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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第一章 地獄転生編
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地獄でも倫理観は大事だと思うのです その2

どうぞよろしくお願いします。

 外道丸たちは、腕にはめたブレスレットを使って、第一軍の基地前に移動していた。

 このブレスレットは、鬼神以外では軍隊や警備員などの武力使用を認められた鬼であれば、常時使用を認められている機器だそうだ。

 「確かに広いけど想像とは違うな。敷地は広いけど、見渡す限り軍の施設が立ち並んでいるわけじゃないんだ」

 「ちょっと期待外れだわ。せめてキュウマル式とかヒトマル式とか無いの? 富士の演習場で大砲をバカスカ打ちまくりたいわね」

 外道丸と橋姫は、なぜか落胆しているように見える。

 「あたり前だろう。ここに駐屯しているのは中枢施設の防衛に必要な人数だけだ。本当に戦争になったら、獄卒や亡者どもから徴兵されることになっているんだ」

 なるほど、亡者の数は膨大だ。しかも不死で、どんな怪我も時間が経てば完治してしまう。

 亡者の反乱に対応するためには、地獄軍の兵力も膨大なものになり、輪廻のサイクルや転生条件などの調整も難しくなるので、常時その人数を維持することは出来ないのだ。

 「分かったか。それに地獄で飛び道具は禁止な。ましてや動力が、牛や馬以外の戦車は認められん。そんな事より取り敢えず入隊手続きだ」

 牛が動力源の戦車ってありえんだろ。

 試験官は正門で衛兵に見事な敬礼をして見せて、入隊案内を見せながら来意を告げる。

 「第二連隊所属、菅原上等兵、入隊者を連れて参りました」

 「担当の毛呂(けろ)()軍曹は別の試験に呼ばれて留守なので、貴官が司令部まで案内するように」

 試験官は出て来た上官から、命令を受けて皆を引率して門を入って行く。

 「君は菅原と言うんだな。今の敬礼を見ると、流石に軍人だと思うよ」

 試験官は、ちょっと照れて嬉しそうにして外道丸に笑顔を向ける。

 一同は司令部へ向かうが、歩いてみると意外に司令部が遠い事に気がついた。「反乱軍に攻め込まれても、すぐに司令部を占拠されないため」だそうで、司令部までの道も曲りくねり、他の建物を迂回しなければならない。

 司令部の建物に着くと、そこには正門と同じく旗が二竿掲げられていた。一竿は元祖地獄組の獄旗で、もう一竿は第一軍の軍旗である。

 「第二連隊所属、菅原上等兵、入隊者を連れて参りました」

 「ご苦労。司令官及び連隊長がお待ちだ。今日は神田大尉も席を外しているので、君が直接案内してくれ(たま)え」

 どうやら等活地獄レベル16のトップチームということで、興味を覚えた司令官が会ってみたくなったらしい。

 案内された部屋のドアをノックして中へ入ると、カーキ色の軍服を着た四人の鬼たちが待ち受けていた。

 一人が窓を背に正面を向いて一人掛けのソファーに座り、一人はドアから見て右の、二人掛けのソファーに腰掛けている。

 「第二連隊所属、菅原上等兵、毛呂野軍曹に代わり入隊者を連れて参りました」

 「ご苦労」

 右に座っている軍人が敬礼に会釈で応じ、菅原は外道丸達の脇へ退く。

 「右から外道丸こと酒呑童子、橋姫こと茨城童子、首刈りお蝶、銀狐のおコン、またの名を天狐のおコン。以上が今回の入隊者であります」

 外道丸たち四人全員が、菅原の紹介に苦い顔をしている。

 「等レ16のトップチームが、我が軍にようやく入ってくれて嬉しく思うぞ。私は第一連隊連隊長、笹熊大佐である。こちらが第一軍司令官、早川少将だ」

 紹介された早川少将が、軽く顎を引いてみせる。

 「みんな、ご苦労であった」

 早川少将の重々しい声が響く。

 しかし、この重苦しい空気に対して、外道丸たちの服装は自衛官コスの橋姫は良いとして、なんとも不釣り合いである。

 「それで菅原上等兵、君の評価はどうだ」

 「私の腕では役不足でありました。恥ずかしながら、彼らの力を測るには至りませんでした」

 「ほう。特殊戦闘隊で手練れとの評判を聞く君でも役不足か」

 「閣下、噂以上ですな」

 笹熊大佐が嬉しげに口を挟む。

 「ははは、我が第一軍こそ獄中最強の軍だ。これで更に我が軍の名声は高まるであろう。しかし一日に五人もの手練れが入隊して来るとは、笹熊君これは初めての事だな」

 「はっ、左様でありますな。まことに喜ばしい事です」

 んっ? 五人てどういう事? そういえば毛呂野という軍曹も、試験に呼ばれてるとか言ってなかったか?

 「君たちが出獄して入獄資格を変更している間に、もう一人、入隊者が増えてな」

 少将はとても機嫌が良さそうであった。

 「その事ですが、困った事に日本語が通じないようで、ここへ来るのに少々時間が掛かりそうです」

 連隊長が司令官へ、先程受けたばかりの報告を伝えた。

 ひょっとしなくても、それはギャンバッテン国の王子様の事ですか?

 「左様か。仕方ない待つとしよう。君たち、今日は、ゆっくりとしておきたまえ。明日から軍人としての教育を開始する。以上だ」

 外道丸たちは司令部を後にして宿舎へ向かう。

どうもありがとうございました。

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