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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第一章 地獄転生編
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地獄がこれで本当に良いのか? その2

どうぞよろしくお願いします。

 「俺はもうお終いだぁ、最後にせめて貴様だけでも道連れにしてやる」

 次郎丸は俺の首を力一杯締めあげる。

 「知ってるか? 無間地獄ってのはなぁ、あまりにも惨すぎるということで、この地獄でも使用が禁止されているんだぞぉ。俺は、そこへ堕とされるんだ」

 次郎丸は俺の首から手を離し、とうとう泣き出してしまった。

 「しかも、あんな事やこんな事まで・・・うぅぅ鬼としての尊厳(そんげん)が踏み(にじ)られてしまって、俺は、俺は・・・いやん」

 次郎丸の頬に赤みが差し、僅かに身をくねらせる。

 「お前もギョウ虫か?」

 「違うわ!」

 次郎丸は局長にコッテリ絞られた後、入管を出るとすぐに俺たちの元を訪ねて来たのだが、一体あの地下で何が行われたというのであろうか。

 「一週間後かぁ。小地獄の時間では二ヶ月半くらいだよな。よし俺たちが何とかしてやるから任せておけ」

 俺は胸を叩いて見せた。

 手狭になったので、立て直したばかりのアジトの中に俺たち全員が居る。

 部屋は寝室と応接間の二部屋だけだ。寝室と言っても、みんなが床にゴロリと横になって寝るだけなので、俺は最近、すっかり御無沙汰で欲求不満が溜まりまくっている。

 「本当か? 本当にどうにか出来るのか?」

 「秘策がある。お前の協力も必要だがな」

 俺は余裕の表情で言ってやった。

 「お前は、随分逞(たくま)しくなったなぁ。ありがとよ。俺は何でも協力するよ。お前と二人きりで、あんな地獄の責め苦を受けるなんて、俺には耐えられないよ」

 次郎丸は気弱に言った・・・何て言った?

 「ちょっと待った! 詳しく!」

 俺から余裕の表情が消し飛び、すっかり青くなって叫ぶ。

 「お前と二人きりって、俺もか? 俺も、その無間地獄とやらに押し込められるのか?」

 「当たり前じゃないか。お前が、この騒動の張本人なんだから、お(とが)めは免れないだろうが」

 次郎丸は、俺の言葉を信じて落ち着きを取り戻している。

 「無間地獄は(ひで)えぞぉ。俺も聞いたことしかないけど鬱や不安、恐怖と言った精神的な苦痛と、下手くそな歯医者が行う、麻酔なしで親知らずを抉り取る手術を受けるような肉体的な苦痛が、間断なく襲って来るんだそうだ。要するに寸秒の間もなく、いつもいつも何かしらの痛みと、苦しみに(さいな)まれ続ける事になるんだ。無間地獄の言葉通り、間断なく苦しみ続けないといけない。それも何百年もな」

 次郎丸とは反対に、段々落ち着きを無くして行く俺。

 歯医者、しかもヤブ医者の痛みだと? 更に精神的な苦痛? そんな拷問に耐えられるやつなどいない。なんという無慈悲な責め苦なんだ。

 まずい。これは非常にまずい。考えろ考えろ考えろ。

 俺は無間地獄から逃れる方法を必死で考える。

 「あなた大丈夫? 離れ離れはイヤですよ」

 「おコンも、おにぃたんが起きている時には、まだ可愛がってもらっていないのでしゅ」

 お蝶も、おコンも不安を隠せない。

 「これはまずいね。絶倫王を、いつ此処から連れ出すか分からないのか?」

 外道丸も渋い顔だ。

 「祐介も俺と一緒で、猶予は一週間だ。この一週間は無間地獄の準備期間なんだ。ここ三千年ほど閉鎖されていたから、設備の点検と近代化に時間が掛かるらしい」

 「なら、簡単な事だわ」

 橋姫が得意げに腕を組んで話し始めた。

 「種馬殿が此処を連れ出される、その少し前に、我々も試験官を倒して此処を出て、すぐに逃亡。直後に此処を出された種馬殿を我らで強奪する。ついでに次郎丸もね。その後、反乱軍の元に走る。どうです。完璧でしょう?」

 「そりゃぁ無謀だよ。試験官を倒して出るということは、軍属に入るんだろう? 忠誠を誓わされたら、お前らは俺たちみたいに鬼になって、反抗することは出来なくなる。コントロールされちまうんだ。それに、今現在、反乱軍なんていないし」

 橋姫の案に次郎丸は、すっかり肩を落としてしまう。

 「はぁ〜。祐介、お前の考えはどうなんだよ。秘策とやらを教えろよ」

 「まずハッキリさせておく」

 俺は今まで気になっていた事を、今ハッキリ言っておかなければ、どんな良い作戦でも上手くいかないと感じていた。

 「俺は吉田祐介だ」

 「知ってるわよ」

 「うん、知ってるの」

 「祐介だ。間違えない」

 みんな、何を当たり前の事を言っているのかと、疑問の眼差しを向けて来る。

 「そう俺は吉田祐介であり、種馬や絶倫王、性欲の魔獣、ブラッククリスタル、地獄の道祖神などでは断じてない!」

 「やはり強行手段しか無いと思うわ」

 「仕方ないですね。私も橋姫に賛成だわ。ダーリンを一時的にも敵に渡すわけにはいかない」

 「賛成なのでしゅ」

 「だからお前ら、それは忠誠を誓わせられるから」

 「無視すんなよぉ。俺の事を空気扱いすんなよぉ」

 ベソをかく俺を、お蝶が優しく慰めてくれる。

 「あなたが、しようも無い事を言うからでしょう。さぁ、何か良い考えがあったら言ってごらん?」

 「うん。ありがとう」

どうもありがとうございました。

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