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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第一章 地獄転生編
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地獄でも倫理観は大事だと思うのです その8

どうぞよろしくお願いします。

 「おいおい、種馬どんは潜虫ば飲まされたてぞ」

 徹斎は、ワクワクしたように唇を舐めて、成り行きを見守っている。

 「マズイな。これじゃ奪還出来ないぞ」

 外道丸は難しい顔をしている。

 「戦闘も激しくなって来たのでしゅ」

 「ダーリン、大丈夫かしら」

 「敵の下っ端は、大した事なかけんな。何人か強か奴もおるばってん問題なかど。種馬どん・・・道祖神殿には敵わんばい」

 徹斎がお蝶を安心させる。

 「道祖神は止めてあげて。ダーリンはあのメス豚に()()めにされているのよ。せめて種馬か絶倫王にしておいてあげて」

 それもダメでしょ! やめてあげてよ。

 「牛頭馬頭らしき者も見受けられるばってん、ありゃ三味線弾いとるばい」

 外道丸も頷き、続けて意見を言う。

 「しばらく静観して、どちらかに大きな動きが出てから、対応を考えよう」

 戦況は圧倒的に美紗子軍が優勢であった。美紗子軍は真っ黒の革鎧に身を包んでいる。

 ひろみ軍の兵隊は、赤い革鎧を着ており、砦並みの別荘を攻めあぐね、打ち取られた兵隊は頑丈な縄で拘束され、祐介の働きもあり、次々と制圧されて行く。

 お蝶たちも事前に情報を収集していたので、全員が赤い革鎧を着込んでいた。

 「(かしら)ぁ〜。もう保ちませんぜ。退却しましょう」

 「ばぁか言ってんじゃないよぉ。僕はこのまま引き下がれないじゃないのぉ」

 そう言って、ひろみちゃんは暴れまわる牛頭馬頭に突進して行った。

 絵本に出るような、見事な金棒を振り回すひろみちゃんの周りだけは、広々と空間が空いている。流石に亡者上がりの兵隊程度では、鬼神のひろみちゃんには敵わないようだ。

 「牛頭ぅ、馬面ぁ。相手しろやぁ」

 ひろみちゃんが大声で怒鳴る。大気が震え、その気勢だけで周りの鬼どもの動きが鈍る。

 「しようがねえなぁ。馬面、あっちへ誘い込め」

 牛頭が指示を出す。

 「おう」

 「そのまま右へ走って、ひろみちゃんを引きつけろ。俺たちゃ虫を飲んでるから、ひろみちゃんが御用と言うだけで動けなくなるからな。無理すんなよ」

 牛頭と馬面が息もぴったりに、ひろみちゃんを誘導する。

 「よし今だ。逃げろ馬面」

 牛頭と馬面は、俺の後ろに回り込んで遠ざかって行く。

 「種馬殿、後はよろしくなぁ」

 牛頭が笑いながら、俺に手を振った。

 良い笑顔じゃねえか。こんな場面じゃなきゃ、輝いて見えたかもな。

 「ひろみちゃん。種馬の奴、休みなく良い仕事してまっせ〜。もうティッシュが一ダースはなくなったんじゃないかな〜。おかげで奥方は、すっかりツヤツヤですよ〜」

 「やめろ〜!」

 馬面。ぜってぇ〜殺してやる。

 目の前には憤怒(ふんぬ)の形相のひろみちゃんがいる。

 「うぬがぁ!!!」

 俺は力任せに振り回す金棒を難なく躱す。しばらく防戦していた俺だが、潜虫の仕業か、ついつい反撃を入れ始めてしまった。

 華麗に攻撃を躱し、反撃を入れる俺。無様に殴られ続けるひろみちゃん。

 しかし、しばらくしてひろみちゃんの動きが変わる。

 「いかん。ひろみちゃん、本気になったばい」

 両軍の動きが激しくなり、どさくさに紛れて、近くまで来ていた徹斎たちに緊張が走る。

 「ダーリンは潜虫を飲まされているらしいから、きっと本気で戦いに行ってしまうわ。精神まで破壊されないと良いのだけど」

 ひろみちゃんの手から金棒が離れ、自然なスタンスで優雅に身構える。まるでタイ式ボクシングでもやっているような立ち姿である。

 俺も危機感を感じて間合いを開く。本当は戦いたくないのだが、闘志が勝手に沸き上り、体が動いてしまう。

 俺は思い切ってある事を聞こうと思った。その瞬間、俺の全身を味わった事がないような激痛が走った。

 「う、うがぁ」

 それでも、何とか気力を振り絞る。

 「潜虫の駆除、・・・俺は・・・にげ・・、奥方を・・解放・せ・・・る」

 俺は必死で、そこまで言って気を失った。気を失う一瞬前に、お蝶の気配を身近に感じた気がした。

 外道丸に橋姫、おコンもいたようだ。そしてもう一人、徹斎かな?

 俺は、ひょっとして助かるの?


 目が覚めると見慣れた寝室の天井が見える。

 「はぁ〜、いつものエッチ部屋かぁ」

 俺は激しく落胆した。

 しかし、こんな大騒動してまで俺とエッチをしたいのだろうか。俺に死ぬほど惚れたというのなら分からんでもないが、最初から俺の体が目的だったように思える。

 何かが引っかかる。俺の心に何かが引っかかる。

 牛頭も気になる事を言っていた。その前にも、何か気になる事を聞いていたような気がする。

 点と点が繋がりそうで繋がらない。もどかしさに頭を掻き(むし)る。

 「禿げるわよ」

 「禿げねえよ!」

 気付かなかったが、美紗子はずっと俺の横に添い寝をしてくれていたようだ。

 「美紗子、そんなに俺が心配だったのか?」

 「そりゃそうよ。私、早くあなたと子作りしたくて」

 何て下品な。俺は、お蝶との愛を守る。

 「ふっ。しばらく、その気になれそうもないな」

 美紗子は黙って俺の股間に顔を埋めた。

 “ごめん。出来ない。俺には無理だ”

 俺は呆気なく復活し、またまた三日三晩、子作り三昧の日を送ることとなった。

どうもありがとうございました。

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