暗い森の木下で
どうぞよろしくお願いします。
背中にリュックを背負った俺は絶望に打ちひしがれて、暗い森の中を彷徨う様に歩いていた。
近所の小高い丘に生い茂る広葉樹、丘全体が遊歩道になっており、陽のあるうちは散歩を楽しむ人々も多く見受けられる。
しかし、夜中の二時を過ぎた今は俺以外に誰も居ない。
森の中は梅雨も終わり、本格的に夏が始まったにしては涼しかった。
俺は枝振りの良い木を探しリュックを地面に降ろすと、ロープと折り畳み式の小さな椅子を取り出した。
枝にロープを投げかけて足元に椅子を置き、フラつきながら、その上に立つ。
どうしてこんなことになったのだろう。自分が悪いことはよくわかっているが幾筋もの涙が俺の頬を伝い、虚しく地面に落ちた。
ロープに首を通して強く引っ張ってみる。ロープの伸びを確認し、きつめに長さを調整して、しっかりと枝に結びつける。
そして俺は思い切りよく椅子から足を外す。ガクンとショックを感じて息が止まるが、耳の裏側を通ったロープに動脈を絞められ、脳への血流も止まり苦しむ間もなく呆気なく意識が途切れて・・・
どうもありがとうございました。