地獄に神は居ないのでしょうか その5
どうぞよろしくお願いします。
興味津々に橋姫が聞いて来る。その横で外道丸と、おコンも興味深そうに俺が話すのを待っていた。
そんなに期待されても、そうそう良い案なんて。
「無いよ」
「はぁ?」
橋姫が思わず声を上げ外道丸と、おコンがズッコケる。
「何かあるんでしょう?」
「何も無いよ」
俺は胸を張ってそう答える。
俺は逆に問いたい。お前らは俺が、それ程賢いとでも思っているのかと。
「ただのハッタリ?」
「営業部長、宣って曰いわく、時にハッタリは、最大の武器となる。どうせ困るのは次郎丸だけだし」
「確かにそうだろうけど。一体誰の教えなのよ」
「営業部長の山本さんだ」
「誰?」
「鈴木さんは凄いんだぞ。二十歳でセールスマンをやってた頃は、給料袋が縦に立つくらい稼いだ事がある程の伝説の営業マンなんだぞ! バブルの頃だけど」
「知らねぇーよ!」
思わず素に戻って突っ込む橋姫に、俺たち三人は思わず竦すくみ上がった。
「ご、ごめんなさい。ごめんなさい。もう怒らないで」
一人、外道丸だけ反応がおかしいです。
「あら、ごめんなさい。私としたことが・・・って、なんで外道丸が、おコンの後ろで小さくなって誤っているのよ」
「・・・つい条件反射で」
「童子組ったら、嬶天下なんだね」
〈うん嬶天下だ〉
〈意外だな。あの外道丸様が尻に敷かれているのか〉
〈なんかイメージ違うよな〜〉
ギャラリーのヒソヒソ声が聞こえて来る。
「違うから。違うんだからね? ほんと〜に勘弁してよ。そんな趣味無いから。橋姫のヒステリーがたまに酷くて」
涙目で否定する外道丸。
「はぁぁ。それでどうするのよ」
溜め息を吐き、額を抑える橋姫が問いかける。橋姫も旦那がヘタレで苦労するね。
「次郎丸が、こっちに来る事が大事なんだろう? こっちに来てしまえば裸に剥いて生皮剥がしたり、チンコ切ったり、お蝶が得意の拷問で口を割らせれば、それで問題なし」
「大有りだ」
「大有りよ」
「大有りなのでしゅ」
「私がどうしたの?」
外道丸たちが同時に、俺に突っ込む中、今来たばかりのお蝶が首を傾げている。
「いや、実は・・・」
俺たちは、お蝶に今までの経緯を詳しく話して聞かせた。
「幾ら何でも、次郎丸を拷問なんて無理よ。それにチンコ切って口に突っ込んだり、ケツの穴に焼け火箸を突っ込んだり、玉袋を裂いて中身を取り出し、犬に食わせるなんて等活地獄の責め苦と同じじゃない。ああ、こちらでは玉袋に中身は無いんだったけど」
・・・えーっと、元御庭番で拷問も得意のお蝶が、呆れたように言う。
成る程、元亡者の獄卒には有効な拷問ではなさそうだ。ってそうかなぁ。俺とか次郎丸には、とても耐えられそうに無いと思うのだが・・・。
「そうか。無理ならどうしよう。なんか良い方法は無いか?」
「一つ思いついたけど・・・」
そう言って、お蝶が唇に指を当てて考え込んでいる。
みんなは、お蝶が口を開くのを黙って待っていた。
「次郎丸は、あなたが問題を起こしたので困っているのよね。現状が入管の局長に知られたら、とてもまずい事になると。ならば・・・」
お蝶が、自分のプランを説明し始める。
「・・・と言うのはどうかしら」
「うん、酷い」
「確かに酷いのでしゅ。拷問より惨い仕打ちなの」
お蝶の作戦は情け容赦のないものだった。
外道丸と橋姫は、苦笑いを浮かべて黙っていた。
その惨い計画とは、今の騒ぎが表沙汰になるように騒ぎを、もっと大きくして次郎丸を追い詰め、困った次郎丸が連絡を取って来たら、ここに呼び出して思い切り脅しあげて仲間に引き込む。というものであった。入管の局長に拷問される次郎丸の姿が脳裏に浮かび、哀れを誘う。
「でも良い案だな」
「私も良いと思うのでしゅ」
「俺たちも異存は無い。なぁ橋姫」
「うん」
みんな賛成のようだ。
「よっしゃ、早速行動開始だな」
どうもありがとうございました。




