地獄でも倫理観は大事だと思うのです その4
どうぞよろしくお願いします。
耳も目もすぐに治り、周りを見回すと、そこには明るい世界が広がっていた。
「おぉぉ、やっと出られたぞぉ」
俺は思い切り伸びをして、大きく息を吸った。
「なんか頭も体もスッキリするな。取り敢えず、洗浄っと」
「お前、意外と肝が座っているなぁ。あっ、そうか。まだ何も聞かされてないのか」
金ピカ鬼の表情は、明らかに俺に同情している表情だ。
「子狐コンコン山の中・・・」
カルテを受け取り、等活地獄を出ると、ようやく紅白の囚人服から解放された。
ひょっとしたら、あれも局長の趣味でデザインされたものなのだろうか。
「それにしても〈子狐コンコン〉が流行っているのか?」
カウンターのお姉さんも、亡者たちも彼方此方で口ずさんでいた。
ちょっとググってみたら、この歌は「こぎつね」って曲名なんだね。
「あぁぁうぜぇ。コンコンコンコン、耳について離れねぇよ」
どうやら狐憑きは、すぐには治らないらしい。
ブツブツ言いながらも入獄管理局に到着した俺たち。
「また極道鬼と会うのかよ。気が重い」
俺はエレベーターから出ると、そう呟いた。
横を見ると、金ピカ鬼も緊張のためか表情が重い。
「獄卒の徳右衛門、吉田祐介を連れて来ました」
「お前、徳右衛門って言うのな」
「黙れ」
徳右衛門に叱られる俺。
ドアの前の鬼が軽く頷きドアを開ける。
ガチャリとドアが開いてソファーにふん反り返る局長と、その前に正座をしている次郎丸が見える。それと。
「おっ、スッゲー美人。い、いや、ちょ、ちょっと。ちょっとぉ?」
局長の隣に座っていた超美人なお姉様が素早く立ち上がり、留袖姿もなんのその、すごい勢いで俺の方に走り寄り、俺を激しく抱きしめた。
「何これ。何のご褒美? い、いたた」
俺を抱きしめるお姉様の手に力がこもる。
「いたたた。痛いです。痛いですって! 痛いって言ってんだろうが、尻揉むぞぉ!」
「いやん」
俺は、お姉様の背後に手を廻し、尻を思い切り揉みしだく。
おぉ、柔らかくも弾力のある、プリンプリンとした張り。これこそ絶品である。
「いやん。もうダメぇ」
「君わぁぁぁ、僕の奥さんに何してくれちゃってるのぉぉ?」
げっ、何ですか? この絶望フラグ設定は、何なんですかぁ?
「いや。これは奥様がいきなり抱擁されたもので、ヤッちゃっても良いのかなぁって。奥様だと知ってたら指一本出しません」
「だったら良い加減、その揉み揉みしてる君の手を離したら良いと思うんだよねぇ〜、僕わぁ。そう思うんだよねぇ〜、僕チンわぁ!」
局長が涙目で訴えて来る。
俺は至高の感触に、無意識に揉み続けていた手を慌てて離した。
「坊や、もうお終い?」
「えっ。だってご主人の前ですよ。いくら俺でも、そのプレーは厳しですねぇ。ご主人が、次郎丸や徳右衛門みたいなモスキート級だったら平気でやっちゃいますが、社会のクズ的な極道モンでスーパーヘビー級ともなると、流石の俺でも少しは遠慮しますよ」
と言いながら俺は、局長から死角となるように体を動かし、右手で奥様の極上な尻を揉み続ける。
「僕は酷いこと言われなかった? 君ぃ、とんでも無いこと口走ってなぁい?」
「あなたぁ。そんな、どうでも良い事を言ってないで、この坊やを私にくださいな」
「だから、そうは行かないのよ。どうしても、その種馬には無間地獄に行ってもらわないと、バランスが取れないんだわぁ」
局長の目が俺を鋭く睨む。
「私、この種馬を下僕に欲しいのぉ。だって鬼神も凌ぐ黒光りの絶倫丸ですってよぉ。止む事を知らず、出しっぱなしの壊れた蛇口、底なしの絶倫王ですって。私、欲しいの。絶倫丸がぁ」
お、奥様。その愛らしい綺麗な口で、自分の亭主に何を言いやがってるんですか?
「だから余計に、いかんのでしょうがぁ」
局長の言うことの方がもっともである。
「みーちゃんは、何を堂々と浮気宣言してるのかなぁ」
「あなただって、毎晩毎晩、獄卒や亡者と老若男女問わず、ヤりまくってるじゃない。私だってヤりまくりたいわよ」
腐ってる。間違えない。この夫婦は完全に腐ってる。でも奥さんとなら俺、頑張れそう。
と俺も腐った事を考えていると、次郎丸が正座したまま、恐る恐る手を上げた。
「局長様、いっそのこと特来の入獄から全て無かった事にして、有耶無耶にしてしまっては如何でしょうか。現在の混乱は反乱亡者の破壊活動ということにして、奴らに全てを擦り付けてですね。祐介の入獄は五十年後に、こっそり手続きしちゃえばバレないんじゃないかと。それまでは奥方様に身元を預けて。それに、その時にバレても汚職まみれの党幹部に鼻薬を嗅がせれば、どうにでもなりそうな気がするのですが」
「うん。決まりね。種馬君は、まだ入獄してないの。だから私が黒光りの絶倫丸を持って帰っても問題なし」
とんでもない話に、流石の局長も思考がついて行かないようだ。って奥様、絶倫王が本体の通り名で、絶倫丸はその一部でしかないんですが・・・阿部定ですか?
どうもありがとうございました。




