生命の神秘 その2
御免なさい。
書き溜めた在庫が枯渇し新規に書き起こしておりますので自己検閲が甘くなり、内容が益々酷くなる恐れがあります。不愉快ない思いをさせてしまうかも知れませんが今更と思ってご辛抱をよろしくお願いします。
美紗子の出産部屋は、別棟として建てられた。当初は美紗子の部屋を、そのまま使う予定だったが、何と無く周りの雰囲気で作ってしまった。
その出産部屋で美紗子は出産の準備をしていた。
部屋には美紗子と裕介しか居ない。
「鬼の繁殖に立ち会えるとか、俺はツイてるな。ん? 犯されて父親にされたんだけど結果は俺のためになってるのか。うん俺はツイてる」
「ちょっとムカつく言い回しもありましたが、自分の立場が理解できたようなのでよしといたしますわ」
「まあそうだな。俺の子がどんな鬼で生まれるか好奇心も湧いてきたし、鬼の飼育方法も教えてくれ。基本は人肉食か?」
〈グェ!〉
裕介の首が捩じ切られる。
「おそらく一週間のうちに生まれますのよ。いい加減に自分の子鬼を家畜のように言うのはおやめになってください」
「しかし獣人どもも、『新地獄』改め『なろう系異世界的黄泉の世界』略して『黄泉國』の価値観固定化のためにも創世主側の俺たちが率先して価値観を受け入れないとだぞ」
「略し方とか突っ込みたいところはありますが、まあいいですわ。表現の問題として受け入れることにいたしましょう。しかし、我が子と鬼神族、いえ魔人族に対する敬意は、しっかり払っていただきたいですわ」
「ふむ。ちゃんと敬意は払ってるよ。『黄泉國ダンジョン』の大事な出演者だしね」
「いまいち歪んだ敬意ですが今はそれで良いですわ」
美紗子は、お腹を激しく蹴られてニッコリ微笑み、蹴られた箇所を優しく撫でる。裕介が蹴ったんじゃないぞ。
「産婆は奪衣婆か? フヘヘへ」
「あらよく知ってるわね。産婆と言えば奪衣婆よ」
「マジか」
とその時、どことからともなく軽快なボンゴや乾いた甲高いドラムの音とホイッスル、カンコンココンと鐘を叩く音が響いてきた。
「ぶっ叩けボンゴ〜、響き渡れサンバ〜、人手なしな待つ人サンバ〜。オレ〜〜〜。オレ〜〜〜。後輩集めてヤリ飲みサンバ〜〜〜、快楽星人待つ人サンバ〜〜〜」
「おい! クソ婆がキッタネェなりしてサンバを踊ってんじゃねぇよ。それに何だよその歌詞は。微妙じゃねぇか?」
「おっと。シャレも分からんとは最近の若いもんは面白味がないじゃないかえ。良いんだよ。どうせ誰も分りゃしないさぁね」
ボロボロになった服を振り乱し皺枯れた胸部を鞭のようにしならせて、ぎっくり腰になろうかと言う勢いで腰を振りながら奪衣婆が部屋に上がり込んできた。
「何で音楽まで聞こえてんだよ。幻聴か?クソ婆の幻術か? さては車輪眼でも持ってるんだろ。大八の車輪眼か?」
「万毛狂車輪眼を見破るとは大したもんだね。さては尻尾でも生えてるね?」
「そのイカガワシイ漢字で表現してんじゃねぇぞ! それに俺は太麺豚骨派でスープにナルトは入ってない!」
「もう良いかしら? 満足いたしましたか?」
「あ、はい。スッキリしました」
「久々のナイス突っ込みで濡れましたわい。マナコが」
ああ、一文字違いじゃなくてよかった。このクソ婆なら露骨に言いかねんからな。
「相変わらずですわね。でもよく来てくれたわ。もう少しで産まれるから今日からお願いね」
「任せんしゃい。業務は第千五百代奪衣婆見習いに任せてありますじゃ」
「千五百代ってすげぇな。てことは貴様は千四百四十九代目の奪衣婆か?」
「なに言ってるんだい。嬉しいねぇ。そんなに若く見えるかえ? わしゃ八百六十三代目だよ」
「何じゃそりゃ? 何で飛び番なんだよ!」
「奪衣修行中に成仏したり成仏したり成仏したりで真面目な奴ほど天国へ転生していくのじゃ」
「はあ。罪の清算が出来ないクソ婆のみが地獄に残されるってか。様はねぇなぁ」
「小僧の突っ込みで罪が精算されそうじゃわい。もっと罵っておくれ。もっと激しく私を打ってぇん」
「やめてくださいまし。今成仏されたら出産の危機ですわ。鬼神は難産ですのよ」
「クソ婆。肩でも揉んでやるぜ。って何で胸を向ける!」
そんなこんなで出産準備をする美紗子たちであった。
どうもありがとうございました。
これからも引き続き、ひっそりと活動を続けたいと思っていますが投稿も休み休みになる事があるかも知れません。それでもどうか今後ともよろしくお願いします。