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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第一章 地獄転生編
23/133

焦る次郎丸

どうぞよろしくお願いします。

 「奴の居所は分かったか?」

 「まだだ。おかしいなぁ。ブレスで位置確認が出来るはずなんだが、ブレスのスイッチが入ってないのかな?」

 次郎丸は頭を抱えていた。

 祐介がレベル16の部屋に入って三日が過ぎていた。

 「中の感覚だと一ヶ月くらいか」

 次郎丸は同僚の協力を得て、監視室から祐介を探し出そうとしていた。

 同僚とは祐介が入獄した時に、その案内係としての座を争った金ピカ鬼である。

 しかし今日は次郎丸も金ピカ鬼も、工事の誘導員のような作業服を着ていた。

 「とりあえずバイタルサインでの捜索を続けるしかないな」

 「何でIDの検索機能が無いんだよ」

 「仕方あるまい。システム全部がやっつけ仕事だからな」

 焦る次郎丸を金ピカ鬼が落ち着かせるが、焦りまくる次郎丸。

 祐介の事が上に知られたら、次郎丸はどうなってしまうのだろうか。

 「クッソー、あの大バカ者がぁ。あの方からは、こっぴどく(しか)られ、局長の目は誤魔化さないといけないし、踏んだり蹴ったりだ」

 「うん。お前が選ばれて心底良かったよ。ありがとなぁ、次郎丸」

 金ピカ鬼が、そっと次郎丸の肩に手を置いた。

 「クッソー」

 次郎丸と金ピカ鬼は操作盤を触って、次々とバイタルサインを切り替えながら、目の前のコンソールパネルを凝視している。

 「ブレスが動いていないとすれば入った場所から、あまり動いていないはずだ。あの辺のエリアを、もう一度探して見よう」

 無数の亡者の中から一人を特定する事は至難の業である。

 二人は、それから長い時間、捜索に全力を挙げていた。

 「おっ、これじゃないか?」

 金ピカ鬼の半信半疑な声に次郎丸が飛びつく。

 ロックされたバイタルサインの詳細情報がコンソールに映し出された。

 「これだ間違えない。チップから発信されているIDが裕介のと一致したぞ」

 コンソールに映し出されたグラフ、その上の十桁のIDが祐介のものと一致している。

 次郎丸は亡者呼び出し用のマイクを掴んだ。

 「祐介、俺だ次郎丸だ。聞こえるか?」

 グラフに全く反応が無い。

 「ブレスレットが機能して無いから、聞こえないんじゃないのか?」

 「分かった。IDチップの緊急通信機能を使ってみよう」

 次郎丸はそう言うと、祐介のIDチップに緊急信号を送り、通信機能を強制起動させた。

 「今の緊急信号でケツに埋めたIDチップが振動して、祐介に注意を(うなが)したはずだ。祐介が気づいてくれれば・・・あっ!」

 「ど、どうした?」

 「そういや、チップを埋め込んだ時に、何も、全く何も説明してないや。てへぺろ」

 「・・・・・・次郎丸、緊急通信機能は壊れやすいから、とりあえず要点だけ伝えろ」

 次郎丸は金ピカ鬼の、冷たい声のアドバイスに黙って頷いた。

 「祐介、戦え。助かりたければ戦うのだ」

 ちょっと間を空ける。

 「反応があったぞ。もしかしたら聞こえているかも知れんぞ」

 「戦うんだ。全力で戦え」

 また反応を伺う。

 「間違えなく聞こえている。と俺はそう思うぞ! てか愚かな次郎丸のためにも、そう信じたい気持ちでいっぱいだ!」

 精神状態を表すグラフに、激しい変化が見られる。

 次郎丸は、その反応に力を得て話を続けた。

 「この試練は、戦って勝つ事だ。立派な戦士として戦い、勝利するのだ」

 その時、監視室のドアがガチャリと開く。

 「次郎丸さん、入管の局長がお呼びです・・・何してるんですか?」

 顔を見せた丈の短い振袖姿の、若干若作りな鬼っ娘が怪訝(けげん)な表情を見せる。

 血の気が下がり、青くなる次郎丸。

 「はひぃ、ただいま参ります」

どうもありがとうございました。

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