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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第二章 野望編
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ここにも、そこにもバカがいる その1

どうぞよろしくお願いします。

 厳つい顔に四本角、色付き眼鏡、白スーツ・・・いかにも本職的な鬼神が、とても庶民的な家の居間に正座をさせられていた。

 「まったく、この子と来たら、不甲斐ないんだから。逆玉になって私たちの生活も、やっと豊かになると思っていたのに、問題を起こしてばかり」

 「この役立たずが。とっとと出世して、豪勢な生活をさせろや。官給品の質が、いつまで経っても上がらんだろうが」

 割烹着を着て眉間に皺を寄せた、下町のおばちゃんみたいな鬼と、浴衣姿で胡坐をかいた、おっさん鬼が、ぶつぶつと小言を続けている。

 「ママんもパパんも、もう勘弁してほしいのぉ。僕も努力はしてるんだよぉ。でも部下の働きも悪く、運にも恵まれず」

 「人のせいにしないの。ひろ君が、だらしないからでしょうが。本当に、親子そろって鼻糞なんだから」

 「お、おいおい、このババァ。言うに事欠いて、自分の亭主を鼻糞だとぬかしやがったな」

 「おうよ。あんたが特大の鼻糞だから、息子も鼻糞になるんだよ」

 「なにおう。誰が鼻毛交じりの鼻糞だってぇ? この皺くちゃババァ。狸にでも食われてしまえ」

 「カチカチ山じゃあるまいし、ふざけんじゃないよ」

 目の前で始まった夫婦げんかに、オロオロするばかりのひろみちゃん。

 それにしても下品な夫婦だ。

 「ママん、落ち着いて。パパんも、もう少し冷静に」

 「けっ、婿入り先から追い出されて、出戻ってきた恥知らずが、偉そうじゃねぇか」

 そう、ひろみちゃんは、ついに早乙女家から追い出されてしまったのであった。

 「本当に、婿入り当初は、入獄管理局の局長に抜擢されて、我が家も豪邸に移って喜んでいたら、あっという間に、不祥事を起こして豪邸も取り上げられ、官給品も格下げされて、元の庶民暮らし。とっとと跡取りでも作ればよかったのに、あちこちの女に発射しまくるもんだから、未だに孫の顔も見られない」

 「まったく、俺と爺様の血を引いていながら、なんて不甲斐ないバカ息子なんだ」

 「あら、鈴木家に有能な人物なんていたかしら?」

 「爺様なんて、若いころに大王様に声を掛けてもらったり」

 「ああ『鬼神たるもの下級職員でも、身だしなみには気をつけなさい』でしたっけ。真面目だけが取り柄の甲斐性無しだって、婆さんも嘆いていたものよね」

 「この俺様も大臣に『見事な提出資料だ』と褒められるほどの男だ」

 「始末書がね」

 「お前、いちいちケチを付けないでくれるかな」

 「ゴホゲホッ、ゴホゴホ」

 隣の和室から咳き込む声が聞こえる。

 「あら、相変わらず、自分の悪口になると聞こえるようね。(ひとし)の奴」

 「幾ら何でも義理の父に、その口の利き方はないんじゃないの?」

 「フン、若いころに梅と一緒になって、私を、いたぶっていた癖に。あの爺ぃに、どれ程セクハラされたことか。等も宏も、とっとと召されれば良いのに」

 「おいおい、穏やかじゃねぇなぁ、クソアマが。どさくさに紛れて、亭主までも亡き者にしようってか? ジジィだけならまだしも」

 いやいや。爺さんも亡き者にしちゃダメですよ。

 「あらあら、地獄で天国に召される事の何が、穏やかじゃないんですか? 喜ばしい事でしょう?」

 「クッ、口ばっかり達者な」

 「実力で決着付けますか?」

 「ケッ、今日のところは勘弁してやる」

 ひろみちゃんは、夫婦喧嘩の隙を見て、コソコソと這い、リビングから逃げ出そうとしている。

 「お待ち」

 ビクリと動きを止めて硬直する。

 「ふぅ、いつまで言ってても、話にならないわね。こうなった以上、一族郎党、力を合わせて問題を解決するしかないわね」

 「おっ? 斎藤家も力を貸してくれるのか?」

 「鈴木家の力なんて鼻糞でしょう。うちも大した力はないけど、鼻糞よりはマシですから」

 ギリギリと青筋を立てるが、支援して貰える手前、ぐっと我慢する宏であった。

 「もう、久正(ひさまさ)さんに討伐隊の編成を、お願いしていますから」

 「おい、ひろ子。お前、久正の話になると目が潤むのはなんでだ? ていうか久正は、お前ぇの甥っ子だろうが。なに色気づいてんだよ!」

 ひろ子さん、なんだか顔付きまでキラキラ輝いているんですが。綺麗になってるんですが。

 「久正さんに隊長を引き受けてもらって、鈴木家からも雑兵、三十人くらいは出せるでしょ」

 「まぁ、掻き集めれば三十人くらいなら何とか・・・雑兵とはなんだ!」

 「ママん、久正に隊長を頼めるなら、僕チンも頼もしいよ」

 ひろみちゃんが笑顔に変わる。

どうもありがとうございました。

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