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死んだらみんな地獄へ転生  作者: 一無
第一章 地獄転生編
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ああ勘違い その5

どうぞよろしくお願いします。

 俺は円筒形の建物に向かって左手の方向へ、回り込むように歩いていた。つまり右回りに。

 「えぇーと、五番目の部屋ね。一・・・、二・・・、三・・・」

 俺は歩きながら、ドアを数えて行く。

 「四・・・、五、あそこだな、ヤベ、すっげー緊張してきた」

 俺は、恐怖を抑えて思い切り良くドアを開けた。その時、チラリとドアの番号が。

 十六?

 〈祐介〜、そっち・・・〉

 んっ? 呼んだか?

 次郎丸が大声で叫んでいる。

 『うぎゃ〜』

 ドアを開けたとたんに叫び声が流れ、俺の体がドアの向こう側へ吸い込まれて行く。

 「なんだよ今の叫び声は、ただの効果音か?」

 気がつくと、だだっ広い空間の中に立っていた。

 「ハイお尻出して」

 尻に機械を当てられ、埋め込まれたチップから情報が読み込まれる。

 「あれ? あなたのカルテ情報は送られて来てないわね。あなたは、ここじゃないわよ? ここはレベル16の極悪人専門なんだけど」

 機械が認識した内容を確認して、担当の鬼っ娘が小首を傾げる。

 「すみません。どうも間違えちゃったみたいです。若作りのお姉さん」

 辺りを見回しても、入って来たはずのドアは見当たらない。

 「もう、しょうがないわねぇ。慌てん坊さんなんだから。はいこれ」

 丈の短い振袖を着た綺麗な鬼っ娘が、にこやかに幅広のブレスレットのような機器を手渡して来た。

 「利き腕にはめてね」

 俺は何気なく、それを左手首にはめる。

 ここは異空間みたいだし、きっとこの装置で元の空間に戻れるのではないだろうか。

 「それで、どうやれば戻れますか?」

 「いってらっしゃい。頑張ってね」

 俺と振袖鬼っ娘の声が被る。

 「いってらっしゃい? がんばって? どういう事?」

 俺は、思わず聞き返した。

 「はい。そのブレスレットをはめたからには、獄卒を一人は倒さないと、ここから出られません。はめなきゃ出られたんですがね」

 「鬼ぃ〜!!」

 「はい。若作りな鬼ですよぉ」

 ニコリと小首を傾げる鬼っ娘。

 クソ、仕返しにハメられた。おぉシャレになってる?

 「バカな事を考えてる場合じゃないぃ」

 頭を掻かき(むし)る俺。

 「禿げますよ?」

 「禿げねぇよ。そんな事より俺は何をされるんだ?」

 「では、説明しましょう」

 どんな意地悪されるか分からないので、素直に説明を受ける俺。

 「よし分かった。出会った者すべてと戦い、殺し合って戦闘力を高め、メッチャ強い獄卒の試験官を叩きのめせば、ここから出られるんだな?」

 「そう説明したつもりですが?」

 ムカつくな〜、ここの鬼っ娘どもわぁ。

 「で、このブレスレットは俺が念じた武器を出してくれて、その武器は飛び道具や近代的な物は無理で、殴る斬る刺すが基本と。よーっしゃー!」

 威勢良く気合を入れたものの。

 「無理ゲー! とても物見遊山じゃねぇよ。ぜって〜無理。俺には無理。お願い帰して。間違えただけだから、お願い出しておくれよ〜」

 俺は恥も外聞もなく、鬼っ娘に縋すがり付く。

 「・・・だから出来ませんって。・・・もう無理なの。キャッ・・・諦めてくださいね。イヤ〜ン・・・どこ触ってんだ!」

 グサッグサッと不気味な音が。

 「ごめんなさい。角はやめて。もう刺さないで」

 何度も角で刺されながら、情けなく謝る俺。

 「ドサクサに触っただけじゃねぇ〜かよ。地獄じゃ冗談も通じねぇなぁ」

 悪態を吐く俺。

 「現世だったら冗談どころか、警察沙汰ですよ!」

 振袖鬼っ娘はそう言って、頭を一振りして、角に着いた血を払う。

 「地獄だろ? 何やってもいいんじゃねぇのかよ」

 「いいわけあるか! とっとと行きやがれ!!」

 俺はケツを蹴り飛ばされて振り返るが、そこにはもう誰も居ない。

 周りを見回す。

 空は不気味に赤黒く、周りはゴツゴツと岩だらけ。

 俺は誰とも出会わないように注意しながら、岩の影に隠れて移動する。

 しかし誰とも出会わなかったら、俺、ここから出られないよね。

 「獲物みっけた」

 岩の間に隠れて悩む俺は、襟首をいきなり掴まれて岩角に投げつけられた。

 「弱ぇな、まぁ俺は弱い者殺しの新人ハンターだからな。今回はピッチピチの新人か? 素手で充分だな」

 俺は、慌ててブレスレットにナイフをイメージして念を送る。

 「あれ?」

 ブレスレットにナイフをイメージして念を送る。

 「あれあれ?」

 「もう始めても良い?」

 「ごめん。まだ」

 ブレスレットにナイフをイメージして念を送る。

 「あれあれあれ?」

 「どうしたの?」

 「このブレス、壊れちゃってるの。お兄ちゃんお願い。見逃して?」

 俺は涙目になって訴えた。

 「なぁんだ。仕方ねぇなぁ」

 それから俺は一方的に殴られた。両手で頭を隠して丸くなるが、背中や脇腹の急所を蹴られ、あまりの痛さに腕が下がると頭部を連打される。

 「紅白横縞だと? ふざけた格好しやがって。思いっきりブッ殺してやる」

 流石は極悪人専門の小地獄。俺は一方的に殴られ続け、何度も撲殺された。その苦しみは言語を絶する。

 「それにしても弱いなぁ。お前、何をしでかしてレベル16に堕とされたの?」

 「俺は吉田祐介、元サラリーマン。罪状は勘弁してくれ」

 流石にエロ本パクったとか、写生で射精とか恥ずかしすぎる。

 「そうか祐介か。詮索するのも野暮だな」

 その後も、何度も何度も死んでは生き返り、死んでは生き返り、死んでは生き返り・・・。

 「良い加減に飽きやがれ!!」

 たまらずに怒鳴りつける。

 「それもそうだな。ストレスも発散したし、今日は、これくらいにしておいてやるか。またストレスが溜まったら飛んで来るから宜しくな。歴代最弱の祐介殿」

 笑いながら、そう言うと巨漢の男はフッと姿を消した。

 この男は、この後も定期的に俺を(もてあそ)ぶ常連さんの一人になった。

 その男以外にも、極悪そうな野郎共が現れては俺を切り刻み、現れては俺を殴り殺し、数知れないほど俺はいたぶられ続けた。

 痛め付けられた体も、裂けた服も綺麗に再生するが、体にこびりついた血液は肉体の一部と見なされるためか、体にこびりついたままである。

 せっかく綺麗に再生した服も、生乾きの血液のために、すぐにドロドロに汚れてしまう。

 それにしても他の亡者たちは、どうして血で汚れておらず綺麗なんだろう。

 俺は血に汚れたホームレスのように悲惨な姿を晒しているというのに。

どうもありがとうございました。

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