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童話転生  作者: スクール H
シンデレラ
4/14

4答えは・・・話

答えにはたどり着いたが、何がおかしいかもう一度考える。

 過去の記憶のピースたちを、もう一度、はめ直していく。


 『 これからは、毎日が最高の日々さ。 』


 違う。これは俺の発言。その前だ。


 『 あの晩は私の中で人生最高の日でした。 』


 おかしい。

 あのとき分からなかったが、今なら分かる。

 あのとき、俺はおかしかった。

 だから、判断を間違えたんだ。

 『あの晩』と言っていたが、三日三晩舞踏会があり、どの晩もシンデレラはいた。

 『あの晩』も何も、毎晩シンデレラはいたはずなのだ。

 俺は、目の前にいる「偽シンデレラ」をまじまじと見る。

 

 言い訳を言って部屋を出て、執事の元へと向かう。

執事は急ぎ足の俺を見て驚く。

「ど、どうされたんですか?」

「今日の結婚式、明日に延期してくれ」

「……え!きゅ、急に言われましても」

「適当に理由を付けとくんだ!」

「ど、どうしてですか?」

本当のことを言うべきか迷ったが、適当に誤魔化して自室へと足早に向かった。



所々におかしいところがあった。

目を突かれる。

これはグリム版にある話だ。

ただ、ここはまだいい。

問題は、次の首吊り。

あの時、偽は泣いた。しかし、グリム版では継母たちの末路をシンデレラが笑う、というラストで終わる。

他のパターンに、首吊りが無い以上、グリムの物語通りになるはず。

さらに、名前。

シンデレラは、名前ではなく日本名では『灰かぶり姫』という言わば通称だ。

一説に、『エラ』という名前があるらしいが、だとしても本名はシンデレラではない。

本人だったら、自分の名前を知っているはず。

他にも、「父は死んだ」と言っていたが、たぶん嘘だ。

シンデレラの家にたどり着いた時、家の中にいた人は俺抜きで7人。

偽、継母、義姉二人、二人の衛兵、そして老人。

そうだ。この老人が父親に当たるはず。


これはあくまでグリム童話に沿った話だ。

神は言った。     『 自ずと理解すると 』

こうも言った。    『 物語を変えるな 』

つまり、俺の試練は物語の結末を修正する。

本物のシンデレラと王子が結婚する、その物語に直す。



部屋についた俺は着替える。

なるたけ一般的で市民風の服。

こっそり馬に乗り、シンデレラの家に向かう。


馬を走らせながら考え続けた。

しかし、偽はなぜグリムの話通りに合わせなかったのか。

父死亡、魔法使い、目潰しと首吊りがない世界。

すべて、映画版、または、絵本版の話に似ている。

 設定を間違えたのか? まさか同じ転生者? まず、なぜこんなことが起きているんだ?

 神の試練だからか?  まったくわからない。


シンデレラの家に着いた。

よく見ると、別室のようなものがあった。

あそこにいるのかも。

王子らしく堂々と扉を開け、中に入る。室内には、老人がいた。

「だ、誰だ…、お、王子様!!!い、今から私も娘の結婚式に向かう所でした」

やはり父親だったか・・・。

「すまんな、忘れ物をして」

そう言って、急いで階段を駆け上る。

別室に入るが誰もいない。人がいた形跡もない。

 おかしい?

窓から小屋が見える。・・・!

まさか、シンデレラが掃除していたと言われるあの小屋か。

すぐに外に出て小屋に駆け込む。

周りを探すが誰もいない。

じゃあ、どこにいるんだ?

すると、煙の匂いがしてきた。

入り口で火が燃えている。

急いですぐに外に出て、あたりを見回す。

遠くの方にシンデレラ・・・いや、偽者がいた。

追おうとしたが、そのまま姿を消した。

どこだ、どこにいるんだ?

思い出せ、平凡な俺。

これまで蓄えた知識から…。

小屋じゃない、家でもない。

関係ないところか?   どこだ。

それより、さっきは魔法のように消えたが・・・

 ?

魔法? 魔法使い?

グリムではたしか苗木を植えて、それが育って・・・その木に止まった白い鳥が・・・!!!

空を見る。

まばらだが、白い鳥たちが、あるところにいっせいに向かっているように見える。

そこにいるということか!

俺は急いで馬に乗ってその先に駆け出した。

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