ここにも、そこにもバカがいる その2
どうぞよろしくお願いします。
というような訳で、脱獄犯討伐隊が組織されて、出陣式となったわけであるが・・・
「おいおい、ガラクタどもと一緒かよ」
「ガラクタとはなんだ! ポンコツどもが!」
「なにおぅ!」
とまぁ、きれいに纏まるわけもなく・・・
「おりゃぁ」
「うがぁ」
と、そこかしこで乱闘騒ぎ・・・
「みんな、喧嘩はよくないよぉ。ほら、そこも」
ガキ、ボカ。
ひろみちゃんの制止も聞かずに、乱闘は広がるばかり。
「この変態鈴菌がぁ」
「黙れ! 斎豚がぁ」
「君たち、品がないよぅ。僕チンの話を聞きなさいよ」
一向に収まる様子はない。
「静粛に!」
そんな中、凛と響き渡る声に兵隊どもの動きが止まる。
「いい加減にしないか! これは斎藤家にとっても、メンツにかかわる問題である。わが同族の、ひろ子叔母上のためにも、斎藤家も鈴菌家も手を取り合って、事態を打破しなければならん」
「なんでママんの名前で赤らむのかなぁ」
「ひげ隊長、おっしゃることは分かりますが、この程度の作戦は、我々斎藤家だけで十分です。
「そうだ、そうだ」
数で勝る斎藤衆が声を揃える。
「もっともな意見ではあるが、鈴菌家のメンツも考えなければならん。元々は、鈴菌家の不祥事であるので、鈴菌衆が主として行動しなければならんのだが、ご存知の通り、今の落ちぶれた鈴菌家では、それは不可能だ。だからと言って、斎藤家の端に連なる鈴菌家を見捨てることもできん。我々も、これ以上、地獄に恥をさらしていいのか?」
一同は静まり返る。
「あのさぁ、その『菌』は、やめてくれるかなぁ」
「え? あ、『菌』って言ってました?」
「思いっきり言ってたよぉ」
「すみません。つい癖で」
おいおい、癖になるほど菌扱いしてるのかよ。
「えーっ、ここは互いの面目のためにも斎藤家、鈴木家、手を取り合って難局に当たらねばならん。私が隊長を引き受けた以上は、何があっても、祐介一味を討取って、汚名を晴らす所存である」
実に堂々とした演説である。それに比べて、ひろみちゃんときたら・・・
「その通りだよぉ。我々は、今回の不祥事を上手い事、うやむやにして局長解任の危機を乗り切らねばならんのよぉ。早乙女家としても、家柄の手前、これほどの醜聞を公にするわけにはいかんので、全力で隠蔽中で、今のところ、幸いにも一部の上層部にしかバレてないのよぉ。我々が上手い事、誤魔化してしまえば、僕チンは早乙女家に戻れるんだから、みんなも力を貸してねぇ」
「これほどの醜聞を起こしたのは、貴様だろうがぁ」
「元々、バカひろみのせいだろうが」
「そうだそうだ、貴様のせいだ!」
「亡者に堕ちろ!」
斎藤家ではない、鈴木家郎党からの罵声の声。
情けない限りである。
「僕が復帰しないと、君たちも旨い汁吸えないよぉ」
「グッ」
「よし、やるぞぉ!」
「そうだ、そうだ!」
「祐介一味を討伐だぁ!」
鬼神って言っても、この程度なのかぁ?
「というわけで、編成は弓隊、鎗隊がそれぞれ七十五名の百五十、雑役五十の総勢二百名。進軍を開始する。進軍開始ぃ」
地獄は原則、飛び道具は禁止であるが鬼神の武力としては認められているのであった。
どうもありがとうございました。




