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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第一章 地獄転生編
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修練の成果はなんか虚しい その2

どうぞよろしくお願いします。

 人肉には、ちょっと不安のある俺。

 などど言っている場合では無い。これはロリエロ並みに、倫理的に問題なのではないだろうか。

 「あなた私の手を取って」

 俺は言われるままに手を握る。

 「森へ」

 お蝶が、そう言って強く念じると視界がボヤけ景色が変わる。

 「すっげー、森の中だよ。一瞬だよ? 一瞬で森の中だよ。凄くね?」

 「あなたは、瞬間移動は初めてだったわね」

 お蝶がニコニコ笑っている。

 「早速、獲物を狩るわよ」

 「こんな所に美味そうな人が居るのか? さっきの坊主頭の奴は硬そうだけど、良い肉付きだったぞ」

 狩りは呆気なく終わった。

 お蝶が獲物の首を小太刀で斬り落とし、小川のそばに運んで手早く(さば)いて焼いている。

 「猪って、きっと人より美味いよね」

 ホッとする俺。よく考えたら亡者は殺しても生き返るし、食えないんじゃないだろうか。

 しかし捨てたモツが勿体無い。鍋があればモツ鍋に出来るのに。

 既に死んだ身なので健康を気にせずに、塩気たっぷりの肉汁滴る肉の塊にかぶりついた。

 「うめぇな。味付けは岩塩のみだけど、メチャクチャうめぇ」

 聞くところによると、肉を食って修練すれば地獄でも筋力がアップするらしい。

 「また、あなたの事を話して」

 俺は自分の居た時代の事や、思い出話をして聞かせる。

 「へぇ〜、未来はすごいわねぇ」

 今更そう言われれも、随分近代文化に詳しいように見受けられるのですが。

 「そう言えば、おまえの元雇い主、信長公の自称十七代目の子孫もスポーツで頑張ってたぞ」

 「信長公は叫喚地獄のレベル16にいらっしゃるそうよ。その子孫と信長公が、そのうち会えると良いわね」

 いやいや地獄で、ご対面ってのもちょっとアレじゃね?

 「叫喚地獄って響きからして、ここより凄そうだな」

 「そりゃ戦争で殺しまくった人だからねぇ。噂に聞いたけど、別の国の獄界にいる、もっと酷いことをした国家社会主義者のチョビ髭とか、社会民主労働党のアカい白熊とか、自国の雀や人民を何千万人も殺しまくったアカいデコッパチとかは、全獄界でも最高レベルの地獄に堕とされているらしいわ。あの人達は人類が存続するうちに生まれ変われるのかしら。世界の歴史的な極悪人たちに比べたら、日本の獄界なんて可愛いものね」

 俺も、お蝶の過去を聞き互いに色々と語り合う。

 「何だ、お前は本当にビッチだったんだな。雌犬め」

 「仕方ないじゃない。女の御庭番なんだから、枕営業は避けられないわよ」

 そう言われればそうなのだが、ついつい嫉妬してしまう。

 俺、冗談で求婚したんだけど・・・何とも複雑な気持ちに(さいな)まれている。

 「あなた、こんな汚れた女はいや?」

 「ヤキモチは焼くし、快くもないが、お蝶を拒否する程の事ではないな」

 俺は素直な気持ちを言った。

 「俺も風俗で遊びまくってたし、風俗嬢達から延長料金は返すから、お願いだから、もう帰ってと懇願(こんがん)され嬢泣かせの祐介と異名をとり、借金払わずに自殺する程の男だから人の事をとやかく言えないし、俺は大概クズ人間だしなぁ。今と今からが良ければ、それで良いよ。俺はね」

 「私もよ。あなたは最高のパートナーよ」

 こんな男が最高とか、ちょっとズレているお蝶であった。

 「何もプレゼントする物も無いけど」

 俺は自分の持ち物で一番綺麗な物を、お蝶に手渡した。しかし、こんな物しか無いなんて情け無い限りだ。

 「なぁに、これ。綺麗だけど・・・笛?」

 吹いてみようとするお蝶を、俺は慌てて止めた。

 「それを吹くと、うだつの上がらない金ピカ鬼が現れてイラっと来るかもしれないから止めておけ」

 「???」

 俺は、その後も素手とナイフで戦いまくった。お蔭で最弱の通り名は影を潜めて、新たに嬉しく無い通り名が広まってしまったのだが。

 俺に勝った対戦相手どもも。

 「種馬祐介か。覚えておこう」

 負けた相手たちも。

 「絶倫王殿か、しかと覚えたぞ」

 しかし名前が広がるのが早すぎると思うんだけど。お蝶だけが広めているとは思えないんですが。

 俺たちは()かれたように食っては戦いエッチして、食っては戦いエッチして、食っては戦い・・・俺、肉を食いだしてからアッチの方も凄くなってない?

 「でも本当に、これで良いのかよ。俺はいつになったら、罪を清算出来るんだぁ?」

 「あなた、何言ってるの? 説明は聞いてなかったっけ。ここは」

 「俺は良い加減ここから出たいんだよ!」

 思わずそう叫ぶ。

 「そうねぇ。あなたも強くなったし、経験しておくのも良いかもねぇ。ちょっと挑戦してみましょうか」

どうもありがとうございました。

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