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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第一章 地獄転生編
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やはり亡者には情け容赦ないのです その2

どうぞよろしくお願いします。

 「その話、私も乗せてもらうのでしゅ」

 俺たちはギクリと辺りを見回す。

 「出てらっしゃい」

 お蝶が開け放たれた縁側から外に出て、(くさ)(むら)に声をかける。

 「その声、その話し方。銀狐のおコンね」

 俺だけではなく、お蝶までもが彼女の気配を感じることが出来なかったようだ。

 「銀狐のおコンって、何だよ。そのまんまじゃねぇか。ちょっと恥ずかしいぞ」

 「みんなが勝手にそう呼ぶのでしゅ!」

 ちょっと怒ったような声が可愛らしい。

 「良い加減出て来なさいよ。私たちの周りを嗅ぎ回っていたのは、あなたでしょ?」

 お蝶が草叢に苦無を投げる。

 「は〜い、なの〜」

 可愛らしい返事と共に、草叢から音もなく小さな少女が姿を見せた。

 何とぉ〜、獣耳ですかぁ。尻尾もあるぅ〜。

 「化け狐?」

 思わず俺は口走る。

 「違うの! 失礼なのでしゅ!」

 少女がプンスカ怒っている。

 「おコンは死んですぐに、畜生道に堕とされちゃったの。こっちに戻って来ても影響が消えないのでしゅ」

 さいですか。可愛いから、もう何でも良いです。

 「そんな事より、さっきの話なの。おコンも良い加減、ここから出たいのでしゅ。ここはもう飽き飽き。だから一緒に連れてってなの」

 「あなたほどの実力者なら、いつでも出られるでしょ」

 「おコンみたいな、ロリロリのカワイ子ちゃんが一人で出たら、獄卒共に何をされるか分からないのでしゅ。それに噂では入管の局長はロリコンらしいし、おコン、怖い・・・おにぃたん守ってぇ」

 おコンが銀色のフカフカの尻尾を抱いて、モジモジして見せる。

 きゃ、きゃわいい。

 「あなた、デレェ〜っとしないで。手を出したらロリどころか、獣姦(じゅうかん)になっちゃうわよ」

 獣姦って、凄い事を言うなぁ。

 「あなた、こんな女狐、仲間には入れないからね」

 俺は、お蝶を無視して、ある疑問を聞くことにする。

 「獣耳を数える時は一匹、二匹で良いのか?」

 おコンの短刀に刺殺される俺。お蝶は、止めもせずに呆れて見ている。

 「失礼なのでしゅ。失礼なのでしゅっ! 半分以上は人間なのでしゅ! だから一人二人が正解。それと四捨五入すれば人間だから、獣姦にはならないの!」

 そう言ってほっぺを膨らませ、俺の腕に(すが)り付いて(にら)んでいる狐っ子も、すごく可愛いです。

 「泥棒狐、離れなさい。私の亭主に手を出さないで」

 「泥棒は、お蝶なの。おにぃたんの事は、お蝶より先に、おコンが唾をつけていたのでしゅ」

 「嘘おっしゃい」

 「嘘じゃ無いのでしゅ。おにぃたんの事をずっと見守って、添い寝もしていた仲なのでしゅ」

 「あなた!」

 「おぉぉ、お、落ち着け。そして背中に刺した苦無を抜いてください。お願いします」

 俺は必死で身に覚えの無い事を、お蝶に説明した。

 「おにぃたんは、気付いていなかったのでしゅ」

 そう言って、また体を摺り寄せて来る。

 柔らかい尻尾が何とも気持ち良さそうで、思わず軽く揉んでしまった。

 「いやん。おにぃたまのスケベ」

 ちょっと待て。覚えがある。確かに覚えがあるぞ。

 「お蝶、思い出した事がある。だから刺すのはちょっと待ってくれ」

 俺は焦りまくって、苦無を構えるお蝶を制した。

 「この銀色の体毛。確かに間違えない。これはあの時に見た、()せて白くなった俺の陰毛だ」

 「はいぃぃ?」

 「壊れたでしゅ?」

 お蝶も、おコンも呆れてらっしゃる。

 「いやいや、だからすっかり白くなった俺のチン」

 「あなた、しかりして!」

ガツン。

 そう言いながら、お蝶の拳が俺のテンプルを打ち抜く。

 「グゲッ」

 思わず頭を抱え込む。

 「落ち着いて聞いてくれよ」

 俺はクラクラする頭を軽く振りながら、お蝶をなだめる。

 「あの時はナニが燃え尽きたのかと思って、泣きながら慌てて一発ぶっコイて、ナニの無事を確かめちまってよ」

 「そうだったのでしゅ」

 「あなた・・・」

 お蝶は目に涙を浮かべて、哀れむような目で俺を見つめている。

 「いや、つまり俺の肛門のナル・ア・ナル神様の声を聞いた時に見かけた毛と同じなんだよ」

 そこまで言って俺は、身の危険を感じた。と同時にある疑念も生まれた。もしそうであれば、とてつも無いピンチである。

 「という事は、あの時の極上の毛皮に包まれた夢も・・・」

 「私が添い寝していたのでしゅ」

 俺はお蝶に向き直る。

 「お蝶、おコンが言っている事は本当だ。彼女は俺の知らない間に、添い寝をしていたようだ。でも信じてほしい。二人の間には、何も起こらなかった事を」

 お蝶は俺の目をしっかりと覗き込む。

 「信じるわ。あなたは絶倫王、あなたの目には、チャンスを逃した悔しさが(にじ)み出ている」

 全て見透かされておりますです。しかし、取り敢えずは事なきを得てホッとする俺。

 「じゃぁ、俺の顔や手を舐めて綺麗にしていたのも、ナル・ア・ナル神様ではなく・・・」

 「そうです。添い寝してたらお腹が空いて、つい美味しそうな血の匂いに我慢出来なかったのでしゅ。特におにぃたんの唇についた血がとても美味でしたの」

 「お、おいおい。そんな事」

 《ギリギリギリギリィィィィィ》

 殺人衝動を必死で我慢しているお蝶の歯軋りが聞こえて来て怖いです。

 「流石、畜生道の女狐はケダモノね」

 言葉の(とげ)が痛いです。顔が怖いです。

 「だから半分以下なの! お耳と尻尾と、おゴニョゴニョだけなのでしゅ!」

 「おコンちゃん。おにぃたんは、よく聞こえなかったんだけど、お耳と尻尾とどこが狐なんだって?」

 「お、お・・・ 」

 おコンが真っ赤になって、モジモジしている。

 「さぁ、おにぃたんに言ってごらん。どこだって? さぁ。さぁさぁ」

 「お・・・お・・・、おにぃたんの意地悪」

 ザクッ、そうですよねぇ。流石に刺されますよね。お蝶さんに。

 「だって、ちゃんと聞いておかないと、あそこが狐だったら、いざって時、本当に獣姦になるだろう?」

 ザクッザクッザクッ、はい頂きました。今度は三度も刺されてしまいました。

 「そ、それよりだな。なぜ付きまとっていたんだ? そして、いつから付きまとっていたんだ?」

 これ以上刺されたくないので、話題を変える事にした。

 「おにぃたんは、ここの極悪人共とは匂いが違うのでしゅ。確かに、おにぃたんは変態の匂いはしましゅが、おにぃたんは本当の男なのでしゅ。そして、優しそうなのでしゅ」

 おコンは俺の膝に、子犬のように甘えて来る。

 ゆらゆら揺れる尻尾も可愛いです。おにぃたんは、もう堪りませんのでしゅよ。

 「それにおコンも、お蝶と同じで一人ぼっちは寂しいのでしゅ」

 俺の太腿を、両手を揃えて掴み、上目遣いに見上げているおコンを、俺はしっかりと抱きしめてあげたい。お蝶が居なければ。

 「でも、おコンはちょっと心配なの。おにぃたんは、精神を病んでいるのでしゅ」

 そう言うと、おコンは顔色を曇らせる。

 「おにぃたんは時々、有り得ない格好で神様とお話をするのでしゅ。おにぃたんは肛門」

 「ちょっと待ってねぇ。おコンちゃん、いいかい、世間一般の常識として、他人の(ひそ)やかな行為を人前に晒すのは、とてもいけない事なんだよ。おにぃたんの言いたい事は分かるよね?」

 ちょっと首を傾げて、コクリと頷くおコンちゃん。ありがとう。本当にありがとうございます。

 やはり最大のピンチ、懸念は当たっていた。初めて神様に接した、あの時も、恐らく俺が人知れず定期的に行っている礼拝の儀式さえも、おコンはきっと見ていたのだ。

 俺の人格に係わる大問題だ。もう一度、後でしっかりと口止めしておこう。

 「それに、おコンは、いつも見て知っているのでしゅ。おにぃたんは絶倫で止むことを知らずの暴れん坊将軍なの。鬼神よりすんごくて、光り輝いているのでしゅ」

 お前かぁ? 変な噂の、真の元凶はお前なのかぁ?

 俺を見上げて、可愛く小首を傾げるおコン。

 「はあ。誰かのせいで、そのように(うた)われておりますですね」

 「おにぃたんは、男の匂いがするのでしゅ。他の男と違うの。だから、ずっと狙っていたのでしゅ」

 とても嬉しいのですが、お蝶を愛している俺としては、非常に困るのです。

 「それに一人遊びもバリエーション豊かで凄かったのでしゅが、お蝶とのプレイは日に日に上達し・・・流石なのでしゅ」

 「駄目よ。私とダーリンの邪魔はさせないわ」

 すかさず話を遮るお蝶であった。

 結局、お蝶が反対するので仲間にすることは見合わせたが、おコンは俺たちから離れようとしない。仕方が無いので、おコンの好きにさせておく事にした。

 「あなた、ちょっと横になって休みましょうか」

 今日も勝手に上がり込んでいる、おコンを外に追い出し、お蝶は、これ見よがしにイチャつき始める。

 「おいおい。しようがねぇなぁ」

 俺もこのシチュエーションに興奮して悪乗りしてしまう。

 「す、凄いの・・・いつ見ても凄いの。おにぃたんは種馬の絶倫王・・・」

 縁側から竹で作った引き戸をずらして覗いていたおコンは、思わず途中で言葉を飲み込み口を押さえる。

 結局、俺たちは顔を赤らめたおコンに、最後まで観戦されてしまった。

 「今回も、お蝶の負けなのでしゅ」

 おコンが小さく(つぶや)く。

 賢者モードになった俺としては、とても恥ずかしい。

どうもありがとうございました。

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