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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第一章 地獄転生編
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出獄の味は大人の味なのでした その5

どうぞよろしくお願いします。

 いよいよ、レベル16からオサラバ出来るのであろうか。

 「良いかお前ら。今から出入り口へ転移する呪文を教える。この呪文をブレスレットに唱えれば、ドアの前に転移されるはずだ」

 試験官は、勿体をつけるように腰に手を当てて。

 「〈地獄の沙汰は運次第〉もう一度言うぞ。忘れるなよ。〈地獄の沙汰は運次第〉」

 何とも締まりの無い呪文を教える。

 試験官は、一人一人唱えさせて呪文が合っているか確認する。幾ら何でも、そこまで馬鹿じゃないと思うんですが。

 「よーし覚えたな。(ちな)みに、この意味は人の罪を正確に測るなんて出来るわけがないから、責め苦の量と内容を決める際には適当に重くしておく、しかもシステムに不具合が多いので、罪の軽重は運次第という実際の運営を皮肉った(ことわざ)だな」

 諺じゃねぇだろ!

 外道丸たちは、湧き上がる殺人衝動を、唇を強く噛んで何とか抑えこんだ。

 「システム開発は〔要求分析〕〔要求仕様設計〕〔詳細設計〕〔テスト仕様設計〕〔プログラム設計〕〔コーディング〕〔単体テスト〕〔結合テスト〕〔総合テスト〕ここまで終わって、ようやく納品前のユーザーテストに漕ぎ着けるんだ。しかも段階ごとにレビューが入る。どうだ大変だろう? そんなことやってられるかって手を抜いたら、この体たらくだ。開発は早く終わったが、ろくなドキュメントが無くてメンテも出来ず、バグだらけの有様らしいがな。あっ、勿論内緒ね。獄卒以外の者には言いたくても言えないだろうけど」

 ダメだろう。それダメ過ぎだろう。メンテできなくてどうすんの? 未来永劫、運次第のままなの?

 「んじゃ、お前らが先に行け」

 「「「「地獄の沙汰は運次第」」」」

 ブレスレットを額につけて、四人が同時に呪文を唱えた。

 転移した先の目の前には、外に通じるドアがあった。

 みんなが転移した直後に試験官も現れ、みんなにドアの開け方を教える。

 「簡単だよ。ブレスをドアの、この部分にかざせば解錠されるんだ」

 「でも、ブレスのスイッチが入っていたら出られないんじゃ?」

 外道丸が試験官の説明に反問した。

 「ありゃ嘘だよ。スイッチが入ったブレスレットと、さっきの呪文を知っていれば誰でも簡単に、ここを出ることが出来るんだ。だからこの事はヒミツ。トップシークレットね」

 「そういえば次郎丸も、ここに来ている時はブレスレットをしていたわね」

 お蝶が思い出したように、小さな声で呟く。

 「おいおい、同じトップシークレットでも次郎丸が、こっちを教えてくれていれば祐介も、俺たちも、ここの全員が楽に逃げられたんじゃないのか?」

 外道丸も試験官に聞こえないくらいの小声で呟く。

 「私たちも、あんな気持ち悪いものを飲み込まなくて良かったのよね」

 お蝶の意見に、みんなが頷き拳を握り締める。

 みんなは作戦が成功しても、次郎丸だけは無間地獄へ堕とそうと頷き合った。

 そもそも次郎丸が秘密をまともに話せるわけもなく、今回の作戦は、たまたま外道丸たちが潜虫の事を詳しく知っていたから実行できたわけで、所詮、レベル16に落とされる亡者も、亡者から取り立てられた獄卒も、こんなものなんじゃないのだろうか。

 「じゃ、外に出るぞ」

 試験官がブレスをかざし、ドアを開けて外の世界に出て行き、外道丸たちも、その後に従った。

 「おぉ、あっちの時間だと万年ぶりかぁ」

 「う〜ん、外の空気は久しぶりだね」

 外道丸と橋姫が大きく伸びをする。

 「空が眩しいわね」

 それ程明るくも無い地獄の空だが、レベル16の空に比べれば明るい空である。

 「おコンも久しぶりで嬉しいのでしゅ」

 お蝶と、おコンも外道丸たちと同様に伸びをした。

 みんな、空の明るさに目を細めている。

 「外は気持ち良いだろう。実はなぁ、レベル16に入った亡者たちは、特殊なガスで身体機能を弱められるようになっている。だから、みんな中に入ると、しばらくして気怠(けだる)くなっただろう?」

 確かにその通りである。

 「しかし、弱められた状態で戦い続けたら、ここを出る時には入る前よりも、身体機能も精神力も、随分と強くなっているんだ」

 そう言われると、外道丸たちは沸々(ふつふつ)と体の奥底から、力が湧いて来るような気がする。ガスの効果が少しずつ、薄れてきているのだろうか。

 「一週間もすれば、すっかりガスの効果も切れて絶好調になるはずだ。俺も、地獄違いだがレベル16の卒業組だからな。先輩を(うやま)えよ」

 そう言いながら試験官は、等活地獄の門に向かって歩き出していた。

どうもありがとうございました。

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