 ”
どうもありがとうございました。




