毛根に根性さえあれば、いや想像力の問題でしょう その3
評価をつけて下さった方、誠にありがとうございます。
もしご来獄の際には上級信徒としてア・ナル教の名誉信徒とさせて頂きます!
と言うことで、どうぞよろしくお願いします。
「ふーん? じゃ亡者が一斉に、亡者に都合の良い事を考えたら、地獄は崩壊すんじゃねぇの?」
「そう思うだろ? でも違うんだなぁ。基本的なところは、神のプログラムって奴で、分かり易く言えば、パソコンのバイオスとかオペレーティングシステムと同じで、我々の行動や運命なんて、OSの許す範囲内でしか自由度がないんだ。だから玉を潰されて抜き取られると、地獄でも再生しない」
「お前、なんか気持ち悪いくらい偉そうに語ってるけど、本当に妖怪か? 妖怪にしては、賢すぎるんじゃないか?」
「おうよ。俺は現世では、学者だったからな。ペテン師呼ばわりされてたが」
「なんだ、宣教師じゃなかったのか」
「リアルでもバテレンじゃねぇよ! ・・・妖怪じゃねぇし。聞く気あるの?」
「ある。学者先生」
「まったく、人が気持ちよく偉そうに話しているのに・・・気を取り直してっと。えへん、人の思考なんて、それこそ、人それぞれだろう。こうあるべきだとか。これは違うとか」
「まぁな」
「地獄を形作るにしても、どうしても曖昧な部分が出るわけよ。それが、このように次元の狭間となり、曖昧な場所を作り出してしまう。地獄の淀みのようなものだ」
「そこへ、行ったらどうなるの?」
「分からん。魂ごと消滅するのか、存在自体が変質してしまうのか。誰にも分からん。なんせ神のプログラムでさえ、正常に機能しないと言われているからな」
「怖ぇな」
「化け物が住んでいるかも知れんしな」
「お前か! お前だな! 此処に河童の化け物がぁ!」
「しまいにゃ、殺すぞ」
ふざける祐介に、ウンザリ顔のバテレンさん。
「最近な、この辺で野獣の咆哮みたいのが聞こえるんだよ」
「この辺って、この辺?」
「この辺は、この辺だ。バカ」
怯えたように聞き返す祐介を、バテレンさんは憐れむように見ている。
だって、怖ぇだろ。ヤクザみたいな鬼神とか、牛や馬の生まれ変わりとか、河童の妖怪とか。って、こいつは、それ程怖くも無いか。
「今も、化け物の気配を感じたので、見回っていたところに、お前が出現して来たってわけだ。見た感じ、愚かな臆病者に見えたので、声を掛けてやったってわけだ」
「それは、どうもありがとう。で、ぐずぐず言ってないで、さっさと安全な所へ連れて行って、しっかり俺を守れよ」
「貴様って野郎は・・・。等レ16でも名の通った亡者なんだろ? って言っても殺しても死なない地獄で、力は大して役に立たんけどな」
確かに、その通りであった。斬っても突いても元に戻る地獄では、腕自慢なんて大した自慢にはならない。それに地獄だけに、亡者たちも暴力の脅しには慣れてもいる。
「結局は、地獄や天国は現世と違い、力や脅しなどの誤魔化しが効かない、真面目で善き者が報われる世界ってわけだ」
「俺って、あまり報われないのかな」
「自覚はあるのか・・・神の意志は絶対だ。改心するんだな」
「まったく、とんだ異世界転生だな」
「ああ確かに異世界転生には違いない」
「て事は、亡者の多くが死んだら中世風のファンタジー感溢れる異世界転生だ。と思い込んだら現世の死者はマジで異世界転生するんじゃね?」
「・・・ん〜、それが神のプログラムの枠から外れなければありかもな?」
「どゆこと?」
「大筋的には生前の悪行に対する罰と、善行に対する褒美が合って生命体の精神向上に役立つのであれば、て所じゃないかな? 細かい規定は運営サイドの理に適うようなら承認される的な」
「なるほど。要するに神が納得さえすれば大幅な改変も可能と?」
「あるいは。な」
「・・・」
「まあ、実際、幾度かの大規模改変はあったからね。人が知性を高めていった過程と、宗教による価値観の変化とか、民間信仰の迷信などの影響によってな」
「・・・」
「あくまでも可能性の話だからな?」
「・・・」
どうもありがとうございました。




