生命の神秘 その4
御免なさい。
書き溜めた在庫が枯渇し新規に書き起こしておりますので自己検閲が甘くなり、内容が益々酷くなる恐れがあります。不愉快ない思いをさせてしまうかも知れませんが今更と思ってご辛抱をよろしくお願いします。
「東條閣下。これはなかなか上等なカステラですよ」
「そうだね。折角のおもてなしなんだから、快くお受け致しましょう」
東條閣下は上品にカステラを食す。
「うん。美味しいね。日本国民の誰もがこんな贅沢品を食べられるようになったのだから、あの戦争も意味があったんだね」
「閣下、感慨深いですね。あのまま手を拱いて反戦派の言う通りに交渉を続けていたら、いずれは白人社会の贄にされたか、共産主義者どもに蹂躙され、大和民族は地球上から消滅していたことでしょう」
「まったくだね。現代のウイグル民族のように民族浄化により滅びの道を歩んでいたことでしょう。惜しむらくは我々が、あの正義の戦争を勝利していれば世界を共産主義者どもの好きにはさせなかったものを」
「アメリカさんも我が国もアカいスパイに良いようにやられましたからね」
「日露戦争の関係でビリシェビキとパイプが出来て随分侵食されたからね。まあ共産主義者の防波堤として頑張っていた日本を潰したのだから、白人至上主義の先進各国は百年は共産主義者との戦いを強いられるのは因果応報だよ」
「地下資源という物質をふんだんに我が国へ提供してくれていたら、我が国一国でもソ連や中共の侵略を食い止めて見せたものを。誠に残念で仕方がないです」
「非道な共産主義者どもと戦い、大和民族の自律を守るためには、どうしても白人種によるアジア諸国の植民地支配を打破し、我が大和民族を中心としたアジア共栄圏を作らなければならなかったのが我々を含めたアジア諸国の悲劇であった」
「それを利用して国民党軍との戦闘を拡大させ、中共軍を温存し、東南アジア諸国を独立させた後に中共分と共に大アジア人民共和国を作ろう、というんですから正気の沙汰とは思えませんよ」
「ソ連の息のかかった大統領が居たから何をやっても日本は絶望的な戦争に奇跡を望む以外に選択肢は無かったのだよ。アメリカの大統領が反共産主義者だったなら、世界に人種差別さえなければ、我々はアメリカと手を組んで自由で開かれた世界を実現していたかも知れないね」
「確かにアメリカは正義の名に於いて偉大な国家ではあります」
「お前らカステラ一口でよくそこまで語れるよな。ていうか、あの戦争ってそういう事だったのか。何となく理解できたよ。つまり日本とアメリカが、あの当時から同盟関係であれば、朝鮮半島は日本として丸々民主国家として繁栄を謳歌し、ソ連は満州と朝鮮半島で防ぎ切り、北方領土も死守してソ連の船は一隻たりとも太平洋の水は飲めず。中共は打ちのめされ中華民国さえも我らと同盟関係にあったかもしれないという事だよな」
「あら。うちのパパは下半身にしか脳味噌がないと思ってましたが、思いの外賢かったのですね」
「ツベの饅頭が歴史を語ってるのを聞いた事があるんだよ」
「何だか訳が分からぬが、貴方のおっしゃる通りです。なので陛下もアメリカの譲歩を信じ、最後の最後まで和平を望まれたのです。我々と欧米諸国が激突すれば世界は百年の混乱を招くと」
「という事で、世界の危機を救うために今回も閣下のお力をお借りしたいのです」
ナイス外道丸。話が重たい方に脱線しておちゃらけ路線に戻し難くなったところで、良いタイミングでの助け舟。
「我が帝国を滅びの道に導かんとする憎っくき文麿を地獄の奥底へ封印出来るのであれば私は恥を忍んでア・ナル神への礼拝の儀を行いましょう」
「閣下。閣下にあの屈辱的な作法を強いるのは断腸の思いに御座います」
「早川君・・・」
「東條閣下・・・」
「はいはい。陸軍の軍服を着たおっさん二人が、涙目で見つめ合ってるんじゃねぇよ。儀式は神道式の作法でいいからよ」
「これは、何とも深き武士の情け」
「あのような死ぬより酷い屈辱的な行為を許して頂けるとは」
「貴様ら、俺の神聖な礼拝の儀を何だと思っているの?」
「東京裁判の判決の方がマシなほどに」
「まさに地獄の責苦であると」
閣下も早川中将も、儀式から解放されたためか晴れやかな表情であった。
どうもありがとうございました。
これからも引き続き、ひっそりと活動を続けたいと思っていますが投稿も休み休みになる事があるかも知れません。それでもどうか今後ともよろしくお願いします。