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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第一章 地獄転生編
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こんな責め苦があってたまるか その3

どうぞよろしくお願いします。

 「ま、まぁ、それも罪には違いないけど、ここのレベルに来るほどの罪じゃないわね。他にもエロ犯罪で天下統一を図ったとか」

 「ないない」

 どんな統一だよ。でも何だか面白そうではあるな。

 もし俺様がエロエロで天下を統一したら多夫多妻制を採用して、もちろん男女共に重婚可能。日本にも国営放送を作って、エロ課金番組を流しまくる。エロサイトも運営して世界中から金を集めるんだ。

 「これぞスケベ大国たる、日本の使命じゃないだろうか」

 いえいえ、日本は立派な経済大国です。

 「俺の生まれた意義は、この大日本を、これらのエロ政策で世界最強の国家にするためなのである。俺は命ある限り、我が〈富国強性〉の使命を全力で成し遂げなければならないのだ」

 妄想に浸る俺は、拳を固く握りしめ力強く天を仰ぐ。

 パチパチパチパチ。

 聴衆から熱い拍手が送られる。

 「私には何言ってるのか全く理解出来ないけど、何だか凄いわね。でも残念だけど生きてないし、とっくに死んでるし」

 「はい、そうでした。ここへはドアを間違えて入っただけなんです」

 「間違っちゃったの? おバカねぇ。本当におバカねぇ。カルテには〈道順や、ドアは間違えないように、番号をしっかり確認してください〉て書かれてたでしょう?」

 「俺は特別来獄者でガイド付きだった。地獄での心得も貰ってないし説明文もよく読んでない」

 クッソー、次郎丸めぇ。全てあいつのせいだ。

 「それでも獄卒に説明すれば、出して貰えたでしょうに」

 「あの鬼っ娘め。いきなりブレスレットをはめやがった」

 「でもスイッチが入ってなかったって事は、ここに留めるつもりだったとは思えないし・・・。詳しい説明もなかったんでしょう? 鬼っ娘は冗談好きだからイタズラされたんじゃないの?」

 キョドりながら黙り込む俺。

 腕を組んで考えるお蝶。

 「あんた、鬼っ娘に悪戯(いたずら)した?」

 固まる俺。

 「はぁ〜。本当におバカだねぇ〜。もうスイッチ入れちゃったから、ミッションコンプリートするまで出られなくなっちゃったわ。だって一度スイッチが入ったら、二度とオフには出来ないの。だから諦めて戦うしかないわね」

 なんてこった、この女がスイッチを入れなければ。

 思わず飛びかかり、お蝶の首を締め上げる俺。

 「な、な、なかなか、やる・・・じゃない」

 しかし手首を(ひね)られ、あっという間に()じ伏せられる。

 「はぁはぁはぁ。逆恨みはやめてよ。自業自得じゃない」

 全く、その通りです。

「ごめんなさい。謝りますから、もう抜いてください。グリグリされると、とても痛いです」

 お蝶は黙って、俺の腹に差した苦無を引き抜いた。

 それから俺はブレスの使い方を詳しく教えてもらい、自分の願う武器を出す事が出来る様になった。

 ついでに血で汚れたから、洗浄もしておこう。

 「なかなか上手いわよ。次は対戦相手を求めて移動する方法だけど、これも基本は同じで強く拳を握って、念じれば良いのよ。場所や相手を思い浮かべなければ、似たようなレベルの対戦相手のところにジャンプするわ。一度対戦した相手や場所だと、強く思い出しながらね」

 お蝶は形だけ、やって見せてくれる。

 「団体でやる時は手を取り合ってやるの、そうすれば団体で対戦相手の居る場所に移動出来るわ」

 このブレスは、なんとも便利な物のようだ。

 「じゃ、早速訓練を始めましょう。折角だから素手の組手から覚えてもらうわよ」

 なんでやぁ。折角だからブレス使わせろやぁ。

 俺は心の中でそう叫んだ。口に出して文句言ったら瞬殺されそう。とか手加減してくれなくなるかもしれない。とかじゃなくて愚痴っぽいと男らしくないから・・・。

 それから俺は毎日毎日あいも変わらず、なす術もなく殺され続ける。


 「このクソビィ〜ッチ。オラ戦闘種族の猿じゃねぇんだぞぉ。この雌犬がぁ。修行なんて糞食らえだぁぁぁ」

 どれくらい二人で戦っているのだろうか。遂に俺の血管がブチ切れた。

 「うん。言いたい事はそれだけね。発情した覚えたてのお猿さん」

 ギクリ。俺のお楽しみに気付かれてる?

 そんな事より。お怒りだ。非常に怒ってらっしゃる。

 ストレスでブチ切れて後先考えず叫んだ俺だが、今では非常に後悔している。

 「その負け犬根性、叩き直してあ・げ・る。さぁ毎晩の悪癖(あくへき)のように、カキカキ波でもコキコキ波でも発射してご覧なさい」

 間違いない。バレてる。ここ最近、毎日お姉さんをオカズにしていたのがバレている。

 情け容赦のない戦闘訓練が再開された。一段と厳しさを増したようなんですが・・・。

 もう何週間? 何ヶ月? どれくらい戦っているのか分からない。時間の感覚が全く狂ってしまっている。

 きっと何年って事はないよな。

 なぜだか分からないが寝て目が覚める度に、または殺される度に時間の感覚がリセットされるようだ。地獄で長年月生活するための精神防衛機能だろうか?

 「ちょっとタンマ。待って、タイム、休憩」

 俺は、いつものように戦闘後の洗浄を済ませると堪らず大の字に寝転んで、次の攻撃に備えて小太刀を構えているお蝶に手を振った。

 肉体的には疲れもすぐに癒されるが、精神の方は、すぐには癒されない。

 「ふう。少しは様になって来たし良いでしょう。休憩にしましょうか」

 お蝶も俺の隣に腰を下ろして、肩を優しく(さす)ってくれる。

 「えっ? 様になってるの?」

 俺は驚いて聞き返す。

 「このお蝶様相手に修練しているのよ。上達しないわけがないでしょう。それにしても大した精神力ね。邪念が強いのかしら」

 しばらく共同生活を続けているが、お互いに過去の事、特に生前の事については、気軽に聞かない方が良い気がして何も聞いていないし、何も聞かれてもいない。しかし、お蝶の過去に興味がないわけではない。

どうもありがとうございました。

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