バカとバカの喧嘩はタチが悪い その4
御免なさい。
書き溜めた在庫が枯渇し新規に書き起こしておりますので自己検閲が甘くなり、内容が益々酷くなる恐れがあります。不愉快ない思いをさせてしまうかも知れませんが今更と思ってご辛抱をよろしくお願いします。
本田は中毒派の四人を率いてレベル16を後にした。向かうは美紗子が潜伏する裕介の隠れ家である。
一方、美紗子側はというと、バテレンさんとひろみちゃんが集めた無レ16の情報を元に対策を練り上げていた。
「まあ俺は大丈夫そうだな」
「いや。自分のバカに自信を持つな。奴らの洗脳術は巧みだが、何も賢い奴が掛かりやすいわけでもないぞ。むしろ裕介並みにバカな野郎の方が舌先三寸で騙されやすい。キュケケケケ」
「臍下三寸なら裕介の勝ちばってんな。グヘヘへへ」
「キョケケケケケ」
「バカはバカなりに気をつけてよ。ダーリン」
「そうなんでしゅよ。洗脳されたバカも見苦しいのでしゅよ」
「お前ら寄ってたかって俺様をバカにしやがって」
「バカは放って置いて、さっきも言った通り絶対に議論に乗らないこと。姿を見たら瞬殺でいいわ。理想は一言も喋らせない事ね」
美紗子は吐き捨てるように言う。余程、奴らが嫌いらしい。
「キョコ。怖いのは、兎に角異様に執拗なんだよ。内ゲバに遭遇したことがあるけど、鉄パイプで脳天かち割られ死んでも死んでも蘇って喋り続けやがる。お互いに好き勝手に話しているもんだから会話になんて全くなってないんだよ。それでも延々と似たような御託を捲し立てるんだ。見てるだけで気が変になりそうだった」
「それに奴らは文麿の潜虫を飲まされているはずよ。いくらヘナチョコ集団とはいえ、潜虫で縛られた奴らはハエトリ紙並みに脅威と見做すべきね」
うーん、要するに打つて無しか。て、それって脅威なのか?
「美紗子が消魂してしまえばいいだろ?」
「それはできないわ」
「なんでよ。いつもだったら嬉しションベン漏らしながら消魂し尽くすだろう」
「懐妊中は無理なの。母体に負担を掛けられないのよ。エイリアンみたいなのが生まれてきたら嫌でしょ? だからこそ文麿も鬱陶しい革命戦士を送ってきたんだわ。私がストレスで流産する事が最大の目的ね」
「まさか。そんなチンケな作戦じゃないだろうに」
「キョエ! その手があったか! 奴らの執拗さなら十分あり得るぞ!」
いやぁ。幾ら何でもその設定は無理筋過ぎるんじゃ?
なんにしても万全を期すために斉藤衆と鈴菌には、隠れ家の周りを隙間なく哨戒する事にした。
しかし何故文麿は、こんな暗殺に最も適さない連中を送り込んだのであろうか?
「ところで晴明君。麿も無レ16で鍛え上げられた戦士どもの勇姿を、ちょっとだけ見てみたかったな。まあ麿は公家なので荒事は苦手ですがね」
「あ、はい。奴らの勇姿は見ものではあるでおじゃるが、品が無いので高貴な方には、お見せできるようなものではおじゃらんな」
「ふーん。そうなんだ。いずれにせよ。地獄界最悪の無限地獄。その中でも最凶のレベル16。そこで鍛え上げられた地獄界随一の最凶戦闘集団。麿は期待してますよ」
「うん。そうだね。ある意味最凶には違いないね。でおじゃる」
実は文麿は革命戦士はバリバリの戦闘集団だと思い込んでいるだけなんだけなんですよね。本当の実力を晴明が報告をしてないからな。
嘘の報告は潜虫の手前、難しいが『順調です』『最凶に育ってます(口としつこさだけは)』『(口先だけなら)地獄界随一の実力です』くらいの報告であれば潜虫にも引っかからないのであった。
「本田同志。警戒が厳しいですね」
はっとり君からの報告を受けて潜入経路を検討中の中毒者連中であった。
「同志A。ここは無レ16で鍛えたトンネル作戦で行こうではないか」
「私もそう思っておりました」
「それは良い考えでござる。ニンニン」
はっとり君は、今日も顔色が悪い。
革命戦士は本田を入れて五人。シンノスノの里から、少し離れた森の開けた空間に集まっている。
「おコンやお蝶は気配に敏感でござる。拙者でも近付くことは出来ないのでござるよ。ニンニン」
「我ら革命戦士は官憲の犬どもから逃げまくるために日々、口先の闘争訓練と逃走訓練を欠かさなかったのだよ」
「本田氏。それは立派な心掛けでござるな。口先だけの戦闘と、恥も外聞もなく尻尾を巻いて逃げ出す訓練など、我ら忍者でも恥ずかしい行為を臆面もなく自慢できる貴殿の図太さに兜がズリ落ちる思いでござる。ニンニン」
「さもありなん。我らは最凶の革命戦士。アカい宝玉である我らは、そう簡単に捕まってはいけないのであるのだよ」
「はぁ。マジパネェっすよ。その神経。ニンニン。いかにもアホっぽい『最凶』もお似合いっす。アカい宝玉。うん『アカいタマキン』みたいでハンパないっす。ニンニン」
はっとり君は、思いっきり冷めた表情で戦士たちを煽て上げた。
「では拙者は、これにて御免でござる」
はっとり君は、ドロンと姿を消すかと思ったが、猫背の背中を丸めてトボトボとその場を去って行った。
「では、我々も作戦開始といこう。出来るだけ接近して、気付かれる前に地面に潜り、それぞれが、それぞれに論戦を吹っかけて我々の巧みな洗脳術でチョビ髭並みに民衆を洗脳してしまうのだ」
「奴らを洗脳できたら、我らの手足として使い、バカ丸派へいっぱい嫌がらせをして困らせましょう」
「同志Bよ。素晴らしいアイデアだ。これで革命に三歩くらい近付いたはずだ」
そういうとバカどもは地面に這いつくばって匍匐前進を始めた。この調子だと襲撃まで一月は掛かるんじゃないかな。
どうもありがとうございました。
これからも引き続き、ひっそりと活動を続けたいと思っていますが投稿も休み休みになる事があるかも知れません。それでもどうか今後ともよろしくお願いします。