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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第一章 地獄転生編
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獄卒も所詮亡者だな その1

どうぞよろしくお願いします。

 希望のない日々、只々(ただただ)子作りに励む日々。

 たまに休憩をかねて大量の肉を食べる。その時には牛頭馬頭も顔を見せて、彼らと話をする事が出来た。

 でも牛と馬って草食動物だよね。内臓は人間だから問題無いのかな? でも流石に牛肉と馬肉はマズイよね。

 「しかし、種馬殿があれ程使えるとは思わなかったぞ」

 牛頭は余程、俺の戦闘が気に入ったようで毎回、その話をする。

 「お前は、俺たちより戦闘力は高いぞ」

 「うん。牛頭の言う通りだ。俺たちは瞬生の性質を持っているから、お前に負ける事はねぇが勝つことも至難だな」

 「まぁ、そのお前でも、ひろみちゃんに殺られて、精神まで削られて寝込んじまったがな」

 「ありゃ凄い戦いだったから無理もない」

 なぜだろう、牛頭馬頭は俺の事をやけに持ち上げて庇ってくる。

 美紗子はというと、あまり戦闘の話に興味は無いらしく俺たちが、この話を始めると、いつも退屈そうにしている。

 「しっかし、鬼神ってのはバケモンだね。あんなに強ければ、自分らだけで地獄を守れば良いのに」

 ある日、牛頭がそのように話を振ってきた。地獄生活が長い牛頭も馬頭も、その理由を知らないはずがないのだが。

 「そうだよなぁ。何で鬼神が治安維持を仕切ってしまわないのかなぁ」

 俺も取り敢えず話を合わせて、そう応じる。

 「馬鹿ねぇ。鬼神は数が少ないのよ。圧倒的な亡者の数に対して、0.0005%しか居ないの。つまり亡者二千人に対して一人。とても鬼神だけで管理出来ないじゃないの」

 退屈していた美紗子が話に乗って来た。牛頭は更に話題を煽るように話を誘導する。

 「亡者ってのは天国組と地獄組を合わせると、現世の生者と同じ人数くらい居て、最近、地獄で亡者が停滞しているから、その三分の二は地獄に居て、そのまた半分が元祖地獄組にいるわけだ。だから、ここの亡者は四千万人くらいで鬼神は二万人だ」

 「牛頭は賢いねぇ。その全部が治安維持に当たれるわけでもない。地獄の業務は一杯あるからねぇ。だから亡者を獄卒や兵隊にして、我々鬼神の管理下に置いているわけよ」

 「へぇ〜、大変だなぁ。でも何で鬼神は少ないのよ」

 俺は肉を頬張りながら尋ねてみた。

 「出生率の問題ね。大王家でさえ、ここ数千年、子供が無いのよ。まぁ鬼神が天界に転生するにも膨大な時間が掛かるし、天界での寿命も長いから出生率も低いんだけどね」

 だから大王家を始めとする鬼神の男たちは、妾を囲ったり女遊びに精を出したりするらしい。

 ただ鬼神の女性も弱くはない。黙って大人しくはしておらず、働きの悪い甲斐性無しは、早々に見限られ見捨てられたりするらしい。

 ()く言う美紗子も、何度も、ひろみちゃんを捨てようとしたらしいが、ひろみちゃんの土下座攻撃に負けて、今まで何となく結婚生活を続けて来たそうだ。

 身も蓋もない話ではある。

 「なるほどなぁ。亡者は現世で死にさえすれば地獄に来るから、亡者の尽きる事はなく、逆に大きな戦争で死者が大量に増えて、罪の清算に時間が掛かるようになって、益々亡者は増える一方ってわけか」

 何だか難しい話になってきたが、馬鹿な俺でもまだついて行けている。

 「おかげで輪廻サイクルに調整が入って、現世では少子化に振れているんだ。俺と馬面も随分、生き返る順番を待たされているし嫌になるよ。普通の亡者で平均すると三百年掛からずに転生出来るんだぞ」

 「それは、お前と馬面の素行の悪さが原因じゃね?」

 「折角効率化のために、地獄を分けて競争させているのに、その隙をついて亡者どもが反乱を起こしやがるし。それと、馬面はやめろって!」

 「でもさぁ。大王家にも子供が居ないとなると後継とかどうなるの? 大王さんは天国に遊びに行っちゃったんだろう?」

 「だからこそよ。去勢されていない、あんたが頑張れば、姪っ子の私にもチャンスがあるってわけよ」

 あれ? 美紗子の野望的な話しか?

 ひょっとして牛頭は、これを引き出したくて不自然に話題を振っていたのか?

 「亡者と鬼神のエッチの相性は良いのよ。鬼神同士よりも出生率が遥かに高いらしいの。鬼神が二万人に増えたのも、大昔は亡者を去勢していなかったためだし、だからこそ、私は何百年もかけて候補者を絞り込み、こっそり使い捨ての道具となりそうな獄卒も用意して、去勢過程を飛ばせるように、インチキな特来なんてイベントを作ったんだから」

 そう言えば、地獄に連れてこられた時、長蛇の列に並ばされる前に去勢されると説明を受けたが、俺は去勢された覚えが無い。

 いつもの悪癖も、お蝶とのエッチでも、俺は当たり前のように発射していた。数限りなく。

 「美紗子、恐るべし」

 「ところが真地獄組に情報が漏れちゃって、私の種馬を横取りしようだなんて」

 あれ? 俺って本当に、ただの種馬的な役割しかないのだろうか。

 俺は、とてつもなく情けなくなってしまった。

 「更に、このおバカさんったら小地獄のドアは間違えるは、等レ16で問題は起こすし、何度ダメかと思ったことか。まぁそれについては、捨て駒たちが間抜け過ぎなのも原因の一つだけどもね」

 そう言いながら俺の足に、自分の足を絡めて来る。

 「まったく。裏からこっそり特来のガイド候補に推して、任務に就く時も潜虫を私のものと入れ替えて、あれ程、二人で協力して特来を助けてあげなさい、て言って聞かせたのに。ゆくゆくは私の近くに使えさせ、下僕にするはずだったのよ」

 余程捨て駒の出来が悪かったのだろう。美紗子がブツブツと愚痴りだす。

 「潜虫のプログラミングも、私の潜虫だとバレないように偽装するのが大変だったのよ。このバカどもは死んでから時間が経ってるから、脳味噌が干からびてるんじゃないのかしら?」

 その脳味噌が干からびた、バカで間抜けな役立たずの捨て駒が誰なのか、俺も牛頭馬頭にも、すぐに分かってしまった。

どうもありがとうございました。

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