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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第二章 野望編
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ここにも、そこにもバカがいる その8

どうぞよろしくお願いします。

 二匹の獣人を地面に転がすと、祐介は上を見上げて言った。

 「よし。この枝だな」

 「吊るすのか?」

 「最後の仕上げは、吊るしが定番でしょうが」

 「ゴクリ」

 縄目から逃れようと藻掻く獣人を、殴りながら太い枝に吊るす。

 祐介とバテレンさんは、汗まみれである。

 「よっしゃぁ。完成だぁ」

 「俺たち、やり遂げたな」

 「うん。会心の出来だ。これは、もう表現の不自由な芸術、と言って良いだろう」

 一人と一匹は地面に腰を下ろして、自分たちの作品を鑑賞している。

 バテレンさんが、小屋から瓢箪を持って来た。

 「親分」

 「なんだ?」

 「この辺の果実を集めて作った酒だ」

 「おいおいおいおい。マジかよ。地獄で酒が飲めるとは思わなかったぞ」

 「ケケケ。この辺りでは、作ることができるのよ。きっと神プロの不具合だな」

 鑑賞会に酒まで入って、おおいに盛り上がる。

 「でだ。親分は、こいつらと顔見知りなのか?」

 「おうよ。こいつらは瞬生の牛頭と馬頭だ」

 「ブフッ」

 酒を吹き出すバテレンさん。

 「マジかよ。コイツらが本物の伝説かよ」

 「そうそう。自称伝説じゃなくな」

 「いやいや。俺様も」

 「誰か他称してくれるのか」

 「・・・」

 「コイツらも、俺と一緒に美紗子の別荘で匿われていたんだよ。ていうか俺は文字通りの囲われ者だったがな」

 「美紗子って?」

 そう聞くバテレンさんは、皿まで、いや頭のてっぺんまで、赤くなっている。

 「ひろみちゃん、入獄管理局局長様の奥さんだ」

 「・・・親分は本物の大物だったのか」

 祐介達の会話を聞いているのか、諦めたのか、牛頭も馬頭も、今は大人しくしている。

 生前以来の酒に気を良くした祐介は、これまでの経緯をバテレンさんに説明してやった。

 「成る程ねぇ。それで仲間からも追われているのかぁ。でも、それって親分が謝れば終わりなんじゃね?」

 「そうなんだけどよぉ。お蝶の拷問が怖くってな」

 「おいおい、ここは地獄だぞ? 亡者が拷問を恐れてどうするよ」

 「いやいや、亡者だからこそ、拷問は恐れないと地獄の意味無くね?」

 「あ、そうか。すっかり責め苦慣れしちゃったんで、地獄の目的を忘れてたよ」

 「ははは。馬鹿だなぁ」

 「ははははは」

 うーん、責め苦に慣れて罪の清算に繋がって無い?

 精神的なリセットで、苦痛の記憶が軽減されるせい?

 なんにしても根本的な大問題では?

 「なーんだ、だから現世に戻っても成長してないんだね」

 「親分、身も蓋も無い。これじゃ永遠に解脱できないね」

 笑ってる場合じゃ無いでしょう。

 「てか俺たちって生前の記憶はあっても、その前の記憶はないし、輪廻システムの修行が積みあがんねぇよな」

 「なぁに、徐々に遺伝子に刻まれますよ」

 「遺伝子に? なんか繋がってんの? でも、骨身に沁みない拷問なんて、修行の足しにはならんでしょうに」

 これって神プロの致命的な不具合なんじゃないか?

 「聞くところによると、神が創った宇宙は山ほどあって、失敗作はデリートするんだけど、消し忘れもあって、ダメな宇宙も無数に存在するんだって」

 「あー、あるある。俺もテストプログラムは取ってあるもん。不具合で動かないやつも、後で参考にするから消さずに取ってたな。なーんだ、俺たちって失敗作なのかぁ。俺が出来損ないなのも、神様」

 「おっと、親分、その先は禁句ですぜ。神プロは不敬の閾値があって、それを超えると懲罰ロジックへ飛ばされますぜ」

 「マジかよ。おっかねぇなぁ」

 「懲罰ロジックは、不道徳にも適応されるから、地獄の責め苦以外にも懲罰ロジックで来世が悲惨とか、二重苦三重苦になるんで気を付けないといけない。因果応報システムってヤツで」

 腕組みして考え込む祐介。

 「なら善行を積めば、来世はウハウハ?」

 「ま、まぁ。余程、善行を積めばウハウハかもね。でも欲望で行う善行は善行?」

 「浅いね。浅はかな考えだ。こんな雑なプログラムという事はβ版とか、初期製品とかだろう。て事は、評価の条件文も単純に違いない。例外処理はテストも面倒だからな」

 「何言ってるか分んねぇや」

 バテレンさんは、ゴロリと横になった。

 「地獄でも善行を積めば、きっと、どこかの分岐で賞与ロジックに飛ぶはずだ。ナル・ア・ナル神の喜びそうな善行を積めば、きっと来世は・・・」

 一人、ニヤける祐介であった。

どうもありがとうございました。

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