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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第一章 地獄転生編
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地獄がこれで本当に良いのか? その6

どうぞよろしくお願いします。

 結局、味方で死んだのは俺だけかよ。

 「しかし優勝出来たし、よしとするかぁ」

 俺たちは観客の大声援に両手を振って応えた。

 試合後、相手も交えて和気藹々として試合内容を確認すると、外道丸も橋姫も幾つか大きな傷を受け、危うい勝利だったようだ。

 肥後の人斬りなどは「幕吏も野菜も同じ様なもんだけん、どんどん斬るべし」などと物騒な事を力説していた。もう幕末は終わってるんですがね。

 それにしても準々決勝の〈新選組〉対〈幕末の英雄〉戦も、罵り合いもあって、とても見応えのある試合であったらしい。


 個人戦の方は準々決勝で、お蝶とおコンが対戦した。

 「〈俊速のアイドルおコン嬢〉対するに〈種馬の調教師、寝技のお蝶〉」

 〈待ってました〉

 〈美女と美少女の対戦〉

 〈おコンちゃ〜ん〉

 〈お蝶さ〜ん〉

 野郎どもの声援が飛び交い、対戦は否応なく盛り上がる。でも種馬の調教師はちょっと・・・。

 先手を取ったのは、スピードに勝るおコンであった。

 地を這うような低い構えから、お蝶の正面へ飛び込み、短刀を突き出し、お蝶がそれを紙一重で躱して斬り込もうとするが、おコンは既に横へ飛んで斬り込む間合いの内には居なかった。

 距離を取ったおコンは、体を右に左に振りながら獣のように、お蝶に襲いかかる。

 お蝶の目の前まで飛び込んで左に跳ね、右に跳ね、短刀が届く距離へ突っ込んで来る。しかし、お蝶は紙一重で攻撃を躱し、おコンは距離を取り激しく動き回る。

 その後も似たような展開が続くが均衡は、お蝶の忍者の技によって崩された。

 おコンが突っ込んで来ようとする所へ、お蝶が苦無を打ち込む。

 おコンはモーションを見て、仕方なく横へ飛んで躱すが行く手を阻まれ、飛び込むスピードを殺されて、短刀では間合いに入れず、攻撃する事が出来ない。

 更に迷いが出たところに二撃、三撃の苦無を受けて斬り込まれてしまった。こうなると、流石に短刀と小太刀では勝負にならず、お蝶に胴を斬られ敗北を喫する。

 ビビったおコンの負けである。おコンが苦無を受けつつ懐へ飛び込んでいたら、どちらが勝っていたか分からなかったであろう。

 「悔しの。とっても悔しいのでしゅ」

 地面にペタンと座り、尻尾を抱いて悔しがるおコンも可愛らしいです。

 お次は準決勝。俺より先に、まず外道丸とお蝶が戦う。

 お蝶は正面から行くと見せかけ、横に飛んで斬りかかるが、外道丸の下段からの一撃で撃破された。流石に腕前の違いは誤魔化しようがない。

 俺は名も知らぬ剣豪、岡山太郎との一戦。歴史には名を残していないがレベル16では達人太郎の名で有名らしい。

 相手の力量は準々決勝を見て、ある程度分かっていたので、油断無く二刀を持って対峙する。

 相手に敬意を払って、先に斬り込むつもりだったが先手を取られ、上段からの面打ちを脇差で横に流して、左の刀を振り下ろし袈裟斬りを見舞うが、紙一重で躱され、横薙ぎに胴を斬られるが僅かに浅く、俺は体当たりで脇差を突き刺し、辛うじて勝利を得た。しかし、二刀をもってしても薄氷の勝利であった。


 さて、いよいよ個人決勝戦。

 「今度こそ、文句なしの勝利を()ぎ取ってやる」

 俺は試合前から息巻いていた。

 今度こそ本気の外道丸に勝ちたい。俺は、ずっとそう思っていたのだ。

 「こっちこそ、二度も首を預けるわけには行かないよ」

 外道丸からフツフツと闘志が伝わって来る。

 開始早々、俺は左の刀で右籠手を取りに行く。やはり軽く躱されるが、外道丸は反撃して来ない。

 今度は正眼に構える外道丸の刃筋の前に、脇差をかざして、左の刀をやや横に寝かし、下段に構え様子を伺う。

 急に心が透き通って来る。

 自分の目で外道丸を見ているはずなのに、まるで無心にテレビでも見ているような感じだ。

 そのまま体が自然に前に出て、脇差が太刀に触れそうになる。

 間合いが近い。

 刹那(せつな)、夢想のうちに俺は左の刀を斬り上げていた。

 外道丸はヒョイと軽く下がり、俺の斬り込みに合わせて俺を豪快に斬り下げた。

 「畜生、完敗じゃねぇかよ。仰々しい解説まで付いて、普通は勝つだろうがよぉ」

 復活して地面を叩く俺。

 「生前も死後も入れて、二番目に見事な(かたな)(さば)きだったよ。太刀と腕の長さで勝てたようなものだ」

 「私も、あなたの勝ちを確信して思わず拳を握ってしまったわ」

 「勝負は一瞬だったけど見応えある、達人同士の立ち合だったわね。祐介も強くなったけど、外道丸も腕を上げているのよ」

 橋姫が珍しく俺を祐介と呼んでくれた。

 「こんな名勝負は滅多に見られないのでしゅ」

 みんなが俺を励ましてくれる。

 ありがとう、みんな。それでも悔しいよぉ。

 「残念なのは奴が参加していない事だな」

 「そうねぇ。外道丸か種馬殿か、どちらと対戦するにしても、今回のような名勝負になっていたはずよ。やはり日本語が通じなかったのかしら」

 外道丸と橋姫が心待ちにしていた外国の御仁は、この大会に参加していなかったらしい。二人は、それをとても残念がっていた。

 「嫌な野郎だけど、きっと仲間になってくれたはずなんだが」

どうもありがとうございました。

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