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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
実力行使編
118/133

人間なんて理想とは程遠い存在という事 その4

御免なさい。

書き溜めた在庫が枯渇し新規に書き起こしておりますので自己検閲が甘くなり、内容が益々酷くなる恐れがあります。不愉快ない思いをさせてしまうかも知れませんが今更と思ってご辛抱をよろしくお願いします。

 「僕たちに何をした」

 本田は改めて美紗子に問うた。

 「あら。体験した通りの事ですわ」

 「僕たちを潜虫で縛りつけても我が思想は・・・我が思想は・・・意外とどうでもいいや。あれ?」

 なんだか憑き物の落ちたような本田たち革命戦士である。

 「本田君、俺たちってなんで、あんな仕様もない事で大騒ぎしていたんだろうね」

 「なんだか、もうどうでもいいや」

 「俺も革命とかかったるくてやってらんね」

 「はぁ。やっぱり無理があったんだよな。能力や男女の区別を無視した平等主義とか。財産を一切合財取り上げてしまう共産主義とか」

 革命戦士たちが、とんでもない事を言い出してしまった。

 まったくもって、けしからん奴らですね。

 「君たちに同意するよ。こんな馬鹿げた思想で殺し合ってたなんてアホらしい」

 「おい本田とやら。ぬしたちがそれを言ったら浮かばれん魂が怒るど」

 「まあそうなんだけどね。同志の中には無関係な人間を無差別に殺して自己満足に浸って喜んだり、ハイジャックして支配者にとっての『理想郷』へ亡命したり、散々やりたい放題やってるからね」

 「ははは。しかも亡命したは良いけど『理想郷』ではお荷物扱いで、ただの貧乏暮らしに飽き飽きし、贅沢三昧の資本主義国に戻りたいとか泣き言を言ってるよね」

 「だけん、ぬしどんが言うな」

 珍しく徹斎が本気で苦い顔をしている。

 「キョェ。美紗子、どう言うことかな?」

 「潜虫の影響で真人間に戻ったとしか思えませんわね」

 「僕チンの予想では従属意識が自我を抑制したと思うんだよねぇ」

 久しぶりに話すひろみちゃんが、まともな事を言っている。

 「美紗子の潜虫は、自由意志を維持させつつ、強く主人に従属させるように改良されているんだよぉ」

 「キョエ。なるほど。これまでの裏切りと言う罪悪感に反応して支配する潜虫と違い、従わなければならないと言う義務感により、奴らの異常に強すぎるエゴが抑制されて真人間になったのか。これは治療器具としても武器としても使えそうだな」

 バテレンさんがニヤリと笑うが、その顔が気持ち悪い。

「それよかさ。そろそろ収穫しない?」

 裕介の指摘で、慌てて土から生えた元革命戦士たちを掘り出した。

 「では、あなた達には今後は、こちら側の工作員として存分に働いて頂きますわね」

 「了解です。僕たちは自由で開かれた資本主義を守るために身を粉にして働きます」

 一行はゾロゾロと教団本部の建物へと入って行った。元の隠れ家を拡張した建物ね。


 「なるほど。面白い計画ですね」

 本田は腕組みをして、うんうん頷きながら裕介たちの新地獄計画を聞いていた。

 「で、俺としては亡者も楽しく人権を守られながら罪を清算させたいわけだ」

 「それがダンジョン型なろう系地獄計画の理念ですか」

 「そうそう」

 「それは現世の倫理崩壊が捗り共産主義者は喜ぶかもですね」

 「えっ? どういう事?」

 「つまりは死刑廃止論や受刑者の人権保護を名目にした待遇改善による再犯率の増加や犯罪発生率の増加により、世情不安を煽る我々が行なってきた破壊工作と同じという事です」

 「・・・」

 「いいですか? そもそも言って聞かせれば善悪が理解できて、本能的な欲望を理性で抑えられるような人間が罪を犯す確率はめちゃくちゃ低い。犯罪者の多くは善悪の境が分からず欲望や感情を理性で抑えられない輩です」

 「まあ、その通りミョン」

 現世で犯罪者集団をまとめていた幹部の一人である橋姫が同意する。

 「結局、脳の機能的に善悪が理解できないのだから、善悪を恐怖に置き換えて脳味噌に刷り込むしかないんだよ。人が嫌がりそうな行為をすれば自分はそれ以上に悲惨な結果になる。とね」

 「そら確かにそうたいね。善悪もわからん、言うても分からん奴は体に善悪を染み込ますしか教育できんけんね。普通の子供しか知らん愚か者ほど子供でん、話せば分かってくれるとか夢のような事をほざく。結果的に社会に順応できん困ったちゃんになって本人も家族も不幸のドン底たい。ほんの僅かな割合では、甘やかしても立派に育つ子もいるばってん、殴ってでも我慢を覚えさせないと、ろくでなしにしか育たん子もかなりな割合で居るのが現実たいね」

 「うーん皮肉なもんだな。人に優しいだけの善人ほど悪い将来を作り出し、ダメな人間を育ててしまうとは」

 「つまり優しさも厳しさも適度に必要ということですわ。当然のことだけど優しさだけでも、厳しさだけでも歪な世界になっていますものね。世界の将来は真っ暗闇ですわね」

 「何にしても全ての人間を助けて躾けるなんて夢物語だし、理想を追い過ぎれば不幸な社会が出来上がる。程々に人間に犠牲を強いる世界が正常なのにね」

 「そうそう。なので共産主義を掲げた社会主義国では情け容赦無く処刑もするし虐待もする。そこから恐怖政治で徹底的に愚民を飼い慣らすのさ」

 「まあ党員以外に人権は無いんですけどね。あはははは」

 「それに共産主義を目指す国は理想郷なので弱い奴とか優れた奴は遠慮なく間引いちゃうから平等も保たれる。まさに理想郷だね。あ、俺やっぱ共産主義目指すわ。搾取側として」

 同志AだかBだかCだかが本田の説明に補足を入れる。

 「だから、ぬしどんが言うなて。それに、お前らが強いる犠牲は人間にとって不幸でしかなかろが」

 「地獄の責苦も現世での刑罰も、ほんの僅かずつかも知れないが遺伝子レベルで本能的な記憶に刻まれる。そのお陰で人間は理性を磨き続けてたんだけど、我々の活動が功を奏して我慢ができず、理性がゆるゆるな動物的人間が増えてくれるし、地獄で情け容赦のない責苦が無くなれば、暴力革命を起こし易くなるというものさ」

どうもありがとうございました。

これからも引き続き、ひっそりと活動を続けたいと思っていますが投稿も休み休みになる事があるかも知れません。それでもどうか今後ともよろしくお願いします。

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