表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第一章 地獄転生編
6/133

亡者を嬲るのはやめてください その5

どうぞよろしくお願いします。

 「ちょっと質問だが良いか?」

 仕方がないので、俺は今後の鬼との付き合いを考えて、とても大事な質問をする事にする。

 「へい。何なりと」

 「鬼って数える時は一匹二匹で良いんだよな」

 『バキボグ』

 またしても殴られる俺。

 「失礼な奴め。俺たちゃ元人間だ」

 「えぇ〜? お前ら人間だったのぉ?」

 「あぁ、悪さが過ぎて鬼にさせられちまったんだよ」

 鬼たちは目に涙を溜めている。

 「今は鬼なんだな。じゃ一匹、二匹」

 『バキボグ』

 「お前ら良い加減にしろよ。本当にチェンジしちゃうぞ」

 「そんな事より、さっさとどっちかに決めろよ」

 チェンジすると言っているのに無視しやがって。まぁ良いだろう。選べと言うんだから選んであげましょう。

 「んじゃ、紅白鬼で」

 「毎度あり〜」

 「何でだよ」

 「だってお前、角一本だし。何だか下っ端ぽくて、弱っちく見えるしぃ?」

 「ぶっ殺す‼︎」

 「死んでるしぃ?」

 「語尾上げすんな。何かすんげぇ〜ムカつくぅぅ」

 金ピカ鬼が歯軋(はぎし)りして悔しがる。

 「でもまぁ、あんたも悪い鬼じゃなさそうだ。こっちの紅白鬼が気に入らないときは、あんたにチェンジするよ」

 「よ、よろしくお願いします! しかし何たる(したた)かさ」

 金ピカ鬼は立ち上がり、そう言いながら上着のポケットから、金色に輝く何かを取り出して、俺に手渡して来た。

 「御用の際には、その笛を吹いてください。わたくしめが飛んで参りますです」

 金色に輝く笛を口に当てて吹いてみる。

 〈ピロロピー、ピロロピー〉

 笛の形はオリジナルとは違うが・・・

 「これを吹いたら、お前の手足が引っ込んで、ロケットになって飛んで来るのか?」

 「何の事か分かんねぇが、まぁそんなところだ。しっかし古い事知ってるなぁ」

 「あ、パクリを認めた」

 「認めてね」

 「いいや、認めた」

 「認めてねぇ。さぁ俺も忙しい身だ。では、さらば」

 「待てよ。待ってて。虎パン鬼っ娘と言い、お前と言い。パクリセンスなさすぎだ。新しい情報を仕入れろよ」

 金ピカ鬼の足が不自然に早まり、門の中に消えて行く。

 「さあ、邪魔者も消えた事だし」

 「はい、そこに並んで笑って。はいチーズ」

 紅白鬼を遮り、俺たちを地獄門の前に並べカメラを構えるベレー鬼。

 俺たちは、つい釣られて笑顔を作ってしまった。

 「お前もどっか行けよ」

 俺は落ちている石を拾って、投げつける真似をする。

 「まぁまぁ落ち着いて。取り敢えず中へ入るぞ」

 紅白鬼が、俺の背中を押して促す。

 「おっと、その前に自己紹介が、まだだったな。おほん、俺様が貴様を世話する次郎丸だ。これでも知る人ぞ知る剛の者で」

 「へぇ〜、痔瘻(じろう)かぁ。そりゃ(つら)いな。座薬要るか?」

 「そうそう、痔の痛みには座薬が一番、肛門に押し込む時の、あの感覚がまた何とも言えず・・・って違うわ‼︎」

 俺の胸を手の甲で叩き、見事なツッコミを見せる紅白鬼。

 「貴様はまったく」

 「俺の名前は」

 「吉田祐介、シロウト童貞、二十二歳。プロフィールは見たよ。えーっと、確かお前の罪は自殺に、友人の姉ちゃんの下着と、エロ本の」

 「わぁぁぁ〜、言うなぁぁ〜。お前らは、寄ってたかって亡者を(なぶ)るんじゃねぇよ」

 「いや、ここ地獄だし。亡者は嬲られてナンボだし」

 大勢の亡者たちが見ている前で、とんでもない事を暴露しやがる次郎丸を大声で(さえぎ)り、大騒ぎをする俺たち。しかし、亡者たちは無表情な顔をして列に並んだまま、関心なさそうである。

 「何だか気味悪いな」

 「五十年以上も列に並ばされたんじゃ、感情も退化するさ」

 「五十年? 地獄に入るだけで五十年掛かるのか?」

 「地獄の門は他にも三つあるが、どこも大渋滞だ」

 次郎丸が肩をすくめてみせる。

 「最後尾はもっと悲惨だぞ。でかい戦争が何度もあった上に人口増加で、死人の数は増えるばかり。おかげで地獄は大混雑で大忙し、生き返りの待機場所である天国はガラガラさ。急ピッチで地獄の拡張工事をやってたんだが、ちょっとトラブって、この有様だ。しかし、地獄と現世とでは時間の進み方も違うし、今のところ、挽回可能では、あるそうだけどな」

 現世の少子化の原因は、そのせいじゃ無いのか?

 「そういや、みんな日本人ばかりのように見えるな。ここは日本人専用か??

どうもありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ