徳を積み己を高めます その2
御免なさい。
書き溜めた在庫が枯渇しそうなので、今後の更新は間が空いたり一日一回だったりするかもです。
どうぞよろしくお願いします。
祐介は、ここ二、三日ずっと考え込んでいる。
“善行かぁ。やっぱ、いい事しないとねぇ”
考え込んでいる。
“人として生まれたからには、善行を積んで、徳を高めないとなぁ”
人としての生き方に悩んでいる祐介であった。
地獄に堕ちて、これからの生き方を考える。これって地獄本来の在り方じゃないですか?
“徳を高めたら、きっと良い事があるはずだ。善悪は、差し引き勘定で相殺できるものではない、と鬼っ娘も言っていたし、俺が悪行を重ねていたとしても、天国に行けば、悪行とは関係なしに良い事があるはずだ。いや天国が退屈であったとしても来世ではウハウハ・・・”
来世での人生設計を主に考えている・・・ロクな事は考えていない祐介であった。
“異議あり! たとえ動機は不純でも善行を積む事は良い事だよね”
そりゃ、善行って言うくらいだし。
“だったら、欲が無くて、善い行いもしない人と、欲深だけど善い行いを、いっぱいする人と、どっちが良い人?”
それは確かに、いっぱい善い事する人の方がマシだとは思うが。
“でしょ? だったら神プロだって、実績重視の判断を下すんじゃないかな? なぁ?”
いやいや、そこは精神的な成長が重要なのでは?
“はぁあぁ? 心が綺麗でも人助けをしない人に、なんの価値があるんですかぁ? 何のために、心清らかにするんですかぁ? 人の役に立たずに、自分だけ良い子ちゃんで、来世ウハウハなんて、間違ってるでしょう。自分だけ清らかなら良いなんて、それこそ我欲ではないですかねぇ”
・・・言われてみれば正論・・・なのかなぁ?
“善行積めば来世はウハウハ。善行積めば来世はウハウハ。俺は今後、この方針で行く”
祐介は小屋の中で大きく伸びをした。
「親分、お目覚め?」
「ああ。バテレンさん、朝食何?」
「今日は干し肉のスープだ」
「ふーん、いつも質素だね」
「ちょっと温め直すから待っててね」
「はいよ。あとで狩りにでも行くか」
祐介は、ブレスを眺めて、今日も念じてみる。
「こちら祐介、こちら祐介、聞こえますか?」
声に出す必要はないのだが、ついつい電話感覚で声を出してしまう。
「聞こえますか?」
お蝶や外道丸たちをイメージして念じるが、次元の狭間が影響しているようで繋がりそうにない。
「親分、今日もダメか?」
「ダメだなぁ。いっそ、ここから動くか。狭間から遠ざかれば、影響は無くなるんだろ?」
「俺はブレスの仕組みまで分からんが、多分、正常に機能するようになると思う。でも動かないが良いぞ。ここを動けば、居場所を探知される。軍や局の手勢が攻めて来るぞ」
それは困る。
「うーん、あいつらと合流して美紗子の別荘に戻れば、ひろみちゃんとも和解できると思うんだけどなぁ」
一人で戻るにも、別荘の場所もわからんし心細くもある。
「そんなに簡単なのか?」
「ひたすら謝れば、どうにかなるんじゃね? いくら何でも、ひろみちゃんも、そこまで鬼じゃないだろ」
「いや、鬼でしょう。いやいや、鬼より格上の鬼神だし」
「まぁ、そうだけど、そうじゃなくて。つまり、俺って、ひろみちゃんの奥方を寝取って、孕ませちゃっただけじゃん? 誠意を持って謝れば許すでしょ」
「だけじゃん? って、そんな考えで誠意も、へったくれもないって言うね。まぁ親分はアホだから、仕方ねぇが、世間の常識では、不倫は夫婦間の愛情欠如が問題だから良いんだけど、孕ませたら『だけじゃん』って程軽い罪じゃないよ? 多分」
「いやいやいや、美紗子が子供を欲しがってて、無理矢理犯されてたのは、俺の方だし」
「で、そのプレイを心行くまで堪能したと」
「・・・うん」
祐介は、起き上がって胡座をかいた。
小屋の土間で、バテレンさんが鍋に入ったスープを火にかけている。
「小地獄では、生活用品は自作するしかなかったけど、ここでは鉄鍋とか手に入るのな」
「まあね。獄卒への官給品が出回るんだよ。古くなった官給品が嫌で、それを捨てて新品を、おねだりするらしい。亡者は拷問受けるのに忙しくて、生活必需品なんて要らないだろ。だから、ちょっと探せば消滅する前の、まだ使える物が落ちているんだよ」
遺棄された道具が、一定時間を過ぎるとい自然消滅する仕組みは、小地獄と同じらしい。
「飯を食ったら、生きの良い食材探しに行くか」
祐介とバテレンさんは、そんな具合に、のんびりと日を送る。
どうもありがとうございました。




