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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第二章 野望編
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毛根に根性さえあれば、いや想像力の問題でしょう その2

どうぞよろしくお願いします。

 「俺様のことも知らなかったようだし、ちょっと信じがたいが、敵ではなさそうだな」

 祐介は、その場を動かずにバテレンさんの出方を見ている。

 「お前さん、名前は何と言うね」

 「吉田祐介、元は、しがないサラリーマンで特別記念来獄者だ」

 バテレンさんがピクリと反応する。

 「聞いたことあるな。特別記念来獄者・・・入獄管理局立案の企画だと聞いたが」

 「今や、その入獄管理局の長官殿から追われる身だ。ついでに脱獄仲間からも追われているし、下手したら地獄軍からも、追われているかもしれない」

 「おいおいおいおい、勘弁してくれよ。俺様を巻き込むんじゃねぇよ。俺は関係ないからな」

 バテレンさんは慌てて、その場を逃げ出そうとする。

 「捕まったらバラしちゃおうかな。此処に河童が居ることを」

 祐介の言葉に、その足がピタリと止まる。

 「それは不味い。非常に不味い」

 「俺は等レ16でも名の知れた使い手だ。一緒に行動して損はないと思うぞ」

 「うーん、確かに等レ16から逃げ出せるほどの実力者なら腕は確かだな。よし分かった。俺が手を貸してやろう」

 軽く頷いて、祐介に近づく軽率なバテレンさん。

 握手を交わす一人と一匹。はい、馬鹿と阿呆のコンビ誕生です。

 「おい、なぜ手の匂いを嗅ぐ」

 祐介は握手した手をクンカクンカしていた。

 「うん、生臭い」

 「キュー、失礼な奴だな!!」

 「キューって、なんか可愛いな、お前」

 「そうか? ありがとう」

 妙に照れるバテレンさんであった。

 ともかく一人と一匹は、暗い道を連れ立って歩きだす。

 「さっき、あの先は時空の狭間で危ないとか言ってたけど、どういうこと?」

 「おいおい、散々人をなぶった後に、今さら聞くかよ」

 「人じゃねぇくせに、まあいいや。教えろよ」

 「なんかムカつく奴だなぁ」

 「へ、詳しくは知らないのか。役立たずめ」

 「バカ言うな。この俺様が知らないわけないだろ」

 「じゃぁ言ってみろよ」

 「キュ! まぁ良いや。つまり時空の狭間というか次元の境界なわけだ。わかったか」

 「わかるか!」

 「ケケ、低能め」

 可愛いアヒル口を憎たらし気に歪める。

 「地獄ってやつは、現世と異なる次元にあるんだ。いわば物質世界じゃない力場の世界だ。知的生命体の意思の力的な、生命力の根源的な世界だな。この地獄も天国もな」

 「おっ、河童の分際で語るねぇ」

 「おい、教えてやんねぇぞ」

 「悪い悪い、続けろよ。但し、もっと簡単にな」

 上から目線の祐介である。

 「つまり魂が集う、仮想空間みたいなもんだな。物質世界じゃ無い。エネルギー世界、精神世界が地獄なんだけど、小地獄も地獄の中の別次元なんだ。だから、あんなちっぽけな建物の中に16もの小地獄が収まっているのさ。お前、バカそうだから分り易く言うと、地獄は葡萄の房みたいなもので、葡萄の一粒一粒が小地獄、更に言えば、その地獄自体も葡萄の粒の一つで、別次元の異なる価値観の地獄が、葡萄の房みたいになっているわけだ。要するに三千世界と言うやつさ。多分」

 口を開けて、ポカンとしている祐介。

 「俺たちが居る所は、その次元の境界線。知的生命体の思考の矛盾が生んだ、曖昧な場所ってわけだ」

 「思考の矛盾?」

 うん、分からん。

 「地獄の在り方や、俺たちの姿も結局は、俺たちの思考が投影されたもので、ここの姿自体が多くの人の思考が平均化され、その平均値が具現化された所といったところだ」

 「うむ。なるほど、物質世界じゃ無いから食っても排便しないのか」

 なるほど、って言ってますが、理解はできていないと思います。

 「みんな『糞、小便、面倒臭い、死んだら排泄から解放される』と思ってるんだな」

 死んでまで糞小便などやってられないと思うのは、万民共通ではありそうですもんね。

どうもありがとうございました。

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