徳を積み己を高めます その4
御免なさい。
書き溜めた在庫が枯渇しそうなので、今後の更新は間が空いたり一日一回だったりするかもです。
どうぞよろしくお願いします。
バテレンさんは、激しく喘ぐ牛頭馬頭の猿轡も、何日か振りに解いてやった。
「ブハ、ブハ、ブハ」
「ゲホ、ゲホ、ゲホ」
二匹は肩を大きく揺すって空気を貪り吸う。
「こ、この種馬野郎ガァ!」
「散々、人を弄びやがって!」
息が整って来た二匹が、同時に叫んだ。
「おお、喋れんのか?」
「鞭の痛み。肛門の痛み。きっちり返してやるからな!」
「三倍返しだ。お前らには、三倍デカイのを突っ込んでやる!」
「キュ!」
バテレンさんが、恐怖にケツの穴を抑えて飛び上がる。
「ぎゃははは。アレは面白かったな。尻子玉が本当に有るか探したんだが、やっぱりなかったな」
あんたら、そんな事までしてたのか・・・
「俺は、そんなもの無い、て止めたよね? ね? ね?」
バテレンさんはガタガタ震えている。
「バテレンさん、心配すんな。こいつら異世界送りだ。今から次元の狭間に投げ捨てよう」
「悪うございました」
「どうかご勘弁を」
牛頭と馬頭は縛られたまま、器用に頭を地面に擦り付ける。
「種馬・・・いや、祐介様。どうかご勘弁を。なんでも言う事聞きますから。投げ捨てるのは馬面だけにしてください」
「いえいえ、俺こそ忠実な下僕になりますので、どうかご容赦を。そのかわり牛頭めは、私めが狭間まで担いで行きますので」
なんか凄いデジャヴ。
「ふむふむ。その方らの希み、よっく分かった。バテレン、紙と筆はあるか?」
「無いよ。そんなもんどうすんの?」
「今言った事を念書にすんの」
「ああ、そういう事ね」
バテレンさんは、小屋に入って行った。しばらくして、何やら巻物らしい物を手にして戻って来る。
「狩った獣の皮か、丈夫でいいかもね。筆記用具が無いなら、こいつらの血で書かせよう」
そう言うと、手首だけが動かせるように、二匹の縄を緩めてやる。
「指を伸ばせ」
先ずは牛頭から、人差し指の先を包丁で切る。
多少、描きにくそうであるが後ろ手にされた指で器用に、皮の上に文字を並べて行く。
しかし、二匹とも瞬生だけに、傷口から滴った血で書けるのは一文字か二文字だから、面倒になった祐介は、一気に手首を掻き切り、大量の血を木皿で受け止めた。溜まった血液なら、すぐには消えない。
「私、牛頭は、吉田祐介を主人とし、主人の下僕として、地獄に生ある限り忠誠を誓います」
「地獄に生ある限りって、変じゃね?」
バテレンさんが文言に突っ込む。
「なんか言った?」
「別に。それより親分、身分は俺の下にしろよ」
面倒だな「下僕としての地位は、先輩下僕より下と認めます。主人から下された命令は、如何なる理由があろうとも、断る事なく実行します」これでいいか?
最後に署名させて、念書の完成である。
馬頭にも同様の念書を書かせて、血文字が乾くまで、広げたままにしておく。
「そろそろ乾いたかな」
表面を確認し、くるくると丸めてケツのポケットに捻じ込んだ。
「縄を解いてやれ」
「い、良いのか?」
バテレンさんは不安そうであるが、祐介は構わず縄を解かせた。
「ありがとう。ありがとうよ」
「ああ、ご主人様。助かりました」
祐介は知っていた。こいつらの目が、まだ虚ろで、思考が回っていないらしい事を。
そんな状態ではあるが、祐介は情報収集のために、牛頭馬頭から話を聞く事にした。
どうもありがとうございました。




