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22歳

作者: 凛

何もない。僕には何もない。

彼はそう呟いた。

何かある人になりたい何かある人に…。



      〜 22歳 〜



いつもの似合わないスーツを着て、

いつもの十字路を曲がっていつもの踏切の前に立ち止まる。

カーンカーン。カーンカーン。

その音は、まるでこれから訪れる僕の人生を警告しているようだ。


5月下旬。

就職活動を始めて約2ヶ月。

どっかの就活エージェントの調査によると、就活生の既に65%が内定を得ているそうだ。

対する僕はそう、残りの35%。

内定0。


人生始まって22年。

今になってようやく僕は僕が社会の不適合な存在だと言うことに気付かされた。

これまで勉強もちゃんとしてきた。

部活も中学高校と辞めずに続けてきた。

でも、そんなこと今となっては全く意味がなかった。

言われた通りに、社会が望む通りに動いてきたじゃないか。

僕の何が…


ポタリ…。

僕の頬に生ぬるい感覚のものが走る。


人って何をする為に生まれてきたんだろう。

就活の為か?

だいたいこんなに頑張って得られるのが働く権利っておかしくないか?

働かないで生きていけるなら働きたくなんてないのに。

あぁ、ずっと学生のままでいたい。


僕は、メガネを取って目を擦りながら、

丸まった背中で、いつもの踏切をわたる。

あぁ…

月が、いつもよりも眩しく見えた。

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