攻防戦 その5
御免なさい。
書き溜めた在庫が枯渇し新規に書き起こしておりますので自己検閲が甘くなり、内容が益々酷くなる恐れがあります。不愉快ない思いをさせてしまうかも知れませんが今更と思ってご辛抱をよろしくお願いします。
「貴様ら。今から思う存分暴れてもらう。目標は資本主義の犬。偶像崇拝の狂信者どもだ。奴らは貴様らの事を『アカ虫』とか『パヨク』などと呼び、人間の屑と見下している」
『クソがぁ!』
『ネトウヨ許さん!』
『我ら連合アカ軍の恐ろしさをタップリと思い知らせてやる!』
『そうだ! 暴力革命こそ正義! 世の中をグチャグチャに破壊して我らの理想郷を作るのだ!』
『クソジャップ!』
「今ジャップって言ったやつ。無間地獄送りな」
ジャップと叫んだアカ虫が泣き叫びながら屈強な亡者に引き立てられて行く。
「我らが、その蔑称を甘んじて受け入れることはない! その蔑称を浴びせられながら死んでいった日本人にどの面を向けられると言うのだ」
僅かではあるが文麿の配下にも銃を取り、あの戦争を戦い、その戦果の中で召された亡者も混じっているのである。それに文麿自信も誇りある大和民族として、その蔑称は受け入れ難いのであった。
文麿は黒縄地獄のレベル16から武闘派と言われる反日左翼どもを召集し、文麿配下の亡者どもを総動員して、一週間をかけて潜虫を飲ませ、総勢三万の大軍団を作り上げたのであった。
「手間をかけた甲斐がありましたじゃる」
無理やり駆り出され寝る間も与えられずに潜虫投与をさせられた晴明が感慨深げに呟いた。
「え? 全然手間は掛かってないよ?」
「そりゃあんたは命令しただけだからでしょうよ!
じゃる」
「あははは。そういや晴明は、もう完璧に潜虫マシーンと化していたもんね。今思い出しても笑えるわ〜」
「笑ってんじゃねぇよ。クソボケが! グギギギ」
「貴様、割とマジで悪態つきやがったな」
潜虫による反応で、敵意のある態度や発言はバレバレなのであった。
「教祖どん。連合アカ虫の大軍団が押し寄せてきよるばい」
「へ〜。またヘタレ集団か?」
「まあ大したこつは無かなぁ。三万程度の烏合の衆たい。 あははは」
「おい! 三万かよ! 大軍団じゃねぇかよ! こっちの約三倍だろうが!」
「ばってん、あいつらは素人集団たい。こっちは早川率いる一万の正規軍と俺たち生え抜きの戦闘集団、それらが閣下の指揮下で働くけんな。敵にはならんど」
「そんなもんなのか? 三倍だぞ? 熊本城でも三倍の敵で囲まれたら厳しいんじゃないかい?」
「いや。あん時でん、三倍の敵に囲まれとったばってん、日本最強て言われたバーサーカー薩摩の責めば、鎮台の百姓兵が耐え抜いたけんな」
「ああ、そうだったの? てっきりバーサーカーに蹂躙されて田原坂まで逃げ惑ったと思ってたよ」
「一応熊本藩は薩摩の抑えだったけんな。ばってん、そっでも、まさか両軍共に薩軍が鎮台に負けるては思わんだったど」
「なら俺らの戦力を考えたら余裕で籠城できるね?」
「籠城は無理たい。ここは起伏も緩い林の中で碌な防塁も準備しとらんだったけんなw」
「はぁ!? じゃあどうやって敵を防ぐんだ?」
「決まっとるたい。真正面からの激突しかなかろ。こん状況じゃ奇策も奇襲もなか。既に四方を包囲されてるけんな。ガハハハ」
「何笑ってるんだよ! 戦闘狂かよ!」
「そうたい。等レ16組は間違えなく戦闘狂たい。閣下も生粋の大日本帝国の陸軍大将ぞ。ヘタレた戦闘はさっさんど」
「ああ。はいはいそうでした。更に美紗子もひろみちゃんも暴れるの大好きっ子だしな。あ! 牛馬もいたな。あいつらもなんだかんだ言って武闘派だよな。俺と同類はイヌとトクと河童くらいのもんか? ああ鈴菌衆もいたか」
「なんの。裕介も経験を積めばなかなかの猛者に育つど。お蝶の手加減なしの手解きば受けたとだろ?」
「多少は戦えるとは思うけど美紗子ん家で戦いに巻き込まれてからトラウマになったのか、どうも荒事は苦手なんだよね」
などと呑気な事を言っている間にも包囲の輪は狭まって敵の歓声が大きく聞こえるようになってきた。
「今回の戦闘は、とても厳しいものとなるでしょう。しかし、幸いにも地獄では補給を考慮する必要はないし、負傷兵も戦死者も出ない。つまりはゴリ押しで相手をへたばらせた方が勝つ。そう言った意味では敵の兵力は脅威に違いない」
閣下は、いつ招集したのか第一軍の一万の兵力と裕介たちを見て大声で怒鳴っている。
しかし、一万以上の兵士を納めるために切り開かれた林は広大な面積に登る。その切り出した資材は兵舎や家屋の充実に当てられたので無駄にはなっていない。
この広々とした見晴らしの元雑木林が主戦場になると予想される。ちなみに社や兵舎、住居などは広場の中央に位置している。
ただし、急増の開墾地なので切り株や倒木があちこちに見られる有様だ。
「今回の戦闘で最も重要視されるのは精神力だ。幾ら殺されても立ち上がり立ち向かい続ける強靭な精神力だ。大東亜際には、敵の物資があまりにも膨大であったために、我が国力では如何ともし難くやむに止まれず精神論に縋らなければならなかったが、今回は純粋に精神力対精神力の戦いになるだろう。これは我々にとって最大の利点となるであろう。アカ虫どもは精神は限りなく汚く、人を信ずる強さも持たず軟弱極まりない。翻って我が方は、それぞれが我が身を練りに練った決死の士である」
どこからともなく『抜刀隊』が聞こえてきた。
整列する軍勢に気合が入る。
「くどくは言うまい。みんな死ね! みんな立て! みんな殺せ!」
『ウウォオオオオオオオオオ』
地を揺るがすほどの大歓声である。
「アカいウジ虫をこの世から消し去るのだ! 皆殺しだ!」
『グウゴォゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオオオオオオ』
先程にもまして地震かとまごうほどの地鳴りが広場を揺るがした。
敵の歓声が途絶えるほどのものであった。
どうもありがとうございました。
これからも引き続き、ひっそりと活動を続けたいと思っていますが投稿も休み休みになる事があるかも知れません。それでもどうか今後ともよろしくお願いします。