徳を積み己を高めます その9
御免なさい。
書き溜めた在庫が枯渇して来ましたので、投稿のペースが落ちちゃいました。
これに懲りず、どうぞよろしくお願いします。
あ、内容の出来にも懲りずに、どうかよろしくお願いします。
撤斎が偵察に出てから、ひろみちゃんとヒゲ隊長は作戦会議を開いていた。
「取り合えず、山を燃やしちゃおうかぁ」
馬から降りて尻を摩りながら、ひろみちゃんがこともなげに言う。
「いやいや、まだ潜伏場所も何も分かっていないのに、山を燃やしてどうするんですか」
「でも、この山のどこかに居るんだよねぇ。邪魔な森を丸焼きにして探した方が早くないかなぁ。僕チン、早く女の子と柔らかいベッドで、癒されたいんだよねぇ」
「このクソ野郎が、ひろ子叔母様の子供じゃなければ魂を削って、鬼神格そのものを消し去ってくれるのに」
「君、なんか物凄く酷いことを言っているよねぇ。それに何で、ママんの話をすると、顔が紅潮するのかなぁ。年増好み?」
「マジで一回、デリートされますか?」
「復活コマンドあるぅ?」
「神のみぞ知るです」
「じゃ、やだぁ」
頑丈な歯が折れそうなほど、歯噛みするヒゲ隊長であった。
「そんな事よりさぁ、ささっと火を付けようよぉ。ぱぁっと楽しそうだし」
「火を付けるのは構いませんが、燃え尽きるまで何日もかかりますよ? それまで、ここでぼーっと時間を潰しますか?」
「えっ? そんなに時間がかかるのぉ?」
ひろみちゃんの喋りは文字だけで見ると柔らかそうであるが、実際に聞くと野太い濁声で威圧感が凄く気の弱い亡者であれば、声だけでも消魂されるのではと思ってしまうほど恐ろしげである。
しかし、ひろみちゃんを心底軽蔑しているヒゲ隊長は、平然と侮蔑の表情さえ交えて応対している。まあ鬼神同士なので、それほどの威圧感は感じないのであろうが。
「これだけの森ですからねぇ。あっという間に燃え尽きるわけないでしょう。そもそも狭間の影響で、ブレスの位置特定も漠然としたものなので、どこから火を付けた方が効率的かも分からないですし」
「役に立たないねぇ、君ィ」
「あんたに言われると、物凄く腹が立つんですけど」
二人は言い争ってばかりで、ちっとも話が進まない。
「今は八兵衛の偵察を待つしかないですね。正確な潜伏場所を特定しないと、まともな作戦も立てられない。足手纏いの鈴木衆の配置も、よく考えないといけませんしね」
「うん、優秀な斎藤衆が、僕たちの先兵として働いて呉れ給え。無能な鈴木衆は、後方で茶でも飲んでるよぉ」
「ムカつきますが、あんたらには、そうして貰った方が良いですね。そもそも鈴木衆の大半は雑役ですから、作戦に参加しないでも大した影響はないでしょう」
祐介たちに比べて、チームワークさえおぼつかない征伐隊である。
「対象は一名です。場所が特定できれば、我々が押し包んで一気に搦めとりますよ」
「でも奴は、レベル16でもトップレベルの実力者だよぉ。しかもレベル16の強化環境で鍛えられているから、下手したら僕チン並みに成長してるかもしれないよぉ」
「だからこそ、弓隊まで作ったんでしょうが。分が悪くなれば、味方もろともハリネズミにしてしまえば良いんです」
「なかなかエグい作戦だねぇ」
「まぁ、そこまでやらんでも、鎗隊で押し包んでしまえば手も足も出んでしょう」
ヒゲ隊長は自信満々である。
「気になるのは、奴らの仲間です。それこそ等レ16の最強コンビと、そのコンビさえ凌ぐと言われている、ギャンバッテン国の使い手まで、一緒に逃げ出したそうじゃないですか」
「うんうん、それに凄腕くノ一に、我らがアイドル、おコンちゃんも一緒だぉ」
ひろみちゃんの相好が、だらしなく崩れる。
「彼らには、祐介の居場所を知る手立てはないでしょう。奴が、ここに潜伏している以上、ブレスでの連絡も出来ませんからね」
「まぁ僕が奴らだったら、僕たちの動きをマークして探ったりするけど、そこは抜かり無いから安心だねぇ」
・・・。
「まったく、愚かな奴らですね。私だったら、討伐隊にスパイを送り込む事くらいは考えますよ。あははははは」
・・・。
「それより八兵衛は、うまくやってますかね」
「まぁ、出来そうな奴だったから大丈夫じゃないかなぁ」
・・・。
「念のため、もう二、三組偵察隊を出しましょう」
「うん、これで万全だなぁ。がははははは」
二人して、高笑いをする愚か者であった。
どうもありがとうございました。




