出獄の味は大人の味なのでした その4
どうぞよろしくお願いします。
外道丸は早く苦痛から逃れようと、硬くなったソレに、更に激しく舌を絡め、這わせ、舐めあげる。
虫の体も外道丸の舌の動きに合わせるように、蠕動運動の激しさを増した。そして堪らずにビクッビクッと体を硬直させた次の瞬間に、その先端から舌に絡みつくネバネバした白くて臭い体液を、口の中へ大量に迸らせた。
体液を迸らせると、すぐに虫は萎んでビクンビクンと痙攣した後、動かなくなってしまった。
外道丸は、それを悟られないように、ごくりと飲み込んだ。
「なんか・・・なんか、お前って、すっごくイヤらしいぞぉ」
試験官が思わず目を逸らしてしまう。
うん、今の外道丸は、とてもイヤらしいです。
外道丸は口の端から涎を垂らし、目を潤ませてホッとした様な、放心した様な表情をしている。
橋姫、お蝶、おコンは、妖しく蠢いていた外道丸の口の中で何が起こっていたのか想像できず、倒れそうになった。
すかさず試験官が、フラついている三人の口に、次々と素早く潜虫を放り込んで行った。
放り込まれた虫は、ここぞとばかりに口の中で剛毛を生やして蠕動運動を始める。柔らかくモゾモゾ蠢めく感触で気が狂いそうになる。
頭の部分だけがコリッとして硬い。
慌てて唾液で虫を舐め上げると、太さと硬さを増して、激しく蠕動運動を繰り返す。更に激しく舌を絡め・・・虫は体液を迸らせてピクピクと痙攣する。
何はともあれ、みんなは虫を防ぐ事に成功したが、口の中のモノを吐き出すことが出来ず、証拠を残さないために岩塩と鉄片、潜虫の死骸、それと白くて臭い体液を、大量の唾液と共に無理やり飲みくだす。
「ウゲェ〜」
四人とも力無くゲンナリと項垂れてしまった。
排便しない地獄で、飲み込んだ潜虫と鉄片はどうなるのだろう。吸収されてしまうのか?
「よし口を開けろ」
試験官は、そう言って一人ずつ口の中を覗き込み、虫が残っていない事を確認して行く。
「これで、お前たちも俺らの仲間だ。それにしても、お前らの口、臭すぎだよ。何食ったんだ?」
試験官はそう言って鼻と口を押さえた。
そりゃ潜虫に決まってるでしょ。
「う、うをぉ」
「うが」
「うぎぁ」
「むぎゃ」
そんな試験官を無視して、突然四人がうめき声を上げながら何度も激しく頭を叩き、試験官に背を向け頭を隠すようにして、しゃがみ込んでしまった。
ガシッガシッと何かを打ち付けるような音が響く。
「お、おい。どうした気分悪いのか?」
「い、いや。大丈夫です。ちょっと変化についていけなくて」
みんなの頭には、いつの間にか角が生えている。
「えぇぇっ? もう生えちゃったの? 普通は一週間から二週間くらい掛けて、ゆっくり生えるもんなんだぞ?」
あら? 虫を飲んだら、すぐに生えるんじゃないのね。
痛みに耐える外道丸たち。
「しかも何で四人とも、角の付け根から血が流れているんだよ」
外道丸たちは、自作した角の根元が釘になっている偽角を頭に突き立てて、本物の角に見えるように演出したのである。
「ああぁ脳味噌が傷ついてクラクラ来るわぁ」
棒読みで物騒な事を呟く橋姫。
「橋姫、大丈夫か?」
「何とかね」
「だから、もっと短くしておけと言っただろうに」
「だって抜けそうで怖かったんだもん」
などと橋姫と外道丸がヒソヒソ話をしている。
「お前ら異常だよ。何で角を生やすだけで、血ダルマになってんだよ。猟奇的でキモいよ」
試験官が青くなっている。
確かに自分の頭蓋骨に、角を釘で突き刺して固定するなど、猟奇的以外の何物でもなかろうよ。
「でもこれって、無駄な努力だったのよね。外道丸」
「橋姫、そう言うな。みんなもすぐに生えるもんだと思っただろうが」
はい。全くもって無駄な努力でしたね。
「何でか分からんけど面倒だし、まぁ良いや。では、ここを出るぞぉ」
試験官は外道丸たちを横一列に並ばせた。
どうもありがとうございました。




