獄卒も所詮亡者だな その2
どうぞよろしくお願いします。
床に正座をして、光の無い腐った目でボケーッとしている次郎丸。
「なに? 俺の顔に何か付いてんの?」
みんなに注目されて、やや慌てている次郎丸。
確かに、こいつはバカに違いが無い。
「ちなみに、候補者絞り込みの選考基準は?」
俺は分かりきっているであろう事を、念のため一縷の希望を託して聞いてみた。
「一に精力、二に性力、三、四も五、六も持久力よ」
思ったより酷いです。
「よっ、選び抜かれた絶倫の種馬。The king of the stallion」
「何だよカッコ良いなぁ。牛頭、どういう意味だよ」
「種馬の王様だ。ぎゃはははは」
俺は、鳥の骨を投げつけた。
「ちょっと待てよ。山田なんて高校生の頃、学校行く前と、帰ってからと、夜寝る前で毎日三回コイてたんだぞ。これまでの最高記録が十回だぞ。一日に十回だぞ。すごくね?」
「ああ、あなたがエロ本パクった山田ね。あの程度では絶倫王である、あんたの足元にも及ばないわよ。そんなシミュレーションの記録じゃなくて、実戦でのあんたはギネス級だからね。言葉の綾じゃなくて記録的に見てギネス級なのよ。桁違いよ。風俗のハシゴで何回抜いた?」
言い返せない俺がいる。風俗の姉ちゃんに、もう帰ってください、と何度懇願されたことか。
「おぉぉ、すげぇな。割とマジで尊敬するよ。お前は本物の絶倫王で、世界最強の絶倫王だったんだな。馬面、お前もあやかっとけ。また玉が生えて来るかも知れんぞ」
手を合わせて俺の股間を拝む馬鹿二人。所詮家畜の脳味噌か。俺も肛門様を拝んでいるので人の事は言えないが、これだけは言える。
「乳歯じゃあるまいし、潰れて抜かれた玉が生え変わるわけねえだろう。バカが」
どんな怪我でも元に戻る地獄でも、獄外で抜かれた玉だけは例外らしい。
しかし、そんな事より、俺は愛情のない子作りだけのために選ばれた存在。何という虚しい事実だろう。
お蝶、ごめんよう。この女とのセックスに溺れてごめんなさい。
寝室に戻されて落ち込む俺。しかし厳選された逸材だけあって、子作りだけは衰えを見せてくれない。
「情けなくて涙が出らぁ!」
〈早く赤児をこさえてやる事だな〉
牛頭が言った言葉が、頭の中で木霊する。
俺は子供が出来るまで、ここを出られないのか? 子供が出来たらもう用無しなのか?
俺は絶望に打ちひしがれた。
お蝶たちは興奮しきっていた。原因は裕介がひろみちゃんに持ちかけようとしていた取り引き。その意を汲んで裕介の意識が飛んでいるうちに外道丸が交渉した内容。
簡単に説明すると、裕介の洗脳を解けば仲間みんなで協力して裕介を奪還できる。裕介を奪還してしまえば我々は早乙女家のゴタゴタには一切関与せず、地獄の端っこで大人しくしていると言う何とも今後の展開としては、全くもって面白みのないものであった。まあ、そんな展開は許されないんですがねw
ひろみちゃんが悩んだ末に、ついさっき極秘に合って話してくれた情報。鬼神だからこそ話せる内容。
そう地獄でも最高機密の内容を、潜虫を飲んでいない鬼神なら苦もなく話すことが出来る。
「試してみたいわね」
「試したいわね」
お蝶と橋姫がニヤリと不気味な笑顔を見せる。
「獄卒も元は亡者だから、殺しても再生するわよね」
「そなの。獄卒も亡者と同じ。実験出来るのでしゅ」
お蝶の問いに、おコンも楽しそうに答える。
「もし獄卒を呼出せたら、殺っちゃっても良いわよね」
「おう、殺っちゃえ殺っちゃえ。感謝さるっかも知れんばい」
徹斎が無責任に、お蝶を煽る。しかし本当に軽いおっさんです。これでも歴史に名を残す剣豪なのですが。
「じゃじゃ〜ん。どこでもいつでも、おバカな獄卒を呼び出せる笛~」
お蝶は首に掛けて大事にしていた笛を取り出し、
〈ピロロピー、ピロロピー〉
しばらく待つが何も変化が無い。
〈ピロロピー、ピロロピー〉
しばらく待つが何も変化が無い。
〈ピロロピー、ピロロピー〉
しばらく待つが何も変化が無い。
〈ピロロピー、ピロロピー〉
しばらく待つが・・・。
「ピロピロピロピロ、ピロピロピロピロうっせーよ。ってあれ? どちら様? その笛は、あの方に言われて祐介が困った時に、俺たちを呼び出して助けを求めるために渡した物だけど?」
お前、そんな説明は一切してなかったぞ。次郎丸と交代する時に呼び出せ、と言ってたはず。
さては面倒事で呼び出されるのがイヤで説明しなかったな。
「いや、ちょっと待ってよぉ〜。てっきり祐介だと思ってたからよぉ。慌ててブレスをはめて来たから、こんな格好でさぁ。ちょっと風呂入ってて、って何? 何を殺気立ってるの? ちょっと、お待ちになって?」
どうもありがとうございました。




